T-mode 遠山清彦の国会奮戦記

[T-mode]No.186 陸上自衛隊本隊のイラク派遣

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■■■ T−mode  〜参議院議員・遠山清彦のメールマガジン〜 ■■■     
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                     【No.186】 2004年(平成16年)1月27日発行

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      【タイトル】 陸上自衛隊本隊のイラク派遣 
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みなさん、こんにちは。

なかなかメルマガを書く時間を「見つける」のが大変で苦労しています。
今日は、深夜の犬の散歩の後、やはり書かなければならないと思い、自
宅のパソコンに向かっています。


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1.派遣命令下る
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私の今日1日は、朝8時の党拡大中央幹事会の参加から始まりました。テー
マは、ずばりイラク・サマワへの陸上自衛隊本隊の派遣の是非でした。最
初内閣官房副長官補より、先遣隊の調査結果についての報告があり、質疑
応答もしました。その報告によって明らかになったことは、(1)サマワ
の治安が比較的安定しており、イラク特措法上自衛隊が活動可能な「非戦
闘地域」であること(2)サマワの市長、また市民に大きな影響力を持つ
部族長、ムサンナ県の県知事など、地元の人々が自衛隊を歓迎しているこ
と(3)自衛隊が貢献できる支援ニーズが多くあること、等でした。

この報告聴取の後、党内で議論しましたが、大勢は派遣に賛成でした。た
だ、先遣隊の報告の中身がまだ具体性に欠いていること、政府側の国民に
対する情報提供・説明が不足だったり遅れ気味な点、自衛隊派遣以外の日
本の貢献について迅速に実施すること等、この日の正午に予定されていた
神崎代表と小泉総理の党首会談を念頭に、注文は相次ぎました。私自身は、
「自衛隊のイラクでの活動にばかり焦点があたっているが、今この瞬間に
も、東ティモールで自衛隊が活動していることを忘れてしまってはならな
い。東ティモールの旭大使と先日話したが、日本の自衛隊は現地の人々や
国連内で大変高い評価を得ている。そういう実績と基盤の上に、今回のイ
ラク派遣(人道復興支援目的)があることを政府はしっかり説明すべきだ」
との意見を述べさせていただきました。

正午の党首会談では、神崎代表が党内論議を踏まえ、首相の判断を尊重す
る旨を伝え、夜、石破防衛庁長官が派遣命令を出しました。

派遣を決断した与党の一員として、重い責任を痛感するとともに、派遣さ
れる陸海空自衛隊の隊員が全員無事に任務を終えて帰国することを心から
祈る次第です。

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2.自衛隊派遣に関わるいくつかの主張について
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ところで、この自衛隊派遣に関係して、マスコミではいろいろな主張がな
されています。勿論、多様な意見が出て議論が交わされることは健全であ
り、大いに結構だと思います。しかし、派遣に賛成した立場から答えてお
かなければならない論点もあります。以下、簡潔に述べたいと思います。

1.イラクは「戦地」か?
イラクではテロが頻発し、武装グループによる強盗事件も後を絶ちません。
その意味では世界の中でもかなり混乱した危険地域と呼べることは間違い
ありません。しかし、それがイコール「戦地」かというと、首をかしげざ
るをえません。武装攻撃を継続して計画的に連合軍に対して行う組織がイ
ラクに存在する場合、広い意味での「戦地」と呼べるかもしれませんが、
イラクからの報道を総合分析して、そのような組織体の存在を証明するこ
とができる人はおそらくいないはずです。多数の主体によるテロや通常犯
罪である強盗の頻発=戦争ととらえるのは、明らかに飛躍した議論です。
この10年テロ事件が日常的に起こっているイスラエルを「戦地」と表現す
るマスコミはほとんどないと思いますが、なぜイラクだとすぐ「戦地」と
なるのか、理解に苦しむところです。

2.自衛隊は海外で武力行使するのか?
自衛隊は、海外での武力行使を憲法によって禁じられていますので、これ
はありえません。多くの学者が指摘しているように、武力行使=戦争とい
っても過言ではなく、日本は自らの生存権に関わる自衛目的の場合のみそ
の防衛能力をフル活用できるのです。イラクに派遣される自衛隊の任務は、
あくまでも人道復興支援作業です。武器を携行するのは、万が一武装した
勢力に襲われた際の護身が目的です。「自衛隊は非戦闘地域で活動するの
だから、『万が一』があるのは、おかしいではないか」とおっしゃる方も
いるかもしれませんが、組織的かつ計画的な武装攻撃が継続して行われな
い地域(=非戦闘地域)であっても、テロ攻撃や強盗の危険はあります。
危険がある以上、正当防衛できるだけの最低限の武装をすることは憲法上
も許されると思います。ちなみに、このようなケースで武器を使う場合は、
「自衛目的の武器使用」(警察官が正当防衛で武器を使用するのと同義)
と呼ぶのであって、法律上は「武力行使」とは区別されています。

