T-mode 遠山清彦の国会奮戦記

[T-mode]No.191 遠山清彦の国会論戦:イラク特委員会・参考人質疑

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                     【No. 191】 2004年(平成16年)2月18日発行

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      【タイトル】 遠山清彦の国会論戦:イラク特委員会・参考人質疑
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みなさん、こんにちは。

去る2月9日、参院イラク特別委員会での私の論戦の議事録が公開されま
したので、配信させていただきます。連続2回になりますが、まず、最
初は参考人質疑の記録です。

国会の委員会では重要な案件について参考人を招致して意見を聞くこと
ができます。この日も、4人の専門家を招き、まず冒頭各15分ずつ自由
に意見陳述をしていただき、その上で各党の代表が質問します。以下、
私が公明党を代表して行った参考人との質疑です。

ちなみにこの日の参考人は以下の通りです。

渡辺昭夫氏(平和・安全保障研究所理事長)
小川和久氏(国際政治・軍事アナリスト)
酒井啓子氏(アジア経済研究所参事)
小田中總樹氏(専修大学教授)

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 2004年2月9日  イラク人道復興支援に関する特別委員会
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○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。
 今日は、四名の参考人の方、大変にインフォーマティブな話をしてい
ただきまして、ありがとうございました。
 まず、渡辺参考人と小川参考人にそれぞれ簡潔にお答えをいただきた
いんですが、日本のこの最近の議論の中で、日米同盟とそれから国連中
心主義が相反する路線であるかのように説かれ、そしてその上で、日本
は日米同盟と国連中心主義とどっちを取るんですかと、こういう問い掛
けが例えばテレビの討論番組なんかでも私たち国会議員に対して問い掛
けられたりするわけであります。私、個人的には、この問い掛けという
のは、問い掛けをすること自体が国際社会から見るとちょっと違和感の
ある問い掛けなんではないかと思っております。
 なぜかといいますと、そもそも日米同盟というのは日本と米国という
二国間関係の中での話でありまして、日本にとりましては、日本が有す
る二国間関係の中で最も重要な二国間関係であるという位置付けになる
話であります。他方、国連ということを考えました場合に、そもそも米
国自体が国連の重要な一加盟国でありまして、安保理の常任理事国でも
ある、また、今回のイラク戦争は別といたしましても、その他の過去の
国連の様々なオペレーションにアメリカは多大に貢献をしてきていると
いうことは事実としてあるわけであります。ニューヨークにも、アメリ
カのニューヨークに国連本部があるわけでありまして、そもそも国連と
アメリカを分離して、どちら取るんですかという問い掛けすること自体、
私は若干違和感覚えているわけでありますけれども、両参考人の、この
いわゆる日米同盟と国連中心主義というのをどうとらえるか、これにつ
いて御意見を伺いたいと思います。

○参考人(渡辺昭夫君) 簡潔にお答えします。
 遠山委員の御意見に全く一から、始めからしまいまで賛成でございま
して、特に異論はございません。
 国連というものが、何というんでしょうかね、おっしゃるとおり、ア
メリカが例えばそっぽを向いた国連というものがあり得るかどうか、機
能し得るかどうかということを考えればそう言えると思うんですね。た
だ、先ほど私の最初の陳述で申し上げましたように、どうしても国連と
いうものが国際社会の一つのまとまった姿として人々は考えているわけ
で、何かまとまった国際社会というのがあるんだという前提で議論が進
んでいるから、もしその中で意見の対立があったときに日本はどっちか
を選ばなきゃいけないということになるんですね。そうすると、国連の
中でのアメリカの立場を日本は支持するのか支持しないのかということ
を問われているわけでありますので、日米同盟を選ぶと日本が決めた以
上は国連政策についての日本の立場もおのずから明らかであるというふ
うに私は考えます。

