ほぼ日刊日々是映画

[ほぼ日刊日々是映画] vol.1029 ★ CUBE


カテゴリー: 2003年09月28日
====================================================2003/9/28==
                          -vol.1029--
  ほぼ日刊 日々是映画           発行:cinema-today
                  http://www.cinema-today.net/
             http://cinema-today.hp.infoseek.co.jp/
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1029号です。

えーと、東京あたりはいいお天気が続いていて、とても気分がいいです。
まさに秋晴れ、こりゃ公園で昼寝だな。

さて、日本映画のほうはなかなか進まず、
今日はカナダ映画『CUBE』でございます。


まぐまぐ文庫こうてくらはい。

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--cinema990-------------------------------------------
CUBE
Cube                1997年,カナダ,91分
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<キャスト&クルー>

監督 ヴィンチェンゾ・ナタリ
脚本 ヴィンチェンゾ・ナタリ
   アンドレ・ビジェリク
   グレーム・マンソン
撮影 デレク・ロジャース
   スコット・スミス
音楽 マーク・コーヴェン

キャスト モーリス・ディーン・ウィン
     ニコール・デ・ボア
     デヴィッド・ヒューレット
     ニッキー・グァダーニ
     アンドリュー・ミラー


<評価>

☆☆☆☆1/2(満点=5)


<プレヴュー>

 謎の立方体で目覚めた男がまったく同じつくりの隣の部屋に入ったとたん、罠
にはまって賽の目に切り刻まれてしまう。同じ立方体の中で出会う6人の男女、
だれも何故そこにいて、そこがどこなのかわからない。6つの面にあるどのドア
をあけても壁の色の違う同じ立方体があるだけの空間に閉じ込められた6人は、
罠を避けながらとにかく出口を求めてさ迷い歩くが…
 カナダの恐るべき新鋭監督ヴィンチェンゾ・ナタリが低予算で作り上げた密室
サイコスリラー、限定された空間と限定された登場人物で繰り広げられるとにも
かくにも恐怖の連続のドラマは一見の価値あり。



<レビュー>

 私がまず感心したのはこの映画が映画を作るうえでの最小限の要素によってで
きているということだ。わずか6人(厳密には7人)の出演者、ただの立方体の
箱でしかないセット、それを見事に組み合わせて、壮大な空間をスクリーンの中
に作り上げ、そこを果てしなく旅する6人の壮大な物語を作り上げる。
 人間対キューブ、中にいるもの対外にいるものという単純な構図ではなく、内
部の人たちのあいだにも対立要素を忍ばせていく。そして映画のすべてに論理的
な辻褄を求める徹底的にストイックな作り方は、理論的な謎解きという要素を持
つこの映画、恐怖で覆われた映画に、ほんの少しの安心感を与える。
 この映画は非常に怖い映画ではあるけれど、すべてが“数字”によって、論理
的に組み立てられているために、人智を超えることはないという安心感がどこか
にある。わたしはそれがこの映画の一番面白いところだと思った。怖さというの
は基本的に予期できないもの、人智を超えたものに対して抱かれるものであるは
ずなのに、この映画はそのようなものとしてはじめは現われる恐怖も結局は人間
に作られたものであって、解明されうるものであり続ける。これは西洋的な理知
主義を徹底的に突き詰めたものであって、科学というものをあり方をホラー映画
という形に凝縮したものであると考えることすらできるのではないかと思う。昔
は不意に襲ってくるものだった台風がやってくることをいくつかの「鍵」によっ
て予知するということと、この映画で隣の部屋にトラップがあるかどうかを判断
するということはどこかでパラレルなものであるように思える。

 この映画でキューブに閉じ込められる6人とはある意味では人類そのものであ
り、キューブとは未知の宇宙そのものなのである。少ない手がかりからその全容
を解明し、アカルイミライを目指す。見ているときはとにかく怖くて面白いだけ
だったけれど、見終わって振り返ってみると、そんな物語が根底にあったのでは
ないかと思う。そして、そのような物語があるからこそ、この映画はただの怖い
映画ではなく、面白い映画でありえたのだとも思う。
 ただ怖いだけならば、たとえば日本のホラー映画の怖さのほうが数倍上のよう
な気がする。それは怨念とか亡霊とか狂人とか、人智を超えた理不尽なところに
その怖さがあるからで、そのような怖さにはいつかコントロールできるという安
心感がない。克服できるかもしれないが、それは人間がコントロールできたから
というよりは、恐怖の源泉である何かのほうがいなくなるとかそういうことを決
めたからに過ぎないことが多い。そのようなときには結局恐怖は拭われず、見終
わってみてもつかの間の安心感しか得られない。
 この映画の結末については、映画の楽しみを損なわないようにここでは何も言
いません。


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