独断と偏見の為替相場

【独断と偏見の為替相場】2018年08月24日号【LTCMショック】


カテゴリー: 2018年08月24日
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     ◆◆◆【独断と偏見の為替相場】◆◆◆
             2018年08月24日号
           【LTCMショック】

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※このコンテンツは、有料メルマガで、
 2018年08月24日に記述・配信したものです。


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【LTCMショック】
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「LTCMショック」について、お話ししましょう。

米国ニューヨーク州に隣接したコネチカット州で
資金運用を行っていたヘッジ・ファンドが、
「Long Term Capital Management
(ロング・ターム・キャピタル・マネジメント/通称LTCM)」です。

このヘッジ・ファンドには、ブラック・ショールズ方程式を完成させ、
1997年にノーベル経済学賞を受けた経済学者のマイロン・ショールズと
ロバート・マートンという有名人が籍を置いていたことから、
投資の世界では「ドリーム・チーム」とあがめられ、
一世を風靡(ふうび)します。

LTCMは、1994年の設立当初に、
世界各国の証券会社・銀行などの機関投資家、富裕層から
12億5000万ドルもの資金を集めます。

この資金を使って、割安と判断される債券を大量に購入し、
逆に、割高と判断される債券を空売りしました。

その際に、コンピューターを駆使して、多くの銘柄を選び出し、
自動的に注文を出すシステムを用いました。

また、利益を大きくするために、
レバレッジを使って、取引規模を拡大させていました。

その後、金利スワップ取引、株式取引やモーゲージ取引といった、
リクイディティ(流動性)の低い取引も行うようになります。

LTCMの運用は、1998年初めまで大成功します。

その結果、LTCMにはますます資金が集まり、
その運用資金は1000億ドルを超えることになりました。

ところが、1997年の「アジア通貨危機」、そして、それを引鉄とした、
1998年の「ロシア危機」が、マーケット環境を激変させます。

世界の投資家たちが、「質への逃避」を行ったのです。

金融市場が混乱して、先行きに対する不安が著しく高まったとき、
リスクを避けるために、より安全性(信用度)・流動性(換金性)の高い
投資対象を求めて取る行動を指して、「質への逃避」と言います。

投資家の不安心理が高まると、
相対的にリスクが低く流動性が高い投資対象へ資金をシフトする傾向が
あります。

「質への逃避」の例としては、次のようなものがあります。

●エマージング市場(新興国市場)から先進国市場へ資金をシフトすること

●為替変動リスクを回避するために、資金を自国の金融商品へシフトすること

●株式投資から債券投資へ資金をシフトすること

●社債や住宅ローン担保証券などから国債へ資金をシフトすること 

ロシアが債務不履行を宣言したことで、
エマージング国(新興国)の債券・株式はリスクが高いという認識が広まり、
エマージング市場から資金の引き上げを始めました。

LTCMは、
「質への逃避は長続きせず、いずれエマージング市場に資金は戻ってくる」
と判断しました。

遠からずエマージング国の債権・株式の買い戻しが起こると判断し、
LTCMは、その判断に基づいてポジションを取ったのです。

しかし、投資家たちのリスクに対する不安心理は収まらず、
むしろ、ますますエマージング市場からの資金引き上げを加速させました。

その結果、LTCMは破綻します。

しかし、LTCMは、
欧米の金融機関から投資された1000億ドルもの資金を運用しており、
さらには、1兆ドルにのぼる取引契約を世界の金融機関と締結していました。

そのために、LTCMが破綻すると、
ただでさえもアジア通貨危機、ロシア危機で不安定になっていた金融市場に
大きな影響を与え、「世界恐慌」に陥る危険性すらありました。

一私企業の救済は自由経済の原則に反する、といった意見もあったのですが、
ニューヨーク連邦準備銀行の指示で、LTCMに緊急融資を行い、
LTCMをゆるやかに解体することになりました。

米国では、当時のグリーンスパンFRB議長の指示により、
ドルの短期金利であるFFレート(ドルの短期政策金利)を、
1998年9月からの3カ月間で3回引き下げを行っています。

LTCM破綻で蔓延した金融不安をぬぐう政策を採ったのです。

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先ほどお話しした通り、「LTCMショック」とは、
巨大なヘッジ・ファンドが破綻したことが原因で、
金融市場が震撼(しんかん)した事件の呼称です。

「ブラック・マンデー」のときもそうでしたが、
その事件の最中には、まだ、そういった名前はありません。

時がたってしばらくすると、何とはなしに、みんなが、
その事件をそう呼ぶので、だんだんとその事件の名称が固定(定着)します。

「米国同時多発テロ事件」もそうです。

2001年9月11日に、米国ニューヨークと米国国防総省で起きたテロ事件は、
現在は「セプテンバー・イレブン」とか「9・11」と通称されています。

こういった大事件が起こると、
マーケット(外国為替市場)は大きく変動します。

しかし、相場に臨んでいるときに
――つまり、ポジションを持っているときに――相場が大変動を起こしたら、
その分析や理屈は、後回しです。

相場が大きく動き出したなら、そのポジションをどうするのか。
損をしているのなら、
「損切るのか」
「我慢するのか」
その判断を優先しなければ、生き残ることができません。

利益になっているときは、焦燥感に駆られるようなことはありません。

それは、誰でもそうでしょう。

損をしているときは、あせります。冷静ではいられなくなります。

「なぜ、どうして、何が原因で、こんな目に……」

恨み言の1つも言いたくなる気持ちはわかります。

しかし、そんなことは、その瞬間には、どうでもよいことです。

「損切るのか」
「我慢するのか」
「我慢するにしても、どこまで我慢するのか」

それを早く決めなければいけません。そして、それだけを考えるべきなのです。

「なぜ、こんなムチャクチャな値動きになるのか」
「誰がこんなことをしかけているのか」 
そして、
「何が起きているのか」

激しく動いている相場では、そんなことは何の役にも立ちません。

そんなことは、後で考えれば済むことです。

自分が生き残りたかったら、
持っているポジションを整理することの方が先決です。

「LTCMショック」の際には、取引で大損をして、
自殺に追い込まれた市場参加者が大勢います。

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(2018年08月24日東京時間18:00記述)


Presented By Satoshi Matsuda
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