○参考人(小川和久君) 大変重要な御質問、ありがとうございました。
 私は、やはり日米同盟か国際協調かという設問そのものがやはり我々
自身整理しなければいけない問題ではないかなと思っております。
 私たちは、ややもすると始めに同盟関係ありきという格好ですべてを
語る。しかし、それは違うだろう。一つの日本という独立国家が平和と
安全、それから繁栄を実現していくためには、同盟関係をいずれの国と
結ぶかという同盟関係の選択というのは、これは最初に来るものではな
いということなんです。
 まずは、独立国家としてどういう形で積み上げていけばそれが実現で
きるのかということを検討し、一つの外交・安全保障の構想を描き、そ
こにおいてやはり適切な同盟関係を選んだ方が効果的であろうというこ
とでどこかの国を選ぶ、最後に持ってくるような位置付けなんですよ。
ですから、設問自体がそういった問い掛けがあることはおかしいという
遠山さんの御意見は全く同感でございます。
 ただ、私たちが考えなきゃいけないのは、まず日本国憲法というもの
が国際主義に立ち、また平和を実現しようということをうたっている、
そして九条においては我々が指弾をされている侵略戦争をしないという
ことをうたっている、そういう立場で、やはり世界の平和のために我々
はできることにおいて行動しなきゃいけないという立場なんです。
 そういったことを前提にして、憲法の精神を受けて、戦後日本国は二
つの旗印を掲げてきた。原理原則と言ってもいいんですが、それが平和
主義であり、国連中心主義ですよ。平和主義というのは、日本なりに世
界の平和の実現のために努力をし、それに対する世界の評価と信頼が生
まれてくることによって日本の安全と繁栄が確かなものになる、国益を
追求した考え方でございます。そして、その平和主義を実現するために
我々が使おうという仕組みが国際連合という国際機関、これが国連中心
主義であります。まずそこから始まって、そして自らの国の安全を高め
るために日米同盟を選んでいるんだという考え方に持っていかないとや
はり落ち着かないと思うんですね。
 ただ、そうはいっても、アメリカという国は国連の中でも一番、分担
金二二%を負っているような大きな立場でございますし、世界のスーパ
ーパワーでございます。この国の影響を受けないで済むということはあ
り得ない。ただ、アメリカから見て日本という国は一番重要な同盟国で
ございますので、その立場を自覚してアメリカとの戦略対話を常に進め、
日本が掲げてきた平和主義や国連中心主義にふさわしい形で日米同盟の
中身を変えていく、その営みがあってもいいだろう。
 私は、一九八九年以来、日米同盟の平和化という言い方をしておりま
すが、そういった方向をやはり考えていく中では、討論番組などでそう
いう質問をする司会者も消えていくだろうと思っております。
 どうもありがとうございました。

○遠山清彦君 ありがとうございます。
 続きまして、酒井参考人にお伺いをしたいと思いますが、二点質問ご
ざいます。
 私も個人的にイラクは三度訪れておりまして、北部に二回、それから
南部のサマワ、昨年神崎代表と行かせていただいたわけですが、一問目
は、これは私の全く個人的な素人感覚の印象でありますが、イラクとい
っても非常に広い、北部と南部ではかなりいろんな相違があるなあと思
っております、感じております。
 酒井参考人はもう御専門ですので、歴史的観点、民族的観点、宗教的
観点、政治的観点、いろんな観点から違いをお述べになれるというふう
に思いますが、私が感じたことは、北部においてはそもそも地元の社会
の中のテンションが南部に比べて高いと。つまり、北部ですとクルド人
もいる、クルド人の中でも争いがある。それからトルクメン人、トルコ
系の方々もいる。それからアルメニア人とか、またイラク人も、当然ア
ラブ系の方もいるわけですけれども、スンニ派、シーア派ということで、
そもそも非常に北部は地元社会にテンションがあって、そこに今はアメ
リカ軍が、また北部は特にアメリカ軍が多いわけですけれども、来て、
そのテンションの在り方というのはダブルフォールド、スリーフォール
ドになっているんじゃないかと。
 他方、南部はシーア派の方が非常に多数を占めておりまして、サマワ
なんかでも余り、地元の、部族間のテンションというのは当然あるとは
思いますけれども、いわゆる北部と比べると非常に南部というのはテン
ションが低いんではないかということを感じたわけでして、それが、例
えば私が現地に行ったときに米軍の将校と話をして、北部では例えばヘ
リコプターに対する地対空ミサイルの攻撃がかなり頻発をしたけれども、
バグダッド以南では一度も起こっていないということも現実としてある
わけでありまして、このことがそれだけで説明できると思いませんけれ
ども、北部と南部の違いといったものをちょっとお話をいただければと
思います。
 それからもう一つは、先ほど来ほかの質問者からもありましたが、や
はりイラクの復興にとっては治安の安定が大事である、治安の安定のた
めには武装解除というのが大事であると言われております。ただ、私も
イラクに三度行った者として、イラクには自衛の文化というものが非常
に根強くあって、もう一家に一丁銃があるのが当たり前と。そのこと自
体に何か特別に悪いことだという意識は地元の方ないと私これは思うん
ですね。
 そうなりますと、治安安定のために武装解除をやらなきゃいけない、
こういうことを外の社会で我々がしても、それを実行すること自体が現
地の人にとっては非常に阻害される、侵害されるという感覚を持たれる
んではないかという懸念を私持っております。
 そういう意味で、この治安の安定のための武装解除とイラクにある自
衛の文化、この関係についてコメントいただければと思います。

