競馬の文化村「もきち倶楽部」

競馬の文化村「もきち倶楽部」   No.905

カテゴリー: 2008年09月03日
競馬の文化を発信するメール・マガジン       2008 年09月03日発行
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    競馬の文化村「もきち倶楽部」          No. 905

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▼目 次▼

■ 飯田正美の競馬よろず雑記帳  第30回         飯田正美

   一週早いが、今年の夜の新潟を総括してみたい


■ 馬の名前に文化を読む 第328回            森本 健  

   アーリントン ミリオン:Spirit One 牡4歳


■ 佐藤正人著『わたしの競馬研究ノート』 第572回   編:山本一生  

   競馬ノート15:競馬切抜帳(72)

     日本中央競馬会理事長 渡辺五郎さん


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■ 飯田正美の競馬よろず雑記帳  第30回         飯田正美   
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   一週早いが、今年の夜の新潟を総括してみたい
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「もしもし、今週は新潟に行くんだけど、土曜日なにか予定入っています?」
「いいえ、今週は大丈夫です」
「それじゃあ、どこかで一緒に飯でも食いましょう」
「分かりました」

 金曜日、午後3時ごろ当社T社長から内線が入った。次の週は、UHF「土曜
競馬ハイライト」を製作しているマイプランの打ち上げが予定されている。これ
で、今年の夏の新潟開催・夜の部の皆勤賞は決まった。

 四十代後半から夜の外出は年々減少傾向にあったが、3〜4年前からは逆に微
増傾向。それが今年はついに皆勤賞…。さらに齢を重ねる来年はいったいどうな
ることかと、自分でも少し心配。反省すべきは反省し、来年に備えなければなら
ない。というわけで、一週早いが、今年の夜の新潟を総括してみたい。

 新潟開幕週の土曜日は、「さらば ハイセイコー」の作詞で知られる、元アナ
ウンサーの小坂巌さんとの会食。某週刊誌の連載で十数年前に親しくなり、今で
も日曜日は競馬場のどこかで一緒にコーヒーを飲む間柄。二次会は、例によって
カラオケで盛り上がった。ちなみに、小坂さんはかなりの歌上手。いずれ競馬界
カラオケ番付を発表しようと思っているが、堂々の横綱クラスだ。

 新潟2週目はJRA主催の懇親会。二次会は、一緒に出席していたダービーニ
ュース本紙・長谷川さん、B社・Yトラックマン ( 競馬通信連載時のペンネー
ムは枠 順太郎 ) と三人で、ラジオニッポンご用達のカラオケ・スナック「C」
へ出陣。

 Y氏は酒を飲み、乗るととことん乗ってしまうタイプで、武勇伝は数知れない。
入社したその年の夏の新潟開催でのこと。酔っ払ってタクシーでホテルまで帰っ
たのはいいが、玄関前でアウト。生垣の傍で、そのままぐっすり眠り込んでしま
った。朝起きると眼鏡がない。仕方ないからそのまま競馬場に行き眼鏡ナシで仕
事をし、帰って植え込みの辺りを見ると生垣の上にちゃんと置いてある。割らな
いようにと、わざわざ外して眠り込んだらしい。

 一昨年の新潟ではもっとすごいことがあった。懲りて、自分に罰を与えるため、
昨年の夏の新潟はいっさい夜遊びしなかった。それで今年は、外出の際、眼鏡は
仕方ないとして、財布、カード、携帯の類はすべてホテルに置いて来ることにし
たという。ちなみに、ネクタイで鉢巻をしたら危険信号…が、仲間内での定説に
なっている。
「明日はグリーン・チャンネルの解説ですから、お先に失礼します」
 ネクタイをきっちり締めたまま、そう言って先に帰ったはずだった。しかし、
なぜかホテル到着は午前1時過ぎ。そのときにネクタイがどういう状態だったか
は知る由もないが、帰り道でホテル近くの店に寄り、ツケで飲んだらしい。後で
その話しを聞き、完全復活近しを強く予感したものだ。

