ほぼ日刊日々是映画

[ほぼ日刊日々是映画] vol.766 ★ 水の女

===================================================2002/10/31==
                          --vol.766--
  ほぼ日刊 日々是映画           発行:cinema-today
                    http://cinema-today.net/
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766号です。

遅くなってしまいました。
でも、あまり休んでもいられません。

今日はちょっと早いんですが、11月9日公開の注目作
『水の女』です。UAが映画初出演というのが話題で。
相手役は友達の浅野君です。


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--cinema759-------------------------------------------
水の女
                  2002年,日本,115分
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<キャスト&クルー>

監督 杉森秀則
脚本 杉森秀則
撮影 町田博
音楽 菅野よう子

キャスト UA
     浅野忠信
     HIKARU
     江夏豊
     小川眞由美
     

<評価>

☆☆☆1/2(満点=5)


<プレヴュー>

 小さな町で父親と銭湯を営む涼は清水涼という名の通り、自他ともに認める「雨
女」、大事な日にはいつも雨が降る。親知らずを抜くことになっていた日も雨、婚
約者で警察官のヨシオはその雨の中で事故をおこして死んでしまう。その同じ日、
父親の忠雄も心臓発作を起こし、おがくずの中に倒れ、そのまま死んでしまった。
失意に沈んだ涼は一人旅に出て、そこで自由な女ユキノに出会って少し元気を取り
戻した涼が家に帰ると、食卓で見知らぬ男が食事をしていた…
 ギリシャ自然哲学において宇宙の四元素とされる水・風・火・土が出会う場所と
しての銭湯を舞台に、CMやTVドラマで活躍する杉森秀則がオリジナル脚本撮っ
た初監督作品。



<レビュー>

 人間よりも自然を主役にしようという意識、それはカットが切り替わるとき、画
面の中心に木や草や水や空が映っている場面がいかに多いか、ということからも伺
える。人間は端のほうに映っていたり、あるいはフレームインしてきたりと、自然
の事物よりも後から観客に捉えられるようになっている。
 このような自然の扱い方は少々露骨過ぎる気もする。だが、人間を物事の中心に
据えず、人と物とを等価に扱おうとする姿勢は、いわゆる日本映画というイメージ
にぴたりとはまる。そしてこの静謐さや、超現実的な出来事を日常の中に紛れ込ま
せるやり方など、この映画のいろいろな要素は現代の日本映画とはかくあるべきだ、
とでも言いたげな印象を与える。
 ここで言う「現代日本映画」とは、実験精神にあふれた世界映画ではなくて、あ
くまでも「日本映画」という範疇にとどまって、その中である種の新しさと伝統を
調和させる方法、たとえば北野武もそのような日本映画の作家だと思うが、この監
督も映画の色は違うが、そのような哲学を持って映画をつくっていると思う。

 現代の日本映画が持つ傾向は各国の映画の垣根を取り払って一種の「世界映画」
になろうとする動きと「日本映画」というブランドを掲げて世界に出て行こうとい
う動き、の2つがあると思う。この2つの動きはともにハリウッド映画と微妙な関
係を持っていて、前者は自ら世界映画たらんとするハリウッド映画を取り入れ、消
化し、それを乗り越えて、あるいはハリウッドをも巻き込んで「世界映画」たらん
とする世界的なムーヴメントの一端を担うものとして存在している。
 これに対して後者は、ハリウッドに支配される世界の映画市場にあって、それと
は別の価値を生産するひとつのジャンルとして存在する。この場合、「世界」を市
場とすることはできないが、世界中にある日本映画、あるいはアジア映画の市場に
はすんなりと入り込める。
 この二つのどちらかがよくて、どちらかが悪いということではなくて、今世界に
向けて生産される日本映画には2種類あって、この映画は2つのうちの後者、つま
りいわゆる「日本映画」として世界の市場に受け入れられるような映画であり、そ
の中ではなかなか質のよいものである、ということ。しかもそれは、キタノのよう
に外国向けに日本というものを見せるのではなく、日本人に日本を見せるものとし
て優れているのだ。
 これが意味するのは、日本人はこの映画を評価しなければならないということだ。
世界的には評価されなかったとしても、日本でも「UA」という話題以外でしか取
り上げられなかったとしても、そのような外から押し付けられた仮面の奥にあるこ
の映画の真価は評価されるべきものだと思う。


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                             日々是映画第766号
                            2002年10月31日発行
                            発行:cinema-today
                          マガジンID:0000032940
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