○参考人(酒井啓子君) 南北の相違、イラクにおける南の社会と北の
社会の違いについて簡潔に述べさせていただきます。
 まず、全体として申し上げたいのは、今モスルの御指摘がございまし
た、迫撃砲で攻撃があったりヘリコプターが落とされたりという。モス
ルは実はこれ、最近矮小的に、矮小されて解釈されておりますスンニ・
トライアングルの中に入っております。スンニ・トライアングルといい
ますのは、基本的にモスルからバグダッド、バークーバ、ラマディとい
ったいわゆるチグリス川、ユーフラテス川に挟まれた、バグダッドから
北の三角地帯のことを一般にスンニ・トライアングルと言うんですが、
余りにもティクリート辺りの攻撃が激しいものですから非常に小さく考
えられておりますけれども、モスルも一応スンニ・トライアングルの一
部です。ということは、攻撃が激しいのは北部というよりはむしろこの
拡大されたスンニ・トライアングル、モスルを含めた三角州、チグリス
・ユーフラテス川の間の三角地帯が一番激しいわけでございます。
 恐らく、先生が行かれました北の地域、クルド地域であるかと思いま
すけれども、クルド地域は確かにおっしゃるとおり民族的な対立が激し
いところでございます。キリスト教徒もおりますし少数民族もおります。
ただ、一番そういった問題が集約しておりますのはキルクーク、油田地
域のキルクークという町とその周辺に集中しておりまして、むしろそれ
よりも北になります山岳地域になりましたらばクルド人が優勢でござい
ますので、同じクルド地域であってもかなりテンションの高いところと
そうでないところと分かれております。ただ、おっしゃるとおり、これ
までの経緯からいえば、南よりも北の方がテンションが高いと、南の方
が比較的に低かったということは言えるかと思います。
 ただ、問題はこれからでございます。これからは、南部地域も必ずし
もシーア派ということで一つにまとまっているわけではございません。
今のところはまずシスターニという最高指導者の下に動いておりますけ
れども、シーア派の中にも幾つかの派閥がございまして、いわゆる急進
派から穏健派までかなりございます。
 例えば、南部の、同じ南部でございましてもいわゆる先ほど御指摘の
あったようなメソポタミア湿原の辺りというのは、イランがかつてゲリ
ラ活動をかなり頻繁に入り込んでいた地域でございますので、アマラか
らクート、失礼、アマラから、そうですね、クート、そしてその湿原地
域というのは、いわゆるイラン系のゲリラ活動によって教育された脱走
兵によるゲリラ活動というものが、まあ強硬、いわゆる強硬派の拠点で
あったりいたします。その一方で、ナジャフというところでは穏健派が
まあ指導、支配的であるというような、様々な色模様が戦後徐々に徐々
に明らかになってきております。
 ですから、これから政権構想、暫定政権を作るという段階までこのシ
スターニさんを中心とした大同団結の関係が維持できれば安定が続く可
能性はございますけれども、これもある意味では一触即発。そうした派
閥抗争があらわになれば、北部と同様の権力抗争がかなり激しくなると
いう危険性もあるというふうに考えた方がよろしいかと思います。
 それから、自衛の文化、イラクにおける自衛の文化ということでござ
いますけれども、確かに部族社会におきましては、地方のですね、地方
部の部族社会においては、部族は自分たちで自分たちの社会を武器を持
って守るという文化がございます。しかし、都市部におきましては、銃
を持ってそれぞれの家庭が自らを守るということは最近の傾向でござい
ます。もっと具体的に言えば湾岸戦争以降でございます。
 湾岸戦争のときに全面的なアメリカの攻撃を予想したイラク軍が、こ
れはもたないかもしれない、政権がもたないかもしれないということで、
それぞれの地方に銃を配りまして、イラク軍が守れなかった場合には自
ら敵に対して戦うようにということで配った、それによって銃が蔓延し
たという経緯がございますので、必ずしも、ここ十三年間はそうした銃
社会だとは言えますけれども、それ以前は必ずしも銃がそれぞれの家庭
で持っているのが当たり前というようなことではなかったと言えると思
います。

