ほぼ日刊日々是映画

[ほぼ日刊日々是映画] vol.765 ★ ロバート・イーズ

===================================================2002/10/30==
                          --vol.765--
  ほぼ日刊 日々是映画           発行:cinema-today
                    http://cinema-today.net/
                http://cinema-today.hoops.ne.jp/
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765号です。

朝晩冷え込んでまいりました。
がんばりましょう(?)

今日の映画は『ロバート・イーズ』。
いまBOX東中野で公開中のドキュメンタリー。


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--cinema758-------------------------------------------
ロバート・イーズ
Southern Comfort         2000年,アメリカ,90分
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<キャスト&クルー>

監督 ケイト・デイヴィス
撮影 ケイト・デイヴィス
音楽 ジョエル・ハリソン

キャスト ロバート・イーズ
     ローラ・コーラ
     

<評価>

☆☆☆(満点=5)


<プレヴュー>

 典型的な南部の郊外のトレーラー・ハウスで暮らすロバート・イーズ。どこから
見ても普通のおじさんという彼だが、実は女性として生まれ二人の子供まで生んだ
後、性転換手術を受け、男性となった。そして今は、子宮と卵巣が末期のがんに侵
され、余命いくばくもない状態だった。しかし、彼は秋に開かれるトランスセクシャ
ルの大会(サザン・コンフォート)にもう一度参加することを夢見て、パートナー
のローラと懸命に生きるのだった。
 アメリカでも好機の目にさらされるTS(トランスセクシャル)やTG(トラン
スジェンダー)の問題と真っ向から向かい合ったドキュメンタリー。非常にわかり
やすく問題の所在を描き出している。



<レビュー>

 TSやTGという人は実際はきっとたくさんいて、ただそれが余りメディアに登
場しない。日本では金八先生で「性同一性障害」が取り上げられて話題になったけ
れど、本当はこれを病気として扱うことにも問題がある。しかし、この映画でも言
われているように、性転換手術には膨大な費用がかかるので、保険の問題から病気
といわざるを得ないということは言える。性別の自己決定権というかなり難しい問
題を理解するひとつの方法としてこの映画は多少の役には立つ。
 実際の問題はそのような理知的なレベルではなくて、いわゆる偏見のレベルにあ
る。「気持ち悪い」とか「親にもらった体なのに」という周りの偏見や勝手な思い
込み、これが彼らのみに重くのしかかる。マックスの妹のように身近にそのような
人がいればその痛みがわかるのだろうけれど、いないとなかなかわからない。だか
らこの映画のように、メディアを通じてその痛みを感じさせてくれるようなものを
見る。それでも本当の痛みはわからないけれど、何もわからず彼らを痛めつけてし
まうよりはいいだろう。
 この映画は、ひとつの映画としては死期の迫った一人の男を追ったドキュメンタ
リーにすぎず、彼がたまたまトランスジェンダーであったというだけに見える。そ
のことが強調されてはいるが、それによって何か事件が起こったりするわけではな
い。穏やかに、普通の人と同じく、一つの生きがいを持って(TSの大会に参加す
ること)、生きる男の物語。
 だから、特にスペクタクルで面白いというものではないけれど、逆にこのように
普通であることが重要なのだ。「普通の人と同じく」と書いたけれど、彼らだって
普通の人と変わらないということをそれを意識することなく感じ取れること。つま
り、「彼らも普通の人と変わらないんだ」と思うことではなく、「何だ、普通の話
じゃん」と思えてこそ、彼らの気持ちに近づいているのだと思う。
 そう考えると、この映画は見ている人の意識を喚起させるのには役立つけれど、
彼らは普通の人とは違うととらえているところがあるという点では被写体との間
すこし距離があるのではないかと思う。



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                             日々是映画第765号
                            2002年10月30日発行
                            発行:cinema-today
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