武道通信かわら版

武道通信かわら版12月5日号

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―――――■―■―■■―――――――――【武道通信かわら版】
――――■■■■■■■■――――――――12/5 2007 vol.203
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 sugiyama@budotusin.com                 杉山頴男(ひでお)事務所
                      042-580-6428 fax 042-580-6438
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               203号 目次 
       
1 お知らせ
2 武士・騎士・紳士《六十八》 ……山本伊左夫
   ◎スポーツなのか戦闘なのか? 
3 日本傳柔術雑考《六十七》……佐々木タケル
   ◎ロッキー
4 忙中閑あり《百七十》 ……杉山頴男
   ◎新選組の謎を解く――天然理心流は徳川家の御庭番だった 
   (16)「天然理心流目録」の真実

■お知らせ――――――――――――――――――――――――――――――

一、『兵頭二十八軍学塾 日本の戰爭Q&A』(光人社)
    <地政學と防衞の“いろは”を学ぶ>
   12月20日には全国書店に並びます。
  〇オビの言葉より
  軍事を知らずして国を語るなかれ――徹底的に噛み下した戦争学基礎知識
  講座。現代日本の防衛・憲法・海外派兵等を考えるためのお役立ちテキス
  ト。
  なぜ日本は背信的詭計ともいえる「奇襲開戦主義」になったのか。「相手
  から攻撃を受けないうちは、こちらからは攻撃しない」という国際的な公
    約に背を向け、日本の独立喪失に邁進した日本の国家指導者たちの大罪を
    抉り出し、日本の行く末に示唆をあたえる兵頭歴史観の原点。

二、 DVD刀鍛冶体験工房『小柄工房』発売 (日本語&英語版)
   チャンネル桜「魁! 武道通信TV」で企画された刀剣研究家ポール・
   マーティン氏の刀鍛冶体験が、日本武道具さんの尽力でDVDとなつた。
   「日本刀は最も素晴らしい鉄の工芸品として世界に知られています。
   匠の技により生まれた日本刀の実用性と美しさは千年以上も人々を魅了
   してきました。ここの作品はチャンネル桜とブドウショップが共同して
   製作したものです。
   研究家ポール・マーティン氏が刀工小澤重範の指導を受けながら、日本
   刀と同じ制作方法に従い、伝統的な小刀の製作を試みた工程をまとめた
   貴重なDVD。
   日本語版30分 英語版30分 定価3000円+税
   製作・チャンネル桜 発行:日本武道具ブドウショップ 発売:壮神社
  (購入は日本武道具、http://www.budoshop.co.jp/Japan-toppage.html
   または書店にて)
    ※「日本刀――なぜサムライの魂となったか」(杉山頴男筆)
      日本武道具HP英語版にて同時掲載
      http://www.budoshop.co.jp/
    
     
三、 映画 南京の真実 第一部『七人の「死刑囚」』完成試写会は来年1月
   に変更になりました。
   12月14日は、兼ねてより予定しております九段会館にて、同時刻(昼の
   部・夜の部共)に 「南京の真実」撮影完了報告大会 という形で、当映
   画予告編をお見せする他、「南京の真実」についてのイベントをと企画
   しています――とのこと。http://www.ch-sakura.jp/topix/264.html
 
   ※武道通信オンライン読本<別宮暖朗・著 軍事史からみた「南京事件」 
    の真実 >500円 A5版2段組 160P
      HPオンライン読本からご注文を

四、「 魁! 武道通信TV」 12月8日(土)(夜10時〜11時)
   ゲストコーナー:佐山聡(初代タイガーマスク)
   12月20日リアルジャパン・プロレス、引退をかけた鈴木みのる戦を
   語る。 Sky Perfect <パッピー241>無料
    インターネット放送 http://www.ch-sakura.jp/topix/356.html
   