○遠山清彦君 続きまして、再び小川参考人にお伺いをいたします。
 テレビでも出ていますし国会でも出ていますが、今のイラクを事実上
の戦地という表現が日本で今出回っております。私も元々議員やる前に
国際政治学の研究をしていた者として申し上げますと、確かにイラクは
テロも頻発をしております。強盗、野盗のたぐいも頻発をしている。そ
して、毎日のように、週によってはアメリカ兵の死傷者の数が報じられ
るということで、ベトナム戦争のときと同じじゃないかという気持ちを
持つ日本人がいるということは私も理解をしておりますが、しかし、戦
争というのは、戦地というのは、ある組織がある政治的目的を達成する
ために存在して、組織的、計画的に日常的に敵に対して攻撃を加えてい
る状況が常態化していないと戦争とは呼べないんではないかというふう
に私は思っておりますが、今、小川参考人から見てイラクは戦地と呼べ
るんでしょうか。

○参考人(小川和久君) 大変難しい御質問をいただきまして私もちょ
っと困っております。ただ、学問上の定義ということでいいますと、今、
遠山さんがおっしゃったとおりでございます。
 ただ、もう一つの角度から私たちは見ておく必要があると思うんです
ね。それは、今日最初に意見陳述の中で申し上げましたように、イラク
全体ということでいいますと、秩序が崩壊している、当然治安が悪い、
いわゆる戦場と明らかにみなされる地域だけではなくて、全般的に危険
が存在するということでございます。その中で、日本は、国内世論の問
題もございますし、いわゆるアメリカ軍、イギリス軍が本格的な武装、
武力行使可能な編成、装備で行動している地域は避けた。そこにおいて
は、私は官僚的な答弁で非戦闘地域なんて分けるのはナンセンスだと思
っておりますし、それをやっている官僚機構の皆さんもナンセンスだと
思っておりますと、まあ内々言っているんじゃないかと私は思いますけ
れどもね。
 やっぱり私たちが考えなきゃいけないのは、武力行使可能な編成、装
備とはどういうものかということも視野に入れながら、我々が平和実現
のための、平和創出のための足場を作る任務を自衛隊に与えるというこ
とを考えなきゃいけないという話なんです。
 最初お配りした資料の黒丸の二番目にありますが、やっぱり軍事知識
の欠如が議論を混乱させているという印象が非常に強いんですね。これ
はもう本当に、税金の使い道を通じて自衛隊を健全かつ適正に生かして
いこうというマインドに欠けるからシビリアンコントロールを放棄した
状況があると言わざるを得ないんですが、その中で、本当に武力行使可
能な編成、装備といいますと、この中でRCT、連隊戦闘団という言葉
がありますが、これじゃなきゃ駄目なんですよ。これ組まないで、歩兵
連隊、普通科連隊と自衛隊で言いますが、それが持っている武器の範囲
で何ができるかという話なんですね。ですから、やっぱり陸上自衛隊は
今回そこにも行っていないレベルの編成、装備でありますので、やはり
それにふさわしい地域、つまり日本的に言いますと、戦場じゃないとこ
ろでの活動を行うことになるんだろうと思っております。
 ちょっとお答えにならないような話でございますが、ありがとうござ
いました。

○遠山清彦君 以上でございます。終わります。



※参議院会議録情報より転載

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遠山清彦(とおやま きよひこ)    

参議院議員、平和学博士(Ph.D in Peace Studies, University of Bradford,    
UK,1998)    

参議院:厚生労働委員会、沖縄北方特別委員会理事、決算委員会委員    
公明党:参議院国会対策副委員長、青年局長、宣伝局長、国際局次長、
    遊説局次長、東京都本部副代表、沖縄県本部、山梨県本部顧問    

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発行部数: 3633部(2004年2月18日現在)
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バックナンバー: http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000060924 
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