猫のおきて

猫のおきてVol.174「漢詩にも猫」

カテゴリー: 2007年10月03日
 猫は人の足を踏みながら通る。猫が膝に来るとトイレに行きたくなる。などなど、どう
いうわけでだか猫たちが決まってする行動の数々。このメールマガジンでは、そんな愛ら
しくも不可解な行動、習性を「猫のおきて」と呼び、それにまつわるあれやこれやについ
て大まぢめかつ勝手気ままに考察してまいります。筆者の飼い猫、黒猫の「ち」や、通い
猫の「ヘディ猫」の日常を、覗いていただけます。

 このところ、「告知」ばかりが続いて失礼しました。今回は、告知しましたイベントの
ご報告を兼ねていますが、久々に読み物です。猫の出てくる漢詩について。秋の夜長に親
しんでいただきたい、漢詩の世界へのお誘いです。

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 猫のおきて 174号

               漢詩にも猫

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「芸術の秋」、「読書の秋」と言いますが、当方にとってもまさしくその通りな今日この頃
で、「箱の中の豆本展」に出展しておりました。お陰様で無事終了しまして、おいでいた
だいた皆様、大変ありがとうございました!

 本業が多忙だったので、多数、というわけにはいきませんでしたが、新作も作りました。
それは漢詩を豆本に仕立てた「まめかん」という作品。
 漢詩というと「今、巷で大人気!」という感じではありませんが、読者諸賢も古文の教
科書に出ていた、「国敗れて山河有り」などの詩句は覚えておいででしょう。当方も当時
は特に思い入れもなかったのですが、このところしみじみと、「いいなあ……」と思うこ
とが多くなったのです。
 文学には、若い世代の心の琴線に触れるもの、ある程度の人生経験を積まないと味わえ
ないものがありますが、漢詩はその殆どが後者だと思うのです。そんなわけで私も、漢詩
のわかる年頃になってきたというわけなのでしょう。

 志が遂げられない宮仕えの悲哀、家族と別れて一人辺境の任地にある孤独、悪政に苦し
む民の苦境から、猫を失った飼い主の悲しみまで、漢詩には歌われています。それはどれ
も「リストラの悲哀」、「単身赴任の孤独」、「格差社会の苦境」、そして「ペットロスの悲
しみ」と、現代社会の状況にそのまま置き換えることができてしまいます。
 で、「ああ、私もそうです」と共感することがしばしばで、それはつまり、漢詩が、い
つの世にも通じる根源的、普遍的な「人の思い」を扱っているからではないでしょうか。
 以前、仕事で某作家にインタヴューした際、「自分の書いたものが本当に伝わるのは、
自分と同世代、上下五年の範囲くらいだ」という話を聞きました。しかし私は本当にそう
かな? と思います。「違うんじゃない? それを超えるのが古典ってもんじゃない?」
と。漢詩も、まさしくそんな「古典」だと思うのです。

 と、ここでようやく話題は猫的に展開します。今回作った「まめかん」のひとつが、
『詩人と猫』という作品だったのです。これは、宋の詩人、梅堯臣と陸游が猫を詠んだ詩
を一篇ずつ収録した豆本です。そのうち、梅堯臣の詩の冒頭をここでご紹介しましょう。

       祭猫      梅堯臣

  自有五白猫 鼠不侵我書   五白の猫を有してより 鼠 我が書を侵さず
  今朝五白死 ……      今朝 五白死し……

  (五白の猫がうちに来てから、私の本は鼠に齧られなくなった。
   それなのに、今朝、五白が死んだ……)

 この後、生前の「五白」との思い出やその業績を讃える言葉が続くのですが、詩の終わ
り、詩人は、「やんぬるかな また論ずるなからん(もうやめよう、人にこれを説明しよ
うとするのは)」と、五白の死の悲しみを余人に理解されないことを嘆息するのです。

 梅堯臣は1002年生、1060年没。千年前の詩人の言葉が、共感を持って胸にしみてくる
のは、猫たわけが持つ猫への愛も、根源的かつ普遍的なものだからでありましょうか。

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●いかがでしょう? 漢詩の世界。猫たわけの皆様も興味持たれましたか? 梅堯臣や陸
游の作品以外にも、猫の登場する漢詩がありましたら、ぜひお知らせくださいませ。

●「漢詩」だけでなく、「俳句」も引き続き取り組み中。現在、ブログ「猫のおきて」で、
「10月の猫句会」として俳句を募集中です。ぜひご投句ください。
http://plaza.rakuten.co.jp/nekonookite/diary/200710020000/ 

●さて、来週からは猫的グループ展「猫楽百貨」が開催されます。
http://nekoraku100.blog.shinobi.jp/

・日程 2007年10月8日(月/体育の日)〜10月14日(日)
・時間 13:00〜20:00(最終日は18:00まで)
・会場 ダブルハピネスギャラリー 渋谷区渋谷2-5-9パル青山ビル5F
  最寄り駅 JR渋谷駅(東口)/地下鉄表参道駅 各駅から徒歩10分。
(青山通りに面したスターバックスの横を入って1分ほど直進。パル青山ビル5階)
http://dogstay.ecnet.jp/aoyama401.html
※ギャラリーのサイトには「8月末で業務休止」とありますが、当展示は行われます

 こちらのメイン出品物はやきもの。他の作家の皆様もそれぞれに猫々しい作品を出展な
さいますので、どうぞおこし下さいませ。

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「猫のおきて」(号外)2007年10月3日発行(本来はほぼ、2の日発行)

【著者・発行者】 馨歩
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んお広め下さい。その場合「『猫のおきて』で読んだんだけどさ」と言っていただけると
嬉しいです。転載などなさる場合もお知らせいただけると嬉しいです。
―――――――記事内容の全ての著作権は著者・馨歩に帰属します―――――

猫のおきて

発行周期: 2の日をベースとする不定期 最新号:  2017/05/12 部数:  971部

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