T-mode 遠山清彦の国会奮戦記

[T-mode]No.205 イラク人質事件について

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                     【No. 205】 2004年(平成16年)4月12日発行

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    【タイトル】 イラク人質事件について
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みなさん、こんにちは。今は12日月曜日正午前、ちょうど羽田空港から国
会事務所に戻ったところです。私はこの週末、選挙対策の関係で沖縄に滞
在しておりました。先週木曜日からのイラク人質事件に関しては、私も若
干イラク等から情報収集をし、党執行部を通して政府に意見具申もさせて
いただきましたが、いまだに人質解放にいたっておらず残念でなりません。
以下、簡単に今回の事件について私の考えを述べたいと思います。

<なぜ「自衛隊撤退要求」を受け入れられないか>

日本の民間人3人を人質にとっている武装グループは、木曜日にアルジャジ
ーラに送った声明の中で人質解放の条件として3日以内の自衛隊撤退を求め
ました。その後しばらくたって、政府・与党首脳は、「自衛隊撤退はしな
い」との方針を表明し、今日まで堅持しています。私も当初正確な情報がな
く、その中で自衛隊の一時撤退も考えてもよいのではないかと思いましたが、
その後色々と考えた結果金曜日の朝までには、政府の対応を支持する立場と
なりました。

理由の第1は、今回の事件でもっとも非難されるべきは、人質を取った武装
グループですが、この武装グループの要求を日本政府が軽々に受け入れるこ
とは、第2・第3の同様な事件を誘発する可能性が高いということです。自衛
隊をイラクに派遣したことは、国会で通した法律に基づいた重要な国策とし
ての行為であり、しかもそれに伴う本来的リスクを考えれば非常に重要な国
の決断でした。それを卑劣な武装グループの要求で撤回するとなると、日本
が今テロと戦っている国際社会全体から信頼を失うだけでなく、「日本政府
は、民間人を人質に取りさえすれば、なんでも言うことをきく」という印象
を世界中のテロリスト達に周知することになります。

忘れてはならないことは、テロリストはイラクだけにいるのではないという
ことです。世界のかなり多くの国々で様々なテロリスト・グループの存在が
指摘されており、この関係者が今回の事件の成り行きを注視していることは
想像に難くありません。そして、日本の民間人も今や世界中におります。私
たちが恐れるのは、もし今回の人質事件で要求をのむことになれば、コピー
キャット的犯行として日本の民間人を標的とした人質事件がイラクだけでな
く、他の国・地域でも起こりかねないのではないか、ということです。日本
政府も邦人保護の義務はありますが、海外の全ての民間人の動きを事前に把
握し制御することは不可能ですし、またやるべきでもないでしょう。

理由の第2は、今回の人質事件発生に関して、日本政府に落ち度はありません。
政府は、再三イラクが危険な地域であることを国民に広報しており、基本的
に同国に民間人は行かないように勧告してきました。それでもその勧告を事
実上無視して行かれる民間人の方はいるわけですが、その場合は、自分自身
やその所属する団体・組織の自己責任で危機管理をしなければなりません。
今回はこのことが明らかに担保されてない状況で発生した事件であり、この
事件の原因を(一部の人が主張しているように)自衛隊派遣に結びつけるこ
とはかなり無理があります。武装グループの要求に「自衛隊撤退」が入って
いたので、そういう印象を受ける人もいたかもしれませんが、仮に自衛隊が
派遣されていなくとも今日のイラクはあらゆる民間人にとって安全な地域で
はなく、誘拐・拉致の被害にあう可能性は常にあったことを知らなければな
りません。

<自衛隊撤退論に伴うリスク>

それでも、人質3人の人命救済のためには自衛隊を撤退させるべきだ、という
意見はありえますし、人命は限りなく重いものであることは私も理解してい
ます。そこで、逆に自衛隊を実際に撤退させる場合のシュミレーションを私
も考えてみました。

まず人質解放のために撤退するわけですから武装グループにわかる形で自衛
隊は撤退しなければなりません。武装グループとコミュニケーションが直接
取れていないことを考えれば、自衛隊は映像として撤退の様子を見せなけれ
ばなりません。「さあ、見ろ、自衛隊は撤退しているぞ」とテレビで見せな
ければならないわけです。これは、世界中に撤退を知らせることになるわけ
ですし、イラク中の武装グループ・テロリスト組織もこのことを知るわけで
す。

自衛隊の派遣隊員は、約550人(サマワの陸上自衛隊)と言われています。こ
の550人も、人間です。撤退作業の間この550人は命を危険にさらすことにな
ります。しかも撤退の状況をメディアで報じながら行くわけですから、武装
グループにとっては格好の標的になることは十分考えられます。もし撤退中
の自衛隊が襲撃され、死傷者を出した場合、自衛隊こそ政府の全責任の下に
イラクに派遣しているわけですから、その責任はまことに甚大となります。

マスコミの一部の論調を見ていると、安易に「自衛隊撤退を」と主張されて
いる方がいて、若干違和感を覚えます。自衛隊の隊員はロボットではなく、
民間人と同じ人間です。そして多くの隊員が、立場こそ違え個人レベルでは
「イラクの人道復興支援に役立ちたい」との思いでイラク行きを志願したと
聞いています。その意味では民間の支援ボランティアの方とあまり変わりが
ないと思っています。そして隊員にも家族がいらっしゃいます。私はこうい
う点も慮って政府は対応を決めたと思っています。

<人質救出には全力を尽くす>

しかし、自衛隊撤退拒否=人質見殺しではありません。政府・与党は木曜の
夜以来、全力を尽くして人質救済のための方策を講じてきております。私も
数少ない中東人脈などをたどり情報収集したり、米国で紛争解決を研究して
いる友人の助言を受けて、ここでは詳らかにしませんが、私なりの提言を党
の執行部や政府中枢に提案しました。

昨日の早朝になって「人質解放」の報道があり、安心したのもつかの間、今
日に至るまで開放にはいたっておりません。この段階での情報を総合すると、
今回の事件、特に武装グループの対応には不可解な点も多く、一体背景や意
図は何なのか、理解しがたい部分もあります。また、3人の映像が木曜日の
ビデオテープ以来途絶えていることも心配です。

いずれにしても、3人の人質が生きて無事に帰ってくることが至上命題であり、
その目標に向けて政府・外務省としてもさらなる努力を継続すべきであること
は論を待ちません。私も微力ながらできる限りのことをしていきたいと思いま
す。


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遠山清彦(とおやま きよひこ)    

参議院議員、平和学博士(Ph.D in Peace Studies, University of Bradford,    
UK,1998)    

参議院:厚生労働委員会・沖縄北方特別委員会理事、決算委員会委員    
公明党:参議院国会対策副委員長、青年局長、宣伝局長、国際局次長、
    遊説局次長、東京都本部副代表、沖縄県本部・山梨県本部顧問    

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発行部数: 3659部(2004年4月12日現在)
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