 3週目は山口の田舎に帰省。

 4週目は、ラジオNIKKEIの打ち上げ。お開きの後、同席していた例のY
氏にもう一軒どうですかと誘われた。今回は財布もカードも携帯も持参している
という。
「これ、前の借りね」
 お店に着くなり、まずツケの支払い。しばらくは他に誰も来ず、客二人に女性
6人のハーレム状態。
「飯田さん、他にお客いないから、女の子みんな呼んじゃいましたよ。たまには、
こんなお化け屋敷もいいでしょう」
 そう言いながら、歌い踊り、自分の世界に浸り込む。歌う歌はすべて洋物。八
割がたが知らない歌だったが、関脇クラスのなかなかの歌唱力。Y氏は料理にも
うるさいが、音楽にもなかなかうるさい。そういえば、ホーム・パーテイーのと
き、料理の素材の解説に加え、バック・ミュージックの解説もあったような…。
 ちょっとわがままな客を、好きに振舞わせるお店の雰囲気もなかなかのもの。
ツケででも飲みに来たくなる気持ちは分かった。当方も、こんなお店は嫌いじゃ
ない。十年前だったら、毎週通っていたかもしれない。

 5週目は、前々から約束していた東スポF記者、カメラマンY氏と新潟駅前で
会食。古町外れの「K」の二次会では内外タイムスの橋本千春さんと一緒になり、
またまた午前さま。

 6週目は、ダービーニュース・長谷川さんと軽く一杯。テレビ番組出演のあり
がたい相談を持ちかけられたが、スポンサーの関係で残念ながらお断り。二次会
は、「C」でラジオニッポンのアナウンサー3人と一緒になっての大カラオケ大
会。この日も午前零時近くまで盛り上がった。

 そして、先週は当社T社長と会食。日刊競馬馴染みの万代寿司から、古町外れ
の「K」へと移動しカラオケ三昧。毎晩、大井町近辺で夜稽古に励んでいると噂
のT社長は、幕下付け出しの当方を、小結クラスの馬力で一気に土俵下に押し出
した ( 何のこっちゃ? ) 。

 振り返ってみれば、皆勤賞といってもほとんどは断り切れない付き合い。予定
が重なって断った週もあるから、来年とてそう減る保証はない。飲みすぎず、歌
いすぎず、程をわきまえて健康管理に気を配るしかないようだ。

 それにしても、当方は去年、今年と元気一杯。例年体調を崩し、命からがら新
潟を引き上げるものもいる中、逆に元気になって中山に戻っている。財布のほう
は新潟記念の惨敗で少し黄信号がともっているが、こちらも今週の新潟2歳Sで
元気を取り戻したいもの。



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■ 馬の名前に文化を読む 第328回            森本 健  
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   アーリントン ミリオン:Spirit One 牡4歳
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 夏はまた芝の季節でもある。先週まで 3 回続いた牝馬のご紹介でも、2 回が
芝のレースであった。さて夏の芝レースといえば、アーリントン ミリオンを外
すわけには行かない。
 アーリントン ミリオンは 1981 年に始まり、かのジョンヘンリーがその最初
の勝ち馬となった。同馬は 3 年後 9 歳になってからも勝ち、レース史上ただ 1 
頭の複数回優勝馬である。
  85 年に火災によりスタンドが焼け落ちるなどして開催が危ぶまれたこともあ
ったが、高額賞金もあって毎年有力馬が揃い、またジャパンカップとの関連も深
くて、ディアドクター、パラダイスクリークなど 90 年代前半までは毎年のよう
に勝ち馬がジャパンカップに来ていた。(ゴールデンフェザントは勝った翌年で
あるが)
 しかし、98 年になるとアーリントン競馬場が経営不振で閉鎖となり、このレ
ースも 2 年間開催されなかった。ようやく 2000 年になって競馬場の再開とと
もにレースも復活し、前年から始まっていたワールドシリーズ(2006 年以降休
止)の対象レースにもなった。
 今年のアーリントン ミリオン Arlington Million Stakes (G1 芝 10F)は、
8 月 9 日アーリントン・パーク競馬場で行われ、Spirit One が勝った。同馬は
フランス産、フランス調教馬である。


