文具で楽しいひととき

■pen-info「爽やかな風を感じる万年筆」

カテゴリー: 2018年06月12日

 
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        文具ウェブマガジン 
     
    「pen-info_文具で楽しいひととき」
            
               408 (2018.06.12) 

    「爽やかな風を感じる万年筆」

        プラチナ万年筆
     #3776 センチュリー  薫風

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昨年からスタートした#3776 センチュリー限定万年筆「富士旬景シリーズ」。

一作目は赤く染まった「春暁」だった。
これまでの富士五湖シリーズにはないカラーリングで大いに驚かされた。

さて、二作目はどんなものかと楽しみにしてプラチナ万年筆社へ伺った。
これまでの「富士五湖シリーズ」そして「富士旬景シリーズ」の全てを
プロデュースしてきたプラチナ万年筆のデザイナー柳迫さん。
いつもは苦労に苦労を重ねてようやく完成したという
安堵と疲れが入り交じる様子で会議室に現れるのだが、
今回はそうした表情はなく、どことなく清々しささえたたえている。

と、柳迫さんの後から別の方が会議室に入ってこられた。
今回の限定万年筆を中心になって企画した企画部の秋葉さんだという。
柳迫さんはサポートという形で携わったという。

毎年一人で限定品を送り出すという重責が双肩にずしりとのしかかっていたのが、
それが少しばかり和らいだことによる清々しさだったようだ。 

「今回の万年筆は、これまでとは大きく違ったスタイルになりました」と見せてくださった。
それが、この「薫風(くんぷう)」だ。 


■ 新緑の木々の間を吹き抜ける風 

今回も「富士山に呼ばれる写真家」ロッキー田中氏の写真がモチーフになっている。

初夏の瑞々しい木々の間を吹き抜ける風、
その先に見える富士山という写真。
木々の新緑がだんだんと濃くなっていく自然が織りなすグラデーションが美しい。

その中からインスパイアされたのが、この美しいグリーンだ。

いわゆるグリーンと言ってしまうと、少々ニュアンスが違う。
秋葉さんによると、これは「翠風(すいふう)」というそうだ。
わずかにブルーも混ざり合った爽やかさがある。
ターコイズブルーを少しばかりシックにしたような感じというとイメージしやすいだろうか。 


■ 吹き抜ける風をボディに 

その「翠風」をより魅力的にしているのが、
ボディに施された幾重ものラインだ。

手にした瞬間「お・・・」という声が思わず漏れた。
これまで#3776 センチュリー限定品では、
ボディラインに施される加工は直線のものが多かった。

今回は、初めての試みとなる緩やかなカーブを描いている。
まさに風を感じさせる躍動感あるラインだ。 

今回、チーフデザイナーとして
はじめて#3776限定品プロジェクトに加わった秋葉さん、
樹脂ボディ加工手法の洗い出しから始めた。

そもそもこれまで#3776限定品で行った加工手法にはどんなものがあったのか、
そしてそれ以外に何ができて、何ができないかをつぶさに調べ上げていった。

その中で候補に挙がってきたのが、
この斜めに彫っていくという加工だったそうだ。

こうした斜めに彫り込んでいく加工は平面のものによく行われるが、
今回の万年筆のような丸い面に行うのは珍しいそうだ。

画像でご覧頂いても十分おわかり頂けると思うが、
かなり大胆に彫り込まれ凹凸がタップリとある。
手にしてみると、それは見た目以上に感じられる。
1つのラインの角度は150度とかなり広く、
ラインの中央、つまりボディのリングあたりはとりわけ深くなっている。
ちなみにその一番深いところで0.3mmある。 

この美しいラインはNC切削という手法によるものだ。
これまでの#3776限定品では彫刻加工をしていたが、
それとは違い加工時にボディそして刃も同時に動かしていくことで
この立体感のあるラインを作り出しているそうだ。 


■ 美しいラインは握りやすい 

机の上に静かに置かれた「薫風」も十分に美しいが、
手にするとその魅力はグッと増す。

キャップを開けるためにクルクルとツイストすると透明感のある
ラインが光を受けながらキラキラと輝き出す。

キャップを後軸にセットしてみる。
すると、先ほどとは違うラインになる。
流れるようにつながったラインが2つのカーブに分かれる。

そして握ってみる。
私の万年筆ホームポジションはネジ切りの少し上あたり。
そこに指を添えると、流れるラインが指紋を優しく捉えてフィットする。
優しく握ってもしっかりホールドできるグリップだった。 

ペン先を走らせると、
大胆に彫り込まれたラインがここでもキラキラと瞬く。

ペンを動かすことで美しさが増す。
書いている本人から見てもこれだけ美しいのだから、
書き姿を見ている周りからも
その美しさは十分に堪能できるのだろう。 

* 

#3776には「ギャザード」という
ボディに対して横の溝がいくつもあるタイプがある。

この「薫風」の流れるラインも溝の向きこそ違えど、
深い溝により握りやすくするという意味で同じ考え方のように思う。

その意味で、これは現代版「ギャザード」という風にも言えるのかも知れない。

そして、インクはこの「薫風」カラーに合わせた色を入れたいと
思われる方はきっと多いと思う。
プラチナ万年筆の「ミクサブルインク」で作ってみるのも楽しそうだ。

今回の「薫風」はカラーだけでなく、
美しいラインを目と手でも楽しませてくれるものとなっていた。 



 今回の「薫風」の字幅は、
 UEF(超極細)、F(細字)、M(中字)の3種類。
 限定本数はいつもより少し少なめの2,500本。 

 プラチナ万年筆 #3776 センチュリー「薫風」 25,000円+Tax 
 2018年7月1日発売 



□編集後記

 朝一番は
 コーヒーを自分でドリップして
 淹れて飲んでいます。

 事務所に着いてからは
 最近は、インスタントコーヒーを好んで飲んでいます。
 軽い感じが、ちょうどいいんです。

 味と香りはそれなりですが。。



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