3.自衛隊派遣はアメリカの「いいなり」の結果か?
自衛隊は昨年の通常国会で可決された「イラク特措法」という法律に基づ
いて派遣されますが、その法律が作られた直接的な理由は、イラク戦争後
に国連において全会一致で可決された「国連決議」です。出発点は、米国
でなく、国連だということを確認したいと思います。また、根拠の不明な
推測報道はともかく、米国政府首脳が日本政府に対し、具体的に「いつい
つまでに、イラクのどこそこに、自衛隊を何人派遣して、これをやれ」と
いうような「命令」や「注文」をつけたことは、私の知る限りありません
(ちなみに、私はブッシュ大統領と小泉総理の会談の通訳をした米国人と
会って話を聞きましたが、そこでも一切そんな話はなかったそうです)。

それから、このような意見は、すでにイラクに軍隊の一部を送って復興支
援に従事している米国以外の国々に対して非常に失礼だと思います。ちな
みに、サマワのあるイラク南部では、イタリア・ポーランド・韓国・タイ
・フィリピン・ブルガリア、などの部隊が中心となってすでに活動してお
りますが、これらの諸国も「米国のいいなり」で来たのでしょうか?タイ
のスラキアット外務大臣と私は昨年豪州で会って話をしていますが、タイ
は米国の対イラク戦争に明確に反対を表明した国です。しかし、イラク再
建には迅速に参加しました。理由は、イラクの人道復興支援は、国際社会
全体が取り組むべきものだというものでした。それをタイ政府の主体的判
断で行っているのであって、「いいなり」などといわれたら怒られると思
います。日本も同様に、政府の主体的判断で派遣決定をしております。

4.日本は戦前の軍国主義へ逆行しているのか?
非常に短絡的な意見と言わざるをえません。戦前の日本軍兵士は、「お国
のため」といって徴兵され、海外に「植民化」「邦人とその権益の保護」
「領土拡張」(=侵略)などの目的のため派遣されました。また、当時の
日本軍が究極的に守らねばならないとされていたのは、国民というよりも
「天皇を頂点とした国のあり方」(=いわゆる国体)でした。そのため、
軍事戦略上敗北することが明らかな場合や非戦闘員である国民に多大な犠
牲が出ることが分かっている場合でも、国体護持に資するとされた戦争は
継続されたわけです。また、シビリアン・コントロール(文民による軍隊
の統制)も反故にされており、軍人のトップがそのまま内閣のトップに座
る異常事態になっていったのです。

それに比して、今次の自衛隊派遣に類似性はどの程度あるのでしょうか。
まず、自衛隊という組織は「志願制」であって、その隊員たちは「お国の
ため」といって強制的に入隊させられたわけではありません(また、PKO
など海外の任務に赴く際もたいていは志願制と聞いています)。そのうえ、
派遣される目的が全く違います。日本政府は、人道復興支援目的でイラク
に派遣するわけで、この派遣によって植民化・領土拡張・権益保護などの
実現を図るわけではありません。もちろん、今回の派遣が非常に広い意味
で日本の国益に合致すると私も考えていますが、この場合の国益とは「イ
ラクの石油権益」などという矮小な話ではなく、要はイラクの平和で民主
的な復興が日本を含む世界全体の利益にかなうということです。そして、
これは言わずもがなのことですが、現在の日本では強固なシビリアン・コ
ントロールが制度的に確立しています(総理も防衛庁長官も文民であり、
自衛隊の活動については国会の承認も求められています)。

これだけの根本的相違があるにも関わらず、「今の日本は戦前に戻った」
と主張するのは、かなり無理があります。

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3.国会で本格論戦
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上記以外にも、論点はありますが、明日の仕事も考えて今日はこのあたり
で終えたいと思います。いずれにせよ、国会の予算委員会やイラク特別委
員会の場で、議論は本格化していくでしょう。私も参院の特別委員会に所
属していますので、何度か質問に立つ機会があると思います。派遣には賛
成の立場ですが、政府の運用すべてに満足しているわけでもないので、追
及すべき点は追及したいと思います。また、外の講演会の場などでも、し
っかり説明責任を果たしていこうと思います。

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4.民主党議員の学歴詐称疑惑
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最後に、これを書かないと眠れませんでした。民主党の古賀代議士の学歴
詐称疑惑、本人は今日帰国したのですが、明確なけじめの話が出ませんで
した。このメルマガが配信されるころには、出ていることを期待しますが、
事ここにいたっては議員辞職するしかないと思います。私も海外留学長い
のでよく知っていますが、自分が卒業したかどうかは絶対知らないはずが
ないし、だいたい「弁護士」に卒業を確認してもらった話などにわかに信
じがたいものです(自分で手紙か電話すれば済むことですから)。その証
拠に、古賀代議士本人は、大事な大事な「弁護士」さまの名前を覚えてい
ないとか。いい加減うその上塗りはやめたほうがいいと思います。菅代表
も、公明党に難癖つける前に、古賀さんのご指導に集中していただきたい
と思います。


(1月26日)


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遠山清彦(とおやま きよひこ)    

参議院議員、平和学博士(Ph.D in Peace Studies, University of Bradford,    
UK,1998)    

参議院:厚生労働委員会、沖縄北方特別委員会理事、決算委員会委員    
公明党:参議院国会対策副委員長、青年局長、宣伝局長、国際局次長、
    遊説局次長、東京都本部副代表、沖縄県本部、山梨県本部顧問  

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発行部数: 3475部(2004年1月27日現在)
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