  Spirit One (牡 4 歳 父 Anabaa Blue 母 Lavayssiere)

  Spirit One とは「霊的なもの(人)」の意味で、「神ががり的存在」くらい
の訳が適当だろうか。つまりそれだけ強い馬という意味が込められている。

 父親 Anabaa Blue がよく分らないが、多分意味の継承はここから来ているだ
ろう。
  Anabaa(Anabaa Blue の父親の名前でもある)は、アラビア語で「ニュー
ス」のことらしい。正確な辞書がないので、色々と当たって推測で書くしかない
ため、「らしい」と言わざるを得ない。どこかにアルファベット表記のアラビア
語辞書はないのだろうか。

 推測の根拠は、アラビア語勉強中の人物が書き込んだ英語との対訳の中に、そ
れらしい表現があることと、中東クエートの最大のアラビア語新聞が Al Anabaa 
という名前であるところから。
 恐らくは、このニュースという意味も、現代のそれとは違って、「神の啓示」
であるとか「神の言葉」ということと関連しているであろう。 You Tube で検索
してみるとコーランのようなものを流しているヴィデオにこの単語が見えるから、
多分それに近い意味を持っていると推測できる。

 で、話を戻して Anabaa Blue であるが。「青い神の啓示」では何のことか分
らない。「ブルーなニュース」では意味が通っても、馬の名前にふさわしくない。
この馬がフランス馬であることを考えれば、フランス三色旗の青(自由を表す)
というのはどうだろうか。神が与え給うた自由な世界、そうするとスケールが相
当に大きく、馬の名前にもふさわしいように思う。

 実は上記の連想は、その母親の名前とも関係がある。
 母親の名前は Allez Les Trois という。Allez France という名牝が 70 年代
にいたが、彼女の名前を訳すと「行け!フランス」となるように、Allez Le 
Trois は「行け! 3」という意味になる。
 この「3(定冠詞が付いているので何か特定のものを表す)」の意味を三銃士
であるとかその他色々考えたが、どうもこの Allez France にあやかって「行け
!三色旗」なのではないかという考えに到った。
 それであれば意味も分かり易いし、息子の Blue の意味も鮮明になる。

 母親 Lavayssiere は人の苗字であるが、誰か特定の人物を指しているのかど
うか、分らない。
 その父 Sicyos は瓜科の植物のことで、前後の意味の継承が認められない。
 一方、その母 La Clouere はフランス語で「釘で固定した」ということらしい。
どうしてそんな変な名前なのかと思ったら、もともとの意味は「釘」でも段々
「固定した」の意味合いが強くなり、「固執する」という意味や「愛情たっぷり
(愛で縛り付ける?)」の意味にもなっているようだ。だから、この馬の場合は
「(誰にも渡したくないほど)可愛い馬」であるようだ。

  Spirit One の成績はこれで 18 戦 5 勝、2 歳時 7 戦 3 勝だったが 3 歳時
は 6 戦して勝てずに終わった。重賞レースでも善戦を続けており、それほどひ
どい成績ではないが、さりとて勝ちきれない馬であったようだ。
  4 歳の今年は久しぶりに勝利を上げ、4 戦 1 勝 2 着 2 回で、ここアーリン
トンで北米デビューとなり、それを見事に勝ったわけである。
 レースは 7 頭立てとはいえ、それほど弱い相手ではなく、また最初からハナ
に立って逃げ切ったのではあるが、結構後続につつかれて展開的にそれほど恵ま
れたとも思えない。アメリカの平坦小回りを考えれば、この馬は北米の芝は向い
ているのかも知れず、BC ターフでも注意を要するであろう。
 ちなみに、このレースも BC への優先出走権が付与されており、同馬は当然秋
に再度北米遠征して狙ってくることになろう。



