日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信

栗原心愛ちゃんはオーストラリアなら救えたか?

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┃THE STANDARD JOURNAL~アメリカ通信~┃ http://www.realist.jp
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├ 2019年2月23日 栗原心愛ちゃんはオーストラリアなら救えたか?
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【3月4日(月)20時~放送】
|※20時スタート※
|AJCN代表:山岡鉄秀&OTB代表:和田憲治のTSJ1

http://live.nicovideo.jp/gate/lv318625690
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全世界のアメ通読者の皆さん、山岡鉄秀です。

千葉県野田市で小学校4年生の栗原心愛ちゃんが
1月24日に虐待で死亡してから、ちょうど1か月が経とうとしています。

この事件では私もかなり精神的ダメージを受けてしまいました。
なぜかというと、もちろん、
心愛ちゃんが可哀想でいたたまれなかったのですが、
それに加え、日本社会の劣化ぶりが
とうとう止められないレベルまで来たかな、
と感じて暗澹たる気持ちになってしまいました。

こういうことを書くと、決まってこう反論してくる人達がいます。

「昔は虐待がもっとひどかった。今は光が当たるようになっただけだ」
「児童相談所は一所懸命やっているが、
 圧倒的にマンパワーが不足しているからだ」
「システムが悪いから個人を責めても始まらない」

それぞれもっともらしく聞こえるし、間違いではないのですが、
そんなことを言っていても問題の本質をぼやかすだけです。

今回の事件に関しては、様々な分析がすでに報道されています。
行政全体として人手不足なのは明らかです。
しかし、なぜ心愛ちゃんを救えなかったか、
その最大の理由をひとことで言えば、
結局大勢の大人たちが、栗原雄一郎という
異常な男が怖くて逃げることを優先したからです。

体を張って子供の命を守ることより、
保身を優先したのです。私はそれを強く感じます。

アンケートを渡してしまった
野田市教育委員会の矢部雅彦次長をはじめ、
ひとりとして「後悔に打ちひしがれて涙している顔」を見ません。

心愛ちゃんを両親のもとに戻す
最大のミスを犯した際の責任者である
奥野智禎前柏児童相談所長もまるで
他人事のように論評していました。

報じられているとおり、致命的なミスが何度もありました。
虐待リスクが高いのに心愛ちゃんを両親の元に返したのも、
行うべき家庭訪問をしなかったのも、
虐待のサインである長期欠席が始まっても
何のアクションも取らなかったのも、
みんな栗原雄一郎を避ける方を優先したと私は感じています。

もちろん、システムにも問題があります。
しかし、たとえ現行のシステム下でも、
ひとりひとりが決められたとおりに行動していれば、
間違いなく防げた悲劇でした。

なぜやるべきことをやらなかったのか?

まさに矢部雅彦氏がある意味正直に口にしたように、
栗原雄一郎の恫喝に屈したのです。

しかし、もともと幼い子供を虐待死させる親が
まともなわけがありません。
包丁を振り回すような奴だっているはずです。

さらに週刊文春の報道によると、
栗原雄一郎の祖父母もかなり問題があるようです。
心愛ちゃんの母親も共犯で逮捕されました。

異常な大人のオンパレードです。

特別な訓練も受けておらず、
子供を守ることに特別の情熱を持ってもいない
公務員に対応させれば当然限界が生じます。

ここで私の脳裏をよぎるのが、
この事件がもし
オーストラリアで発生していたらどうなっただろうか、
ということです。

そこで、友人のオーストラリア人弁護士に質問してみたところ、
次のことがわかりました。

シドニーがあるニューサウスウェールズ州(NSW)では、
教師、医者、看護婦など、子供に接する機会がある
全ての職業に就く人には、子供の虐待を察知したら
直ちに担当機関に報告する義務が法律で定められています。
そして、報告を受けた担当機関は警察と連携しなくてはなりません。

今回、心愛ちゃんの「父親に暴力を振るわれている」
と訴えるアンケートを見た小学校は柏児童相談所に報告し、
児童相談所は心愛ちゃんの一時引き離しを決めます。

オーストラリアなら、この時点で警察の介入があります。
児童虐待は刑事犯罪ですから、
アンケートのような明確な根拠があれば警察の捜査対象となり、
この時点で栗原雄一郎を逮捕できた可能性があるわけです。

今回はその決定的な機会を逸したままもてあまし、
最終的に心愛ちゃんを見捨てたのです。

日本では児童相談所の権限を強化し、
児童相談所長が必要があると認めるときは、
警察署長に対し援助を求めることができること
とされているようですが、それでは到底対処できません。

日本でも報告を義務化し、
警察の即時直接介入がなされるようにすべきです。
児童相談所に権限を持たせたところで、
人出も能力も足りていなければ意味がありません。
今回のような悲劇の再発を止めることができないでしょう。

さらに、今回の栗原家もそうであるように、
問題がある親は行政の干渉を避けるために引越を繰り返します。
そのたびに、役人が出てきて

「引継ぎがうまくできていませんでした」

と無表情で弁明するのは心底見飽きました。

総合セントラルデータベースを作って、
たとえば問題家族が沖縄県糸満市から
千葉県野田市に引っ越した場合は、
野田市にアラートを立て、糸満市が入力したデータが
全て自動的に移行されるようにすべきでしょう。
紙の報告書に頼っていたら非効率極まりません。

最後になりますが、
私がこの事件で憤懣やるかたない日々を送っていたとき、
偶然、地方在住の友人が市の教育委員に任命されていることを知り、
彼の意見を聞くことができました。

彼が私に話してくれたのは次のようなことです。

●教育委員長にしても、児童相談所所長にしても、
 結局は「誰がやるか」という個人の資質の問題。
 実社会での経験が豊かな人が行うのがよい。

●その地方に子供を育て、守る
 独自のカルチャーがあるかが大きな要素

●問題の根底にあるのは家庭の崩壊

どんなに制度を改革しても、ひとりひとりの担当者が
求められる職務をこなさなければ機能するはずがありません。
ですから、最終的には個人の能力と熱意と責任感に帰結します。

しかし、その前提で、日本も改めて
警察の早期積極介入を可能とする制度改革が必要です。

私は今でも、栗原心愛ちゃんを救えなかった社会は
いずれ自らも救えずに崩壊するだろうと確信しています。

( 山岡 鉄秀 :Twitter:https://twitter.com/jcn92977110 )

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▼山岡鉄秀▼
AJCN Inc.代表・公益財団法人モラロジー研究所研究員
 1965年、東京都生まれ。中央大学卒業後、シドニー大学大学院、
ニューサウスウェールズ大学大学院修士課程修了。
 2014年、豪州ストラスフィールド市において、
中韓反日団体が仕掛ける慰安婦像設置計画に遭遇。
子供を持つ母親ら現地日系人を率いてAJCNを結成。
「コミュニティの平和と融和の大切さ」を説いて
非日系住民の支持を広げ、圧倒的劣勢を挽回。
 2015年8月、同市での「慰安婦像設置」阻止に成功した。
著書に、国連の欺瞞と朝日の英字新聞など
英語宣伝戦の陥穽を追及した『日本よ、もう謝るな!』(飛鳥新社)

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