ほぼ日刊日々是映画

[ほぼ日刊日々是映画] vol.2595 ★ この自由な世界で

================================================2009/8/17==
                        -vol.2595--
  ほぼ日刊 日々是映画         発行:cinema-today
                http://www.cinema-today.net/
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2595号です。

今日も暑いです。
部屋の気温が34℃になったら冷房をつけると決めているんですが、
今日は32℃と34℃の間で止まったままです。
あ~冷房がつけられない~ でも暑い~
もう1杯アイスコーヒーを入れよう…

アイスコーヒーにはローストが深めの豆を
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今日は『この自由な世界で』です。
ケン・ローチ、重いです…
が、いいです

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-------- 目次 --------

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 この自由な世界で

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■ 今日の映画 - この自由な世界で

<1行コメント>
崩れてゆく心のバランス、重く残酷な現実、それでも希望を求めたい。


--cinema2490------------

 この自由な世界で

 It's a Free World...
 2007年,イギリス=イタリア=ドイツ=スペイン,96分

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<キャスト&クルー>

監督 ケン・ローチ
脚本 ポール・ラヴァーティ
撮影 ナイジェル・ウィロウビー
音楽 ジョージ・フェントン

キャスト カーストン・ウェアリング
     ジュリエット・エリス
     レズワフ・ジュリック
     ジョー・シフリート

<評価>

☆☆☆☆1/2(満点=5)


<プレビュー>

 33歳のシングルマザーのアンジーは派遣会社に勤務し、ポーラン
ドから労働者を受け容れるのに成功するが、直後にクビになってし
まう。怒り心頭の彼女はルームメイトのローズと自分で職業斡旋所
を始めることにするが、資金も免許もなく、違法すれすれの仕事を
することに。しかしそれでも仕事が欲しい移民は続々集まってきて、
不法移民にも仕事を請われて…
 社会派映画の名匠ケン・ローチがまたひとつリアルな社会派の傑
作を作った。今の世界の生きにくさ、残酷さ、理不尽さをそのまま
表現した重たい作品。


<レビュー>

 いま世界中で人々は失業し、生活に困窮し、生きる糧を求めて必
死のように見える。貧しい国の人々は富める国に仕事を求めてやっ
てきて、富める国の人々はそれで仕事を失って困窮する。しかし、
その安い労働力がなければそもそも国際的な競争に勝つことは出来
ず、仕事を創出することすら出来ない。グローバル化は世界中の生
活の水準を低いレベルで平均化し、その企業を動かす人々だけがそ
こから利潤を得る。

 今はそんな世界だ。そんな世界を私たちは嘆く。しかし、嘆いて
いるだけでは食べていけない。失業者はどんな仕事でもいいから仕
事が必要だし、それを雇う側だって自分の生活のために利益を上げ
なければならない。

 この物語の主人公アンジーも自分が食べるため、自分を食いもの
にしてきた大企業を見返すために自ら事業を始める。そして最初は
仕事を求める貧しい人々とある意味で共闘し、彼らに仕事を与え、
吸い取れるところからは利益を吸い取る。かわいそうなイラン人の
不法滞在者を助け、不法移民の斡旋にも手を染める。

 しかし彼女は実際のところ仕事を求めている彼らを利用し、彼ら
を助けていると自分で思い込むことで自分の搾取を正当化し、彼女
自身が怒りを向けていた大企業と同じ存在になって行ってしまう。

 もちろん彼女は大きな搾取構造の末端にいるに過ぎない。一番大
きな利益を上げるのは一番上にいる人たちで末端にいる彼女はたい
した利益を上げられない。しかし彼女は利益を吸い上げ、損失は彼
らに転嫁する。そして彼女はどんどんバランスを崩してゆく。人間
らしい完成を失い、労働者達を人間として見られなくなり、人格が
崩壊してゆく。自分の真実の姿を覆い隠すために嘘を塗り重ね、自
分でも真実の行方がわからなくなってしまう。

 この映画はさまざまな悪い予感にあふれている。そしてその悪い
予感はすべて現実のものとなる。彼女はもう止まることができない。

 どんどん人が人間性を失ってしまう世の中を一体どうすればいい
のか? この映画はその厳しい問いを突きつけ続ける。私たちを支
配する搾取という暴力に対抗するすべは私たちにはもはや残されて
いないのか? 物理的な暴力で対抗する手段が無益なことはこの作
品でも明らかにされているし、そこから逃げることはただ別の加害
者と被害者を生むだけだということも示唆されている。

 本当にどうすればいいのだろうかと途方にくれる。彼女を非難す
る人々の意見も実効性がなかったり、無意味であったり、言い逃れ
であったりする。本当に途方にくれる。

 では、この映画にないものは何か考えてみようではないか。それ
は一言で言えば「分かり合う」ということではないか。この映画に
登場する人間関係はどんなに親密なものであっても常に一方通行で
ある。それが相手をないがしろにすることにつながり、本当の関係
性は結ばれなくなってしまう。

 アンジーとイラン人家族の間には「分かり合う」一瞬が存在する
が、それは本当に一瞬で掻き消えてしまう。だから私はその幻影を
必死に追う。本当に「分かり合う」なんてことはできないかもしれ
ないが、「思いやる」ことはできる。アンジーも労働者のことを思
いやり、自分の利益と労働者の損失のバランスを考えることできれ
ば、皆が貧乏になるにしてもそこには何らかの共感が生まれる。そ
こに希望を見出していかなければもはや私たちはグローバル化に対
抗できない。

 つらくても思いやりを失ってしまってはダメだ。本当にそのこと
は毎日毎日自分に言い聞かせなくては。



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                     日々是映画第2595号
                      2009年8月17日発行
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