ほぼ日刊日々是映画

[ほぼ日刊日々是映画] vol.2958 ★ バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)


カテゴリー: 2015年05月13日
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                         -vol.2958-
  ほぼ日刊 日々是映画         発行:cinema-today
                http://www.cinema-today.net/
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2958号です。

先日もお酒の話をしましたが、このところずっと、マッサン前から
ウイスキーブームです。

いろいろ飲んであれは美味い、これはいまいちなどと言っている
わけですが、最近のヒットは宮城峡。
ニッカといえばマッサンでもお馴染みの「余市」ですが、もう一つの
蒸溜所が「宮城峡」です。
http://bit.ly/1Jca1kQ
余市がスモーキーで辺りが強いのに対して、宮城峡はフローラルで
柔らかい味、ブレンドするためには対照的な原酒を作るというのが
いいのかもしれません。
ハイボールにしてももちろん美味しいです。


さて、久しぶりに公開中の映画を。
作品は『バードマン』、これはかなりの傑作ですよ。


■ 今日の映画 - バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)


<1行コメント>
じわじわ来る笑いと魔術的な世界観、心象風景のリアル


--cinema2767------------

 バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

 Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance)
 2014年,アメリカ,120分

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<キャスト&クルー>

監督 アレハンドロ・G・イニャリトゥ
脚本 アレハンドロ・G・イニャリトゥ
   ニコラス・ヒアコボーネ
   アレクサンダー・ディネラリス・Jr
   アルマンド・ポー
撮影 エマニュエル・ルベツキ
音楽 アントニオ・サンチェス

キャスト マイケル・キートン
     ザック・ガリフィナーキス
     エドワード・ノートン
     アンドレア・ライズブロー
     エイミー・ライアン
     エマ・ストーン
     ナオミ・ワッツ
     
<評価>

☆☆☆☆(満点=5)


<レビュー>

アレハンドロ・G・イニャリトゥというと、『アモーレス・ペロス』は
面白かったけど、『バブル』とかはどうなんだろうという感じで、
そういえば『BIUTIFUL ビューティフル』は見たっけな?

それでも、実は意外と好きな監督で、最新作が公開されると
言われれば気にはなる。他にはないというか、独特の「空気」が
映像からにじみ出てくるようで好きだ。

その「空気」というのはどちらかと言うと暗い感じの空気で、
それは、人間の心の闇のようなものを描いているというのもあるが、
同時に色彩を多く使いながら、それを重ねあわせることで、
多すぎる色が混ざり合ったキャンバスのような暗いトーンの
映像を生み出しているという事も言える。

この作品はというと、うん十年前に「バードマン」という
ヒーローの役でスターになった俳優リーガンが、レイモンド・
カーヴァー原作のブロードウェイの舞台に俳優生命をかけ
ようと意気込んでいるというストーリー。そして、その
リーガンはなぜか空中に浮いたり、モノを手を触れずに
動かしたりという超能力が使えるようになっていて、
ヤク中の更生施設から出てきたばかりの娘サムが付き人で、
「バードマン」の声が幻聴として聞こえてしまうという。

映画を見始めてしばらくしてまず気になるのは、この作品が
ずっと1カットで撮られているということ。カメラの動きから
して本当に1カットではなく、CGなどの処理によって映像を
つなぐ擬似1カットとでもいうべきものではあるけれど、
カットアウトによる場面転換はなく、連続したシーンが
ずーっと続く。

この1カットという撮り方によって何が起こるかというと、
観客はこの映像が「誰の視点なのか」を考えざるを得なくなる
ということだ。伝統的なハリウッド映画というのは、
イマジナリーラインという仮想的な線の内側にカメラが
入らないことで、観客は観客として安心してその世界を
見ることができるように設定されていて、現在ではその
伝統は壊されて来てはいるものの、カメラの存在を観客に
意識させないようにするというのが基本的なスタンスで
あることに変わりはない。

しかし、この映画はどうしてもカメラの存在が気になって
しまう。自在に動き回り、時には時間を早送りするこの存在は
一体何者なのかと。

ところが、この映画では、誰の視点なのかということは実は
どうでもいいということなのだと思う。この映画における
(擬似)1カットの効果というのは、ひとつはこの作品の
メインといえる、ドタバタコメディの部分で何度か役に立つ
こと。もう一つは途切れることなく続くということで、
時間がまっすぐに進んでいると感じさせることだ。

結局のところ、この映画の本質はただのドタバタコメディ
なのだろう。60のおっさんが金玉がどうだとか下らない
ことをしゃべり、子どもじみたことで言い合いをし、
しまいにはパンツ一丁でブロードウェイを歩く羽目になる。
それが笑えればそれでいいのだ。

なんだか素直に笑えないところもあるし、超能力には一体
どんな意味があるのかというような腑に落ちないところも
あるし、あのドラマーは一体何なんだと設定がよくわからない
部分もあるけれど、それはともかくまず笑えればいい。


で、その上でその引っかかる部分というのは何なのかと
考えると、それは私たちが、単純化されたわかりやすい物語に
慣らされてしまったが故に、本道から外れた部分があるだけで
そこからぎくしゃくとした印象を受けてしまうということなのだ
ろうと思い至る。

しかし、1カットの映像は淀みなく流れ続けるのだ。

この止まることのない時間と、決して単純化できない物語という
のが、この映画が訴えかけてくるもう一つの要素であり、それは
人生そのものなのではないかと思う。

もう一つ、この映画は私たちの予想を微妙にずらし続ける、
ストレートに進むのではなく微妙に手元で変化する。この、
展開が(つまり未来が)予想から微妙にずれていくというのも、
人生そのものではないか。

「あー、俺の人生なんだったんだろう」と振り返った時、
往々にして人生というのは「Long and Winding Road」なの
だ。人生とは迂路の繰り返しなのだ。そしてこの映画でリーガンが
送る生活もまたそうだ。

全然、この映画の面白さが伝わっていない気がするけれど、
わからないことをわからないままに受け入れることができる
人ならばきっと楽しめる。ラテン・アメリカの文学に
「マジック・リアリズム」というのがあるけれど、イニャリトゥは
メキシコ出身なだけに、そういう物語の形に抵抗がないのだろう。
この映画もどこか魔術的で、でもリアルにも感じられる。




□ DVD今日の買い!


<今日のお勧め>

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