T-mode 遠山清彦の国会奮戦記

[T-mode] No.71 核兵器問題・ICC推進小委員会第1回会合

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                     【No. 71】 2002年(平成14年)6月7日発行

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      【タイトル】 核兵器問題・ICC推進小委員会第1回会合
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1.非核3原則を巡る論議
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みなさん、こんにちは。暑い毎日ですが、今年は本当に梅雨は来るのでしょうか。
W杯に影響がないといいのですが(今日は、私が日本並に応援しているイングラン
ドが強豪アルゼンチンと戦います。Come On England!と連呼したい気分です)。

さて、今朝の朝日新聞などに報道されていますが、昨日参院・外交防衛委員会で
福田官房長官の非核3原則発言を巡って論議が交わされました。私は質疑時間がな
かったので参加できませんでしたが、民主党議員や公明党の山口さんなどがいく
つか質問しました。そこで、「日本は核兵器を持つことができるのか」という問
題について議論を整理してみます。

結論から先に書くと、「日本は核兵器を持つことができるともいえるし、できな
いともいえる」という非常に分かりにくいものになっています。より具体的に言
うと、「憲法上」は「条件付で核兵器を持つことが解釈上可能」だが、「法律上」
あるいは「条約上」は「もてない」ということになっています。以下、この3つの
切り口についてそれぞれ詳しく述べたいと思います。

憲法9条と保有できる武器に関する政府解釈を簡単に言うと、?自衛権は否定され
ていない→?したがって自衛のための必要最小限の実力をもつことは許される→
?どんな兵器であれ必要最小限の実力の範囲に入るものであれば持つことは許され
る、ということになります。そこで核兵器に関しては、「核兵器であっても、仮に
自衛のための必要最小限度内にとどまるものがあれば」という条件付で、「保有は
必ずしも憲法の禁止するところではない」としているのです。

この論法は、一般的にみると「こじつけ」のような印象を受けますが、純粋に理屈
だけ考えればさほど問題がないという扱いを受けてきており、ただ、政府は非核3
原則(核兵器を作らない、持たない、持ち込ませない)を堅持し、国是としている
以上、政策・政治判断としては絶対に核兵器を持たないことになっているのです
(ということは、この政策判断が変われば、持つことができるということになる)。

さて、この政府解釈の最大の問題点は、「そもそも核兵器で自衛のための必要最小
限度内に入るようなもの」がありえるか、ということです。これに対し政府は197
3年に答弁をしており(内閣法制局長官)、その内容は「非常に小型で、性能が非
常に弱い核兵器が開発されるなら、防御的と呼べる」となっています。この答弁は、
しかし、私は個人的には説得力を欠いていると言わざるを得ません。

確かに、「自衛のための必要最小限の実力の範囲」というのはなかなか具体的に線
引きができない(軍事技術革新の進歩の問題があるため)かもしれませんが、しか
し、核兵器で防御的なものがありうるというのは、軍事技術の素人であってもにわ
かに信じがたい説です。しかも、日本政府は国際会議等において「核廃絶」を主張
してきているわけで、この防御的核兵器の存在を認めてしまうと、その主張の重み
はほとんどゼロになってしまうのではないかと深い懸念を抱かせます。実際、昨日
の委員会では山口議員は「非核3原則は憲法の運用としても定着している」という
主張を展開しましたが、まことに的を射た主張だったと思います。この点の議論は、
来週月曜日に予定されている衆院特別委員会での集中審議でも焦点になるでしょう。

次に、法律上日本は核兵器をもてないことになっていますが、その根拠は原子力基
本法です。この法律には「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り」
(第2条)という規定があるため、もし政府が原子力の兵器利用に着手するとそれは
明白な法律違反になります。

また、条約上も日本は核兵器を持つことはできません。日本は核不拡散条約(NPT)
締約国ですが、この条約は(この中身がいいか悪いかは置いておきます)「米、露、
英、仏、中5カ国以外の核兵器の製造と保有」を禁止しています。だから、日本が核
兵器を製造・保持すれば(NPTから脱退しない限り)、条約違反、国際的な信義を破
ることになるわけです。

いずれにしても、「憲法上は持てる可能性があるが、法律上、条約上、そして政策
(非核3原則=国是)上は、絶対持てない」という矛盾した政府解釈を取りながら
外交舞台では堂々と「核廃絶」を叫ぶという現状は、誰がどうみてもわかりづらく
釈然としないものです。日本は、被爆した唯一の国であるということや、国民の圧
倒的大多数が核兵器反対である事実を考えれば、核兵器に関しては「いかなる理由
があろうとも絶対に持てないし、持たない」という立場を政府は明確にすべきだと
思います。これは、福田長官が非核原則を見直すと言った言わないという次元では
なく、政府の核兵器に対する根本姿勢の問題であり、より突っ込んだ国会審議が必
要だと思います。

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2.ICC参加めざし、第1回会合
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最後に報告ですが、今朝8時から私が事務局長、荒木参議院議員(元外務副大臣)が
座長を務める国際刑事裁判所早期批准推進小委員会(長い名前ですいません)の第1
回会合が開かれ、外務省条約局の法規課長から説明を受け、また意見交換しました。
国際法のプロである外務省の担当官と議論しながら、今まで私も見えていなかった
論点がいろいろわかり、大変勉強になりました。予想以上に大変な作業をしなければ、
日本が来年設立の決まっているICCに参加することは難しいようです。しかし、断固
実現する決意をもってやるつもりですし、外務省条約局もその方向で頑張ってほしい
と思います。

ICCに関する新しい論点に関しては、また後日改めて書きたいと思いますが、いやー、
法律って難しいですね(一応、私法学部出身なんですが、学部生のころの不勉強がた
たって。今法学部学生のみなさんは、六法全書を枕にして寝たりしないで、がんばっ
てください!)。

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遠山清彦(とおやま きよひこ)    

参議院議員、平和学博士(Ph.D in Peace Studies, University of Bradford,    
UK,1998)    
参議院外交防衛・決算・沖縄北方特別各委員会委員    
公明党国際局次長、公明党沖縄県本部顧問、公明党東京都本部副代表    

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発行部数: 3107部(2002年6月5日現在)
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