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■ 佐藤正人著『わたしの競馬研究ノート』 第572回   編:山本一生  
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   競馬ノート15:競馬切抜帳(72)
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 日本中央競馬会理事長 渡辺五郎さん
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 朝日新聞(91/5/24 夕刊)の「現代人物誌」という欄に、JRAの理事長の渡
辺五郎さんの記事が出ている。これは、今競馬ブームをおこしている本家の理事
長のことを知るには、良い記事だから、全文以下に紹介する。


「スーパーやデパートだって、もうかったら謝恩セールをやるでしょう」
 昭和29年に発足した日本中央競馬会。ブームにも乗って、売り上げは年間3
兆円を超す。剰余金も千9百億円に達した。その剰余金の一部を単勝、複勝馬券
を買うファンのために還元し、ちょっぴり払戻金を増やそうという競馬法及び中
央競馬会法の改正案が、先の国会で成立した。実施は10月からの予定だ。
 160センチ、48キロ。押し出しほイマイチだが、人当たりは柔らかく、仲
間うちでは「五郎ちゃん」で通る。
「唯一の趣味が競馬でした。(理事長になって)馬券が買えなくなったのが、何
とも無念です」
 昨年6月、就任するまで競馬場に通い続けた。農水省の畜政課長のときから2
0余年、ファンの気持ちもよく分かる。
「へソ曲りなんでしょう。農水省時代、大蔵省に予算を頼みにいくと、一中・一
高・東大ばかり。こっちは都立六中から旧制二高。競馬のときぐらいは、そんな
馬を外したくなります。
 100倍以上の万馬券は何回もとった。400百倍の超大穴を当てたこともあ
る。昨年のダービーが最後の的中馬券。優勝騎手、中野栄治をたたえる「ナカノ」
コールを聞き、「競馬は変わった」と感激した。
 ずっとタブー視されてきた競馬法の改正に取組んだのも、このときの感動がも
とになった。
「私も農水官僚からの天下り。天下りは仕事をしなけりやあいかんのです」
 ダービー未登録だったオグリキャヅプでも出走できるように制度も改めたいし、
国際化時代を迎えて、外国の馬の出走規制も考え直す必要があるという。
「大相撲でも小錦や曙が活躍している。いつまでも“1頭たりともダメ”といっ
てられんでしょう」(遠山彰)


 29年ぶりに競馬法が改正になった時の理事長ということで、この世界では長
く記憶に残るであろう。今度の改正は、JRAはもちろん、農水省がその気にな
らなければ不可能であるが、いちばん力があったのは、抽象的に言えば、時の勢
いということではないだろうか。今まで競馬法改正に消極的だった農水省も、こ
の勢いには逆らえなかったということだ。競馬が時代とともにかわっていった。
つまりは、競馬そのものが変革していったということであろう。だから今度の改
正は、競馬自らの変革に、改正がおっかけて行ったと言えないこともないと思う。

 まだまだ改正すべき点が沢山残っていて、これで満点だというわけにはいかな
いが、いっぺんになにもかにも改正するという訳にはいかないのだろう。4、5
年先を見通して、今から改正競馬法などについて充分に検討しておき、チャンス
を見て、また改正することを考えておくことが必要であろう。

                              (10/1)

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  日本競馬史に永久に残るだろう『競馬研究ノート』シリーズのどのページ 
  を開いても、未踏の時代を先駆者として生き抜いた温厚な教養人の魅惑的 
  な低音が聞こえてくる。
  ぼくらはそれに育てられた

                             石川喬司

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    競馬がいる         競馬の消えた日
    二着の不在、物語の空白   をみなごたちの春
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    競馬場のカストラート    ワンダーランドの昨日、今日、明日
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  競馬の文化村「もきち倶楽部」              No. 905 
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  BACK NUMBER http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000042700
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【発行者】     安部俊彦 
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【編集人】     山本一生 
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【WEB】     http://www.bunkamura.ne.jp/mokichi-club
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【MAIL】     mokichiclub@bunkamura.ne.jp
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【制 作】     (有)ケーズオフィス 
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【WEB】     http://www.kz-office.co.jp
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発行周期: 週2回発行 最新号:  2018/12/08 部数:  236部

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