歌助だより(中日のご祝儀)

--歌助だより(中日のご祝儀)第125号2011/7/25--

カテゴリー: 2011年07月25日
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歌助だより(中日のご祝儀)[エッセー集]第125号2011年7月25日
utasuke.com
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新潟日報に昨年1月から今年3月まで15回の連載された「落語家はつらいよ」の
原稿です。掲載された文章とは文字数の制限や表現の仕方で多少違ってるとこも
あります。

落語家はつらいよ その四、前座への道のりは遠く

 
 噺家というのは前座(ぜんざ)から始まり、二ツ目(ふたつめ)、真打(しんう
ち)と進んでいきます。1985(昭和60)年10月、桂歌丸師匠のもとに修行に飛び込
みました。まずは見習ですから、まだまだ先の話です。見習とは「高座(こうざ)を
務めることが出来ない者」という意味で、板の間に正座して、師匠やおかみさんに
言われた用をするのです。ものの十五分もすれば足がしびれてきます。黙って正座を
して師匠とおかみさんの会話を聞いています。立っている方が楽です。用を言いつ
けられる前に自分から動こうとします。座り続けて足がしびれる辛さを考えれば掃
除したり着替えを手伝ったり、お使いしている方がよっぽどいいわけです。段々と
師匠やおかみさんに言われる前に先回りして動く癖がついてきます。言われる前に
自然に動ける様になってきます。
 そんな毎日を一月位繰り返しすと慣れてくる分、いろいろ考えことをするように
なります。だいたいはご飯のおかずのことばかりでしたが…。師匠が留守だったあ
る朝のこと。おかみさんが「あなた好きな物は何?」と聞くので、「肉が好きです」と
答えたところ、お昼に豚肉の生姜焼きを作ってくれました。うれしくって師匠の留
守をひそかに期待するようになってました。
 師匠が数日間、旅に出た時には、おかみさんが私の希望通り、初日の昼はラーメ
ンを、2日目の昼にはカレーを作ってくれたんです。3日目には「好きな物を食べ
て来なさい」とお金を渡してくれました。近所の中華料理屋さんでレバニラ炒め定
食を食べました。おかみさんの優しさに感激していたら、帰って来た師匠から「か
みさんはお前の飯の係りじゃない。ご飯ばかり聞くな」と一喝されました。
 生活態度や物事の考え方など、弟子としての心構えを教わりましたが、厳しかった
のは「礼儀」と「挨拶」。そして「時間を守る」「金銭をきちんとする」。それを
守りながら、修行生活を送っていました。こっちは早く、落語を覚えて前座になり
たいものですから、師匠が早く「噺を一つ教えるぞ」と一声掛かることことばかり
考えていました。そんな思いが、端から見ていても分かったのでしょう。私の気持
ちを察してか、「稽古をするぞ」と言ってくれました。師匠の門を叩いて2カ月目
のことでした。
 待ちに待った師匠との稽古ではありましたが、はじめのうちは師匠の言うままの
内容を、一言一句繰り返すのがやっと。「覚えが悪い」と叱ってながらも、根気よ
く稽古をつけてくれまして、最初の噺の「新聞記事」を覚えるのに1カ月かかりま
した。師匠の前でつっかえることなく一席やり遂げたときは、体中が汗びっちょり。
師匠から「出来たな」と言ってもらった時にはうれしくて涙が出そうになりました。
 噺を一つ覚えましたから、「いよいよ寄席の楽屋で働ける」なんて考えていたら、
落語の世界はそんなに甘くないんですね。師匠から「もう一つ噺を覚えて、出囃子
の太鼓も叩けるようになってから寄席の楽屋に入りなさい」といさめられました。
 前座になるには着物を畳めなくてはいけません。お茶の入れ方、高座の座布団の
返し方など、決められた作法を覚えないといけないんです。早く落語家の仲間入り
したくて必死でしたから、2番目に覚えた噺「道灌」は半月で覚えました。弟子入
りが許されて前座になるまで半年かかりましたけど、修行時代に身につけた動きは、
今でも体に染みついています。みっちり教えてくれた師匠には「感謝」の二文字し
かありません。
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歌助:utasuke.com mail:utasuke@da2.so-net.ne.jp

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8月の主な予定

歌助一笑会
日時:平成23年8月4日(木)18:30開演 18:00開場
場所:上野広小路亭
演目:へっつい幽霊 権助魚
木戸銭(前売):1500円(1200円)
ゲスト:未定
住 所:台東区上野1-20-10 電 話:03-3833-1958
アクセス:JR線御徒町駅、地下鉄線広小路駅下車
問合せ:utasuke@da2.so-net.ne.jp(歌助まで)

8月11日(木)から13日(土)まで
気仙沼、南三陸町、大鎚町の避難所へ
震災慰問公演に参ります

8月20日(土)12時
絆チャリティライブが地元新潟県十日町市本町クロステンにて
行われ、地元出身のアーティストが集る中、落語を公演致します。

古典落語と寄席踊り(文化庁芸術団体人材育成支援事業)
■日 時:平成23年8月22日(月)午後5時30分
■ところ:お江戸日本橋亭
■木戸銭(前売り):木戸銭2000円
■その他の出演者:雷門助六 神田紅 春風亭美由紀 春風亭べん橋
■ペース:年2回
■住  所:中央区日本橋本町3-1-6
■電  話:03-3270-6018
■アクセス:地下鉄三越前A10出口より徒歩2分
            JR神田駅徒歩7分
■お問合せ:utasuke@da2.so-net.ne.jpまで

寄席公演情報
8月
16日(土)~19日(火)
11時開演 国立演芸場(千代田区隼町/19日は18時開演の興行もあり/2000円/
全席指定)



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