五、 兵頭二十八・私塾「読書余論」毎月25日配信 
   <既刊HP「告知版」に目次掲載>
   入塾案内
   ★お申込はメールにて。sugiyama@budotusin.com
    (不祥事で急ぎ連絡の際は電話も可)
   ※継続申し込みをする塾生は「継続」と一筆お願いします。
   兵頭二十八のネット私塾「読書余論」希望(何月から6ヵ月または1年
   =いずれか)
    支払い方法☆銀行振込 三菱東京UFJ銀行 国立駅前
   支店 普通3765873  有限会社 杉山頴男事務所 銀行振込みが
   確認され時点でPDFデータを添付配信します。


■「武士・騎士・紳士」
 この違いを知ると洋の東西が見える《六十七》―――――――――――――
                            
                            山本伊左夫   
  ◎スポーツなのか戦闘なのか?
 「人間からどうしても闘争心というものが抜き去れないのであれば、強烈な
スポーツの試合をもってこれに替えるといいと思う。その結果に従わないでさ
らに武力に訴えると言うことを許さないように国連トカア、ナンカそーゆーふ
ーな機関トカがァ……」
 これは以前に実際に進歩派文化人が堂々お説きになったアリガタイお説教の
一説である。思わず今日はエプリルフールとかいうとんでもない日ではないか
と思ったのであるが、不勉強もいいところで千年も前からこれは実験済み。そ
の後のヨーロッパ文化にも重大な影響を残しているなんて事まったく考えなか
ったんですねえ。ひょっとしたら知らなかったのかな、なんぼなんでもそれは
失礼かな? 

 それはさておき公式行事としてのチャンバラは、教会公認の元、氏族、ある
いは町や地方などの単位どうしで日と場所を定めて模擬戦闘として開催される
ことになった。もちろん教会主宰の仰々しい手続き、祭事と厳かな承認、祝福
がここでもぬかりなく先立って行われたのは言うまでもない。この行事をトゥ
ルヌワと言った。
 これはフランス語である、トーナメントは英語。なぜそうなのかというと、
そういうことが開催された時代背景の影響である。同じような物事を表すのに
英語とフランス語の単語が混在平行して用いられるという現象が、特に英語の
中に沢山あって、それはこの当時から少し後までの階層社会化の進行とかかわ
りがあるのだが、それはまた後日。
     
 こういう小単位のもめごとが起きるということは、領土の保有がいまだ群雄
の手に権利が強くある封建制度の前半段階ということである。  
 つまりヨーロッパとしてはまだガリア地方がほぼその中心でありすべてに近
い状態であった時代、王権が確立して闘争は国家間大戦争の様相を示し始める
ころになると、むしろこういう小紛争はだんだん問題外になって行くから闘争
心もはけ口も形と意味の違うものになって行く。その時代の(競技)が英語の
トーナメントだったとお考えいただいていいと思う。もちろん王権が確立して
も教会は実に立派にそれにも手綱をつけたのは以前にもちょっと述べたとおり
である。  

 人間は利益と損害の予感に後押しされると勇猛になる。騎士は馴れ合いの戦
いをする……という傾向は事実であるけれども、このような場合もろに利害が
直接かかわっているから気質も勇猛になりやすい。  
 模擬戦闘であるはずのトゥルヌワ模擬戦闘で規則破りの戦い方が横行し、流
血はもちろんのこと死者が出るのも日常茶飯の状態だったらしい。しかしそれ
を認めてしまえば大前提が崩れてしまう。「そんなことはあってはならんこと
です。 めッ!」多分そういう圧力を加えられるところもあったに違いなく、
とにかくこれは模擬戦闘であることになっていた。 
 そうしてそのなかに「戦闘というものはある結論を出すための手段であって、
そのために命を二の次にするものではない」と言う騎士暗黙の思想がじわりと
姿を現し始めたと考えていいだろう。  

 一見ヘーワの芽生えのように見えるが、それは利害当事者たる騎士階級にの
み通じるところで、それ以外の草莽兵士の命や血など物の数ではないところが
階級制度の無残であり、下層は下層でその無残の中を「絶滅してたまるか」と
くぐり抜け生き延び、また別種の社会意識を育ててしまったのが、ヨーロッパ
文化というものである。


