ほぼ日刊日々是映画

[ほぼ日刊日々是映画] vol.2216 ★ それでもボクはやってない

=================================================2008/2/4==
                        -vol.2216--
  ほぼ日刊 日々是映画         発行:cinema-today
                http://www.cinema-today.net/
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2214号です。

昨日は節分で、寄席に行きました。
節分の寄席は豆まきがあって、豆に加えて芸人の手ぬぐいなども
撒きます。というわけで池袋演芸場に行ったのですが、いつもは
閑散としている池袋演芸場が足の踏み場も無い超満員、見事手拭
いはゲットしましたが、ものすごい熱気で疲れました。
で、昨日のお目当てはその豆まきと人気者の落語家柳家喬太郎だっ
たのですが、この喬太郎が本当に面白かった。3人前の演者であ
る橘家文左衛門の噺を受けた噺だったのですが、これが爆笑の上
にうならせるでき、しかもそういうシチュエーションがあっての
話なので、もう2度と聞くことはできないものでした。
やはり落語は生で聞かないとということを再確認した高座でした。

落語の興味があるという方はぜひ喬太郎という名前を探して行っ
てみてください。
http://www.rakugo-kyokai.or.jp/Profiles.aspx?code=161
こんな↓DVDにもでていますが。
http://tinyurl.com/29qek4

今日は『それでもボクはやってない』です。


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-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 それでもボクはやってない

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■ 今日の映画 − それでもボクはやってない


--cinema2146------------

 それでもボクはやってない

 2007年,日本,143分

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<キャスト&クルー>

監督 周防正行
脚本 周防正行
撮影 栢野直樹
音楽 周防義和

キャスト 加瀬亮
     瀬戸朝香
     山本耕史
     もたいまさこ
     光石研
     大森南朋
     役所広司
     小日向文世

<評価>

☆☆☆☆(満点=5)


<プレヴュー>

 フリーターの金子徹平は会社の面接のためにラッシュの電車に乗っ
ていた。電車を降りた彼は女子中学生に痴漢だといわれ、そのまま
警察に連れて行かれる。犯人だと決め付ける警察に対し一貫して無
罪を主張するが、その言葉吐き切れられず、弁護士まで示談を勧め
る…
 社会的な問題となっている痴漢と痴漢冤罪事件を題材にした社会
派ドラマ。実際の事件のドラマ化ではなく、多くの痴漢事件からモ
デルケースを作ってドラマとして組み立てた作品で、その分、司法
制度全体の問題点がわかりやすく描かれている。


<レビュー>

 痴漢のような“性犯罪”は被害者の感情や、これまでの法制度の
あり方の問題もあって、被害者保護を進めることに重点が置かれて
きた。精神的に痛手を負った被害者が告発し、有罪を立証しなけれ
ばならないというのは酷だから、被害者の証言が被告人の有罪を推
定するようになってしまうのだ。
 しかし、それが行過ぎると、冤罪事件が生まれてしまう。何より
も保護すべきが被害者であることは間違いないのだが、そのために
無実の人が有罪にされてしまうというのもまったく許せないことで
ある。
 この非常に難しい問題をこの作品は描いている。

