GBRCニューズレター

GBRCニューズレター No.104

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
Global Business Research Center Newsletter
GBRCニューズレター No.104  2004年5月10日号 (毎週月曜日発行)
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

今週の目次

☆社会ネットワーク分析の論文を読んだ気になろう(7)

 DiMaggio, P. J., & Powell, W. W. (1983)
 "The iron cage revisited: Institutional isomorphism 
 and collective rationality in organizational field." 
 American Sociological Review, 48(2), 147-160.

☆編集者から 東京大学大学院経済学研究科のホームページがリニューアル

====================================
☆社会ネットワーク分析の論文を読んだ気になろう(7)

 DiMaggio, P. J., & Powell, W. W. (1983)
 "The iron cage revisited: Institutional isomorphism 
 and collective rationality in organizational field." 
 American Sociological Review, 48(2), 147-160.
====================================

東京大学大学院経済学研究科の「経営文献講読」では、安田雪GBRC社会ネット
ワーク研究所長の協力も得て、2003年度の夏学期に「社会ネットワーク分析」の
基本的な論文12本を読みました。最近、ソーシャル・キャピタルの研究としても
注目されるこの分野の古典的な論文を何本かピックアップして内容を紹介しま
す。とても一人では読む気にならない社会ネットワーク分析の論文を「斜め読み
して読んだ気になろう」(?)という大胆な連載です。忙しい人は、最初の《リ
サーチ・クエスチョン》と最後の《結論と評価》だけを読んでも、何の論文だっ
たかは分かりますよ!? 大胆すぎて間違っていたら、後で訂正します。

【小菅竜介・大神正道】

《リサーチ・クエスチョン》

 Weberは、官僚制は資本主義経済において純技術的に最も能率的であるが故
に、普遍的な組織形態として普及していくだろうと述べている。それでは、この
同質化現象に対して、能率性とは別の説明要因はないのだろうか。能率性が向上
するかどうかにかかわらず、同質的な組織形態を構成していく別の要因があるの
ではないか。この論文では、制度からの要求に注目する。

《本文要旨》

 組織の同質化は、「組織フィールド」内において生じる。組織フィールドと
は、あらゆる行為者間の相互作用を通じて構造化される「全体として制度的営み
の認識された一領域を構成するような諸組織」と定義される。具体的には、類似
のサービスや生産物を供給する諸組織、サプライヤー、生産物の消費者、規制当
局、認定団体などあらゆる利害関係者が含まれる。この用語を用いることで、
「環境」という概念よりも組織間の関係性とその変容を明示的に捉えることがで
きる。
 またネットワーク分析において組織フィールドの概念は、関連する行為者たち
の全体性を捉えることで、直接結合だけでなく、構造同値を考慮することができ
る。同じ組織フィールド内で組織が同質化することを「同型化(isomorphism)」
と呼ぶ。同型化は競争的同型化と制度的同型化に大別される。

(1)競争的同型化
 競争的同型化は、ポピュレーション・エコロジー (Hannan & Freeman, 1977)
に言われるように、環境の機能的特性に適合した、似通った組織形態を持つよう
な個体が選択されると主張する。このように、競争的同型化は、環境との機能的
適合を強調する。

(2)制度的同型化
 制度的同型化の概念は、正当性を示した組織が環境から選択されると主張す
る。つまり、機能的適合ではなく、文化・社会的適合を強調する。制度的同型化
は、3つのタイプ―強制的同型化、模倣的同型化、規範的同型化―に分けられ
る。
 (a)強制的同型化とは、依存関係にある他の組織や、社会の文化的期待によっ
て行使される圧力の結果として生じる同型化である。具体的には、メーカーが環
境規制に従うために公害防止技術を採用するといった法的強制力を伴う場合が挙
げられる。また、子会社が親会社の業務慣例に従う場合、独占企業によって供給
されるインフラを導入せざるをえない場合なども、強制的同型化に相当する。さ
らに、フリースクールが外部機関と交渉するために校長を置くといった、それほ
ど明示的に押しつけられるわけではない場合も含まれる。
 (b)模倣的同型化とは、不確実性を回避しようと他の組織をモデルとすること
によって生じる同型化である。技術がよく理解できていなかったり、目標が曖昧
だったり、環境がシンボリックな不確実性を創出するような場合には、組織は他
の組織をモデルとする。例えば、19世紀後半の日本の近代化においては、留学を
通じた模倣が重要な役割を果たした。また、アメリカ企業は、その不振に対処す
るために日本発のQCサークルを導入した。こられの試みには、自らの正当性を高
めるという儀式的な側面もあった。
 (c)規範的同型化は、主に専門職業化から生み出される同型化である。専門職
業化は、当該職業のメンバーが、自分たちの仕事の方法や状態を定義し、その職
業が自律性を確保するための認知基盤を確立しようとすることを意味する。大学
や専門教育機関に由来する規範は代替可能な個人をつくり出し、それにより組織
を超えたネットワークができる。また、同業他社からの引き抜きや、各社共通の
昇進慣例などを通じて生じる人材フィルタリングによっても、同型化が促進され
る。例外的な経歴を持つ者も、キャリアの過程で社会化され、結局、組織は同型
化していく。

《結論と評価》

 制度的同型化(強制的同型化、模倣的同型化、規範的同型化)は、個々の組織に
とって必ずしも能率性の向上に結びつかない点で重要である。他の組織と同様の
体裁を取り繕うことは、生存のために必要な資源を確保する際の決定的要因にな
りえるのである。制度的環境からの要求を満たさなければ、組織は環境からの制
裁を受けてしまう。そのため、組織は制度からの要求に従い、正当性を獲得しよ
うとする。その結果、同じ制度的要求に直面している組織は、能率性が向上する
かどうかにかかわらず、同質的な組織形態を構成していくのである。
 本論文は組織理論における新制度派の代表的な論文の一つである。従来の組織
理論は主に組織と環境の関係を技術機能的観点から捉えていたのに対し、新制度
学派は組織が価値や規範といった認知・文化的観点から組織と環境の関係を捉え
ようとする。新制度派が捉える環境は、組織に対して「正当性(legitimacy)」
を賦与する存在でもあるとともに、制度的規則(規制、規範、文化的信念など)
を満たさない場合には、制裁を課す存在でもある。つまり、組織にとっては環境
において正しいと思われている構造や行動様式を具備することが生存のためのカ
ギとなる。

====================================
☆編集者から 東京大学大学院経済学研究科のホームページがリニューアル
====================================

東京大学大学院経済学研究科のホームページがリニューアルしました。
http://www.e.u-tokyo.ac.jp/index-j.html
ちょっと垢抜けし過ぎかも、という賛辞の声(?)もありますが、「入進学案内」
のプルダウン・メニューの中には「経営特修コース」も入っています。意外と便
利なのが「アクセス」。このおかげで、最近、お客さんに説明する手間がかなり
省けるようになりました。一度、ご覧になると色々と発見がありますよ。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
編集/発行
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター (略称:GBRC)
〒100-6309 東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング9階 960区
(丸の内アカデミック・スイーツ/The Marunouchi Academic Suites 内)
電話: 03-5208-4272 FAX: 03-5208-4273
メール・アドレス: info@gbrc.jp URL: http://www.gbrc.jp/

Copyright (c)2004 Global Business Research Center. All rights reserved.
このニューズレターに掲載された記事を許可なく使用することを禁じます。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


GBRCニューズレター

発行周期: 週刊 最新号:  2019/02/18 部数:  1,027部

ついでに読みたい

GBRCニューズレター

発行周期:  週刊 最新号:  2019/02/18 部数:  1,027部

他のメルマガを読む