■日本傳柔術雑考《六十七》――――――――――――――――――――――
                       佐々木タケル(Web編集員)
   ◎ロッキー

 アメリカ映画ロッキーが公開されたのは、今から三十一年前のことです。今
でも私の好きな映画トップ10に入ります。ロッキーという映画は特殊な映画
で、あれを見た後は、何故か元気になり走りたくなったり、ボクシングを始め
たくなったりします。人に直接行動を起こさせるほど影響をもった映画は、恐
らく後にも先にも無いでしょう。ロッキーはシリーズになりますが、シリーズ
物の悲しさで、初作を超える作品はついに生まれませんでした。

 それはさておき、この一作目は、みなさんご存知の通りロッキーは負けてし
まいます。ロッキーはアメリカンドリームの象徴とよく言われますが、結末を
考えると、決して純粋なアメリカンドリームではありません。負けて賞賛され
るというのは、日本人好みなストーリー展開ですが、アメリカ人の能天気な筋
書きでは、これを理解するのは難しかったかもしれません。注目すべきは、こ
の映画が公開された年です。この映画が、五十年代に公開されていたら、アメ
リカ人は理解し難い感情を持ったと思います。この映画が公開されたのが、ベ
トナム戦争終結の翌年という事を無視するわけには行きません。アメリカは、
その歴史上初めて、敗北という屈辱を味わい、それを払拭するものを求めてい
ました。それはあっけらかんとした、スーパーマンではありません。傷つき、
悪態をつきながら、どん底から這い上がり、スポットライトへ偶然にも辿り着
いた一人のならず者でなければいけなかったのです。

 そのならず者は言います、「もし、15ラウンドが終わってもまだ立ってい
たら、俺はただのクズじゃなかったことを証明できる」と。ロッキーは、勝つ
ためにリングに上がっていなかったわけです。そこに上がり、15ラウンド戦
い抜くこと、それを自分に課したわけです。そして、そのリングに至る過程を
重視し、これでもかという程に、そのトレーニング姿を見せ付けます。自分に
できることを精一杯努力する、それまでのアメリカンヒーロー像とは、かなり
違っています。しかし、これは強烈に人々の心を揺さぶりました。負けたリン
グ上で、恋人の名前を叫ぶロッキーは、映画史に残る最高の名シーンではない
かと、私は思います。

 アメリカでは、ケーブルテレビなどで放映される場合、ロッキー2の方が圧
倒的に多いそうです。ロッキー2は完璧なるアメリカンヒーローです。ロッキ
ーは最後に勝ち、奥さんに向かって「やったぜ!」と叫ぶわけです。現代アメ
リカでは、敗北者ロッキーの過程の美よりも、勝者ロッキーの能天気アメリカ
ンヒーローの方が受けがいいのでしょう。

 そのロッキーの最終作を先日、ようやく観る事が出来ました。シリーズがど
んどん劣化していくため、最初のロッキーを大切にしたいあまり、あまり見る
気になれませんでした。しかし、それは見事に裏切られました。ロッキーシリ
ーズ唯一、一作目に比肩し得る作品に仕上がっていました。亡き妻との思い出
の場所を巡るシーンは、第一作から知る人間には、静かな感動を与えてくれま
す。そして、ロッキーは息子に言います「人生ほど重いパンチは無い。人生は
バラ色ばかりじゃない。いくら打たれても前に進むんだ。自分を信じなきゃ人
生じゃない。かなわない夢はない!」と。観終わった後は、感涙の涙でくれま
した。そして、不思議と勇気がもらえる、素晴らしい映画でした。

 奇しくも、イラクでの戦争から出口の見えない派兵にアメリカは疲弊してき
ているところです。そんな政治的な臭いがするのは、ハリウッドなら仕方の無
い事ですが、純粋に映画好きとして、今年見た映画のなかではトップに近い作
品でした。ラストシーンも、私個人の映画史に残る名シーンでした。そして、
私も、新たな挑戦のため、自分を信じて進んでみようと思います。


