T-mode 遠山清彦の国会奮戦記

[T-mode]No.184 渡米報告:1月11日?16日

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■■■ T−mode  〜参議院議員・遠山清彦のメールマガジン〜 ■■■     
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                     【No.184】 2004年(平成16年)1月19日発行

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      【タイトル】 渡米報告:1月11日〜16日
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みなさん、こんにちは。

正月が終わったと思ったら冬将軍の本格的到来です。特に北日本方面は
大変だったようですが、みなさん安全第一・健康第一でがんばりましょ
う。

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1.日米議員交流プログラムに参加
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さて、表題のとおり、私は11日から5日間米国を訪問してきました。196
7年から(財)日本国際交流センターが主体となって行っている「日米議
員交流プログラム」第24回派遣団の一員としての訪米で、首都ワシント
ンに3日間、ニューヨークに1日滞在し、政界・財界・学界の有力者と、
イラク・北朝鮮を中心とした外交問題、日米関係、米国内政事情など、
精力的に意見交換してきました。参加者は、自民党から3名、民主党から
3名、公明党からは不肖私1名の、計7名でした。

私は今回のプログラムには初参加で、しかも個人的にもワシントンは初訪
問でした。日本国際交流センターの山本理事長も同行されたのですが、も
う30年近く(?)日米交流の第1人者で人脈も幅広くお持ちで、それをフル
活用して作ってくださった日程はかなりハードでした。

研究者・学界関係者は、ブルッキングス研究所や国際戦略研究所の面々だ
けでなく、国防大学戦略研究所、米国平和研究所など多くの機関の一流の
研究者と忌憚なく意見交換することができました。NYでは、山本理事長の
個人的パイプで、ヘンリー・キッシンジャー博士と一時間懇談することが
できました。

財界関係者としては、AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)
という企業幹部との懇談や、ティモシー・ガイトナーニューヨーク連邦準
備銀行総裁などと会見しました。

また、米国政府・議会関係者でも、ジェームズ・ケリー国務次官補、ドナ
ルド・ラムズフェルド国防長官、マイケル・グリーン国家安全保障会議ア
ジア上級部長等と直接会談することができ、議会では、コーニン上院議員
(テキサス州)とワックスマン下院議員(カリフォルニア州)と意見交換
しました。

さらに、ワシントンでは戦略国際問題研究所の主催で、ニューヨークでは
ニューヨーク日本人商工会議所の主催で、それぞれわたしたち国会議員が
パネリストとなってシンポジウムを行い、ここでは日本の政治の現状につ
いて報告すると共に会場からの質問にも答えました。

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2.北朝鮮問題
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北朝鮮問題については、様々な相手と議論しましたが、米側関係者からは
「拉致問題解決のために米国も積極的に行動する」との話が伝えられまし
た。ただ、そのうえで、現在6カ国協議の枠組みで主要なテーマとなって
いる核開発問題の解決に両国が全力を尽くすことも確認されました。北朝
鮮は、多国間協議と2国間協議をうまく使い分けて、日本などある特定の国
に揺さぶりをかける外交が得意なので、関係国の連携が非常に重要だと思
います。

拉致議連に所属する国会議員からは、最近報道されている北朝鮮の柔軟化
について、米国政府が不快感を持っていることが伝えられていることを指
摘し、その点についての見解は米政府にただしましたが、政府高官は、そ
の情報が事実無根であり、米政府はいかなる改善への動きも歓迎する旨明
言していました。

今回米国へ行って思ったのですが、とにかく米国は大きい国で、政府や議
会関係者の数も非常に多いので、ワシントン発の情報といえども真偽の区
別がなかなか難しいだろうということです。私の滞在は短かったので、直
感的な思いつきに過ぎないのですが、米国では日本以上にさまざまな情報
操作が行われているような印象を持ちました。

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3.イラク問題
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イラク問題、特に日本の自衛隊派遣問題については、会った人ほとんどと
議論したほど、話題に上りました。米国政府関係者は、自衛隊派遣を歓迎
していますが、一方で「日本がどんな貢献をするのか決めるのは、あなた
たち(国会議員)をはじめとする日本人であるから、具体的内容について
米国として要望はない」という立場を表明しました。(ちなみに、国務省
と国防省では、ともに昨年暮れの神崎代表と私のイラク訪問も話題になり
ました。)

実際にある高官は、次のような逸話を披露しました。小泉総理とブッシュ
大統領が会談したさいに、大統領がイラクへの日本の貢献に言及したとこ
ろ、即座に総理が「それは日本の問題ですから、私にまかせてください」
と発言し、大統領もそれ以上その話題を持ち出さなかったというのです。

これに関連して、キッシンジャー博士とNYで会った際、博士が私の質問に
答えて、「イラクで日本が何をすべきか。それは、日本人が決めることだ。
また、なぜイラクで日本が貢献するのか、その理由として他人(米国)を
引っ張りだしては本末転倒だ。イラク復興が日本の国益と世界の利益にか
なうという主体的判断ですることがまず大事なのではないか。」と指摘し
たことも、印象に強く残りました。

ちなみに私は博士への質問の中で日本がイラク復興に関与する理由として
まずは、国際社会全体の利益との関係、次に日米関係、そして日本の固有
の国益(特にエネルギー)とのかかわりを指摘していました。いずれにせ
よ、博士が強調したかったのは、私たち政治家が(当然国民の意見をきき
ながら)責任をもって主体的に判断せよということだったと思います。