 この作品を見てまず思うのは、非常に慎重に問題を捉えていると
同時に、エンターテインメントとしてもしっかりと構成されている
という点だ。
 まず、この作品は被害者側をほとんど描かない。こういう裁判も
のの映画というのは、必ずどちらかの側が正義になり、観客を同じ
側に立たせ、反対する側と対立させることが必要だ。そうしないと
観客は戦っている当事者の立場に入り込めないし、その主人公の感
情を共有できない。だから、この作品でも観客は必ずこの主人公が
痴漢をやっていないということを確信し、彼の味方になって警察と
検察をやっつけようという気持ちになるように仕向けなければなら
ないわけだ。しかし、そうすると被害者も向こう側(平たく言えば
敵側)に回ってしまうことになる。しかし、その被害者が痴漢の被
害を受けたことは間違いないわけで、被害者を責めることはできな
い。そこでこの作品は、警察と検察とそして何よりも司法制度を敵
として描くことで被害者を隠すのである。被害者と被告の証言が食
い違っているのは、被害者が嘘をついているのではなく、制度がそ
の食い違いを埋めようとしないからだと主張するのである。
 本来ならば、被害者も被疑者も同じように人権が尊重され、それ
ぞれの言い分は公平に勘案され、お互いの勘違いや嘘はひとつひと
つ解きほぐされていかなければならないはずだ。しかし実際はそう
は行かない。そしてそうは行かない理由をこの作品は丹念に描いて
いくのだ。やっていないと嘘をつく痴漢の加害者を毎日取り調べな
ければならない警察官、何十何百という事案を常に抱えている裁判
官、現場に居合わせた人たちの無関心、それらについて私たちは主
人公とともに憤るが、それがこの国のシステムなのだ。
 この作品はそのシステムに対する憤りをうまく使い、この裁判が
どうなるのかという行方を縦糸として、うまくプロットを組み立て
る。司法制度というシステムは主人公が有罪になる方向に進み、無
力な主人公達はそれに抵抗する。そしてその司法制度内にも問題が
あり、ひとりひとりの裁判官や検察官、警察官にもいろいろある。
司法制度の問題を描きながら、それで済ませるのではなく、それに
関わる人間を描くことで、身近な物語に変えているのだ。

 私たちは常に“人”を見る。人と人とが出会うときに生まれるド
ラマを見る。だから人によって展開されていくこのドラマは面白い
のだ。
 しかし同時にこの作品が描こうとしているのは“人”超えた巨大
な国家という制度である。巨大な制度は常に人を押しつぶし、人と
人との出会いを阻害する。この主人公と被害者と裁判官とがただ人
として会ったなら、まったく別のドラマが生まれたはずなのだが、
この国家という制度の下では彼らはこのようにしか出会えなかった。
本当はそのことこそが悲劇なのである。
 そのような悲劇が生まれるのは、“人”と“国家”とが乖離して
いるからだ。普通の人はこの主人公やその家族のように裁判のこと
などまったく知らない。司法制度は本来は国家を支える根幹であり、
私たちの生活と密接に関わっているもののはずなのに、ほとんどの
人にとってはまったくあずかり知らぬ世界なのである。ここにすで
に“人”と“国家”との乖離は存在している。それは司法制度に限っ
たことではなく政治でも経済でも、あらゆる部分で私たちは“国家”
に影響されていながら、それに気づかず暮らしている。
 しかし、ある日その乖離した“人”と“国家”の間に突然関係が
でき、その関係は大体の場合“人”にとっては悲劇なのだ。それは
国家が人に手を伸ばすのは、国家がその人をコントロールしようと
するときだからだ。
 だから私たちは逆に自分から国家に手を伸ばそうとしなければな
らない。しかし、巨大な国家と違ってちっぽけな私たち個人には国
家との大きな間隙を乗り越えるだけのジャンプ力が無い。ならば個
人は協力し合って、その間隙を越えようとしなくてはならないのだ。
それは困難だが不可能ではないということをこの作品はかすかな可
能性として示す。
 そして、国家も最終的には個人で成り立っているのだということ
も同時に言っている。権力を構成している個人を変えることができ
れば、最終的に権力を変えることができるかもしれない。しかし、
権力の中にあっても個人は国家とは乖離し、制度の対しては無力だ。
大森南朋や小日向文世はそのことを体現している。無数に張り巡ら
された国家による包囲網をとくことは非常に難しいけれど、そのこ
とを知っているだけでも意味はある。
 だからこの作品は最後までもやもやが残ってもぜひ見るべき作品
なのだと思う。


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□ ヒビコレリンク

 


□ DVD今日の買い!

<今日の作品:それでもボクはやってない>

 『それでもボクはやってない スペシャル・エディション』
  http://tinyurl.com/32syva


<今日のお勧め>

 今日は周防正行で。

 『シコふんじゃった。』
  http://tinyurl.com/3c8wkw

 『Shall We ダンス?』
  http://tinyurl.com/2outd9

 『ファンシイダンス』
  http://tinyurl.com/3a2yed

 『変態家族 兄貴の嫁さん』
  http://tinyurl.com/3cnj2g




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                     日々是映画第2216号
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