■忙中閑あり《百七十》―――――――――――――――――――――――
                            
                             杉山頴男

 ◎新選組の謎を解く――天然理心流は徳川家の御庭番だった 
  (16)天然理心流目録の真実
 
 「天に象(かた)どり、地に法(のっ)とり、以って剣理を極める」――
これが天然理心流の名のいわれである。剣術流派の名は多々知っている筆者
であるが、身びいきなく免許皆伝のネーミングである。

 幕末期の江戸で名を馳せた神道無念流、北辰一刀流、明鏡明智流、心形刀
流の名は、いかにも剣術家がつけた流名と想像するに易い。が、天然理心流
という名には学識深き者の命名という気がしないわけではない。
 そう、実はこの命名は元主席老中、松平定信であった。

 大阪夏の陣を最後に、元和偃武の世から200年近く経ち、文武両道の大名
は絶滅種になりかねていたが、松平定信は稀な貴重なる存在であった。
 頼山陽ら当時の一級の学者と交流を持つと同時に、起倒流柔術3千人の弟子
の中で三本の指に数えられた高弟であり、白河藩に伝わる甲乙流剣術を復興し、
自らも起倒流柔術を学び家臣に指導し、大甲乙流剣術と柔術を合わせた新甲乙
流をつくったほどだ。武術興隆に力を注いだ8代将軍吉宗の血脈を引いた者の
なせる業だろう。

 内蔵之助が倒流柔術の高弟に自分がつけたように語ったこの流名は、このと
きすでに江戸柳生の隠密、現代版講談で云うところの裏柳生の長(おさ)から
知らされていたのだ。が当然、内蔵之助は命名者が松平定信とは知るよしもな
い。
 前号の末尾は、「周助が語った、その裏の意味に勇は驚愕するのであった。
そして……」と結んだが、いま少し、天然理心流について述べなければなるま
いから、これは先に送るとする。

 本稿3回目で内蔵之助が倒流柔術の高弟と相い対した「ときは寛政元年(17
89年)、場所は両国薬師寺の裏手の長屋」のシーンを覚えておられるだろうか。
その折、割愛した場面を続ける。

 倒流柔術の高弟が内蔵之助に問うた。「流名はこれで決まったが、目録、免
許のたぐいはいかがする」
 「実の剣法を試すには剣術のみならず柔術、槍、棒、気合も欠くことはでき
ませぬ。香取神道を基に他のいにしえの流儀から起こすことにいたす。鹿島神
宮にて鹿島神道流に名を記しておりますゆえ、香取神道を流れを汲む鹿島神道
流の武芸者が興した流儀といたそうと思いつきました」
 「では、いそぎまとめてくれ。くれぐれも柳生新陰殺人刀(せつにんとう)
は気取られぬように」「念には及ばぬこと」と内蔵之助は返答した。

 明治となり新選組は賊軍であったから天然理心流も地下に潜らざるを得なか
った。多摩武州の門人たちは天然理心流の類は破棄したが、幸運にも剣術の目
録類は後年、五代目近藤勇五郎の縁者の蔵の中から発見された。いまで云う初
段の「紙切」、つづく「目録」「中極目録」「免許」「印可」「指南免許」。
他の柔術、棒術、気合術は二代目三助の代で失せた。

 先を急ごう。かろうじて残った目録類だが、そこからは稽古の様子はわから
ない。古流派の太刀筋を探るには稽古方法が見れば一番よくわかるが、当時、
ビデオやDVDがあるわけないから、それは詮無いことだ。
 内蔵之助が秘した柳生新陰殺人刀は、「目録」「免許」のどこに隠されてい
るのか。天然理心流の剣技はまだまだ述べなければなるまいが、次回は試衞館
での周助と勇の場面に戻す。   
                             (つづく)


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発行周期: 月2回 最新号:  2019/03/20 部数:  945部

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