あと、国防省での意見交換の中で得た情報で貴重だったのは、NYに本部の
ある国連がいよいよイラクに職員を戻らせる準備を本格化させているとい
うことでした。報道のとおり、今年6月にも占領当局はイラク人政府に主権
移譲すべく準備が始まっており、国連もイラク人の暫定政権樹立に合わせ
て本格的な活動を再開させる意向を持っていることがわかりました。

6月以降、米軍や英軍のイラク駐留形態がどのようになるか、いまだに不透
明ですが、私の予想では治安が相当悪化しないかぎり、駐留規模は縮小さ
れると思いますし、それと同時並行で国連の役割が強化されるという感触
を持ちました。「それなら、自衛隊派遣も国連復帰まで待てばよい」とい
う意見(朝日の社説など)もありますが、現地の窮状をこの目で見てきた
私から言わせれば、やはり緊急人道援助はスピードが大きな成功の要素で
あり、そういう意味でサマワへの自衛隊(とりあえず先遣隊)派遣は間違
っていないと思っています。

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4.日米関係
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今回の訪米では、米国側から「日米関係が今ほどよかったことはない」と
いう声がよく出されました。ただ、私たちの訪問団は与野党問わず「本当
にそうなのか」という疑問を持っていました。確かに、ブッシュ大統領と
小泉総理は「ウマがあう」ようで、個人的関係はかなり良好だそうです。
また米国民の対日感情もここ最近著しく改善している調査結果があるよう
で、ワシントンではそういう空気が濃厚でした。

しかし、日本側は必ずしもそうではない、ということを私たちは丁寧に伝
えました。米国の一国主義的な外交の進め方に危惧を抱いている人も多い
し、ネオコンという言葉はあまりポジティブなトーンでは使われていませ
ん。米国のいいところはこういういいにくいこともあえて正面から発言で
きる雰囲気があることで、私たちも機会をとらえてこのことを伝えました。

米国側の参加者には意外な顔をした人もいましたが、その原因は日本で米
国のことが報道されているほど日本のことは米国で報道されていないこと
にあることがあるようです。日米は同盟国であり、官民共に交流がさかん
ですが、まだまだ情報量の偏りがあり、それが双方の誤認につながる可能
性を、今回肌で感じました。また、このことは、私たち日本人が、とりわ
け政治家がもっと米国に向かって意見発信をしなければならないことを意
味しており、そういう意味で反省しました。

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5.米国は21世紀のローマ帝国にはならない?
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最後に、キッシンジャー博士に私が聞いた2つめの話題を紹介します。私
は以前日本で博士に会ったことがあり、その際彼が「米国は21世紀のロー
マ帝国になるべきではない。帝国主義はかならず滅亡する」と話していた
ことを思い出し、その理由をもう少し具体的に話してほしいとお願いしま
した。

キッシンジャー博士の答えは明快でした。「帝国というのは野放図にその
領土と権力を拡大していき、いずれは自分たちの経験を超越してしまう。
それでも中央集権的に統治をし続けようとおもうと、武力集団に依存せざ
るをえなくなり、次第にその依存率は高まっていく。すると、その武力集
団、軍隊組織が強大な(政治的)力を持つようになり、最後はそこに国は
倒されるのだ。ローマ帝国も、もともと(政治指導者が)意図して帝国に
なったわけではないといえるが、最後は外国人傭兵勢力に倒されてしまっ
たというのは、そういう事情によるのだ。だからアメリカは21世紀の帝国
になってはならない。」

さらに、興味深かったのは、その後の博士のコメント。「この点について
の理解が、私とネオコンの違いなんだ。」ちなみに、博士はもともとニク
ソン政権で国務長官をしていただけあって、共和党の現政権とも親しい関
係にあり、ネオコンの論客たちとも交流が深いのです。しかし、博士はこ
の会話以外の場所でも、自身とネオコンの違いを強調していました。私な
りの解釈では、博士もネオコンも安全保障政策的にはタカ派であり、米国
の国益にかなうならば(テロリストにたいする先制攻撃も含めて)断固た
る軍事行動を取るべきだという立場ではほぼ同じだと思います。他方、博
士は、国全体が軍事組織に依存していく統治のあり方、外交政策の進め方
については強い警戒心をもっており、その文脈でのネオコンと呼ばれる人
々と一線を画しているようです。

キッシンジャー博士の意見の中身の是非はともかく、私は博士の約1時間の
話の随所に、歴史と哲学を感じ、やはりこの方はもともと碩学の学者であ
り、そこが普通の政治家とは違うということを感じ、率直に感動したしだ
いです。


さあ、19日から国会が始まります。いろいろ準備不足の不安はありますが、
がんばります!

(1月18日)


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遠山清彦(とおやま きよひこ)    

参議院議員、平和学博士(Ph.D in Peace Studies, University of Bradford,    
UK,1998)    

参議院:厚生労働委員会、沖縄北方特別委員会理事、決算委員会委員    
公明党:参議院国会対策副委員長、青年局長、宣伝局長、国際局次長、
    遊説局次長、東京都本部副代表、沖縄県本部、山梨県本部顧問  

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発行部数: 3481部(2004年1月19日現在)
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