ほぼ日刊日々是映画

[ほぼ日刊日々是映画] vol.1124 ★ 東京暮色

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                          -vol.1124--
  ほぼ日刊 日々是映画           発行:cinema-today
                  http://www.cinema-today.net/
             http://cinema-today.hp.infoseek.co.jp/
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1124号です。

現在MyDoomというウィルスがすごい勢いで広まっているようです。
基本的には自動増殖のワーム型で、メールソフトを経由しない、
送信アドレスを偽装する、という特徴を備えているため自覚症状が
ないのが特徴です。バックドア機能を備えているので、感染に対す
るリモートアクセスがなされる可能性があります。
「Mail Deliverty System」などサーバの自動送信メールを装っている
ことが多いようです。ご注意ください。
昨日から、私のところにも3通きました。
各ウィルス対策ソフトは対応済みなので、アップデートしてください。


今日は小津です。『東京暮色』


書き込み大熱望! リクエストも随時募集中!
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--cinema1069------------------------------------------
東京暮色
                  1957年,日本,140分
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<キャスト&クルー>

監督 小津安二郎
脚本 野田高梧
   小津安二郎
撮影 熱田雄春
音楽 斎藤高順

キャスト 原節子
     有馬稲子
     笠置衆
     山田五十鈴
     杉村春子
     高橋貞二
     田浦正巳
     藤原釜足
     山村聡


<評価>

☆☆☆☆1/2(満点=5)


<プレビュー>

 銀行の重役杉山は娘の明子と二人暮しだが、そこに嫁に行った娘の孝子が娘を
連れて帰ってくる。孝子は旦那の沼田とうまくいっていないようで、なかなか帰
ろうとしない。明子は悩みを抱えているようで、ボーイフレンドの木村を探して
いるがなかなか出会うことができない。そんな時、麻雀屋のおばさんが明子にや
けに興味を持ち、明子は幼いころに分かれたお母さんではないかと思い始める…
 いつもと変わらず小津映画のメンバーで、いつもと変わらぬ父娘の物語かと思
わせるが、その内容はどしりと重く、迫力さえ感じさせる。



<レビュー>

 この映画は圧倒的である。小津の映画に「すごい」と思わせる映画は多いが、
内容からいえば、静謐としていたり、ほのぼのとしていたり、淡々としているも
のが多い。静かな中で父と娘の関係が変化し、それぞれの思いがはじけ、えもい
われぬ味わいが画面に滲み出す。
 しかし、この映画は圧倒的である。笠置衆と原節子のいつもの父娘関係の中に
有馬稲子を放り込み、二人の関係を内側から突き崩していく。それは杉村春子が
演じるいつもの脇役とは違うし、父娘の関係との対比として現れる山田五十鈴と
の役どころとも違う。
 有馬稲子演じる明子がとらえどころのない若者であるということは、いつも小
津が語ろうとしていると思われる古の日本的な親子の関係の崩壊を端的に示すも
のであるように一見すると見える。しかしそれは若者とそして変わり行く社会の
せいであるとは必ずしもいえない。すべての変わり行くものと変わらないもの、
すべての人はある部分では変わり、ある部分では変わらない。非常に変化の激し
い社会の中で、その変わり方のギャップがギクシャクした感じを生む。笠置衆と
有馬稲子の父娘、原節子と有馬稲子の姉妹、そして笠置衆と原節子の父娘、その
すべての関係の中に存在するギクシャクとした感じは、変わり行く社会にそれぞ
れがどのように対応しているのかという変わり方の差から生じるギクシャクであ
るように思える。
 その違いをどのように克服していくのかが映画の見所といいたいところだが、
結論を言ってしまうと、この物語はそれを最後まで克服できない。それぞれが変
わってしまった自分にとっていいと思うことに向かって進む。しかし、それが家
族を再集結させることにはつながらない。もちろん、てんでバラバラというわけ
ではないが、ひとつの悲劇を経て、それぞれがそれぞれの道を歩むことになる
(ネタばれになるので具体的にはかけませんが)。

 それは小津が日本的な親子像/家族像に見切りをつけたというようにも見えな
くはない。それはある意味ではそうだ。しかし、小津は常に変わり行く社会を見
つめ続け、その中で家族がどのようにあるのかをリアルに描いてきただけなのだ。
たしかに古の日本的な家族像に憧れというか、理想のようなものを持っていたか
もしれない。しかし、変わり行く社会の中で、そのような失われてしまったもの
に理想を抱き続けるのはノスタルジーでしかない、ということに小津は気づいて
いた。それを描き続けることは欺瞞でしかない。虚構でしかない理想を旗印に掲
げても、その映画は「嘘」にしかならない。
 社会の観察者としての小津の真価は、このようにして変わり行くことにある。
小津の映画は変わらぬスタイルというものはあるが、その内容は時の流れととも
に変化していく。この映画はそんな変化のひとつであり、変化しているというこ
とをもって小津らしいともいえるのだ。
 そしてそんな変化を劇的にもたらしたのが有馬稲子である。彼女の演技はそれ
までの小津映画の登場人物たちとはどこか違う。その違和感が端的に「変化」と
いうものを表現しているように思える。




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                            日々是映画第1124号
                             2004年1月29日発行
                            発行:cinema-today
                          マガジンID:0000032940
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