ボストン読本

『ボストン読本』No.271:超訳『徒然草』

カテゴリー: 2014年07月20日
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     ボストン読本: <271号>



                               井筒周
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            超訳 徒然草

「ヒマなもんで、一日中スマホにむかって、思いつくまま考えつくままを、
ツィッターでつぶやいてたら、なんか、アタマがおかしなってしもた」

(原文:つれづれなるまゝに、日ぐらし硯に向かひて、心にうつりゆくよ
しなしごとをそこはかとなく書き付くれば、あやしうこそ物狂ほしけれ)

 吉田兼好は京都の吉田神社の神職の三男坊で、若いときには結構ブイブ
イ言わせたらしいが、30歳のときに、なぜか出家して遁世。徒然草という、
のちに「枕草子」「方丈記」と並ぶ日本三大随筆となるエッセイ集「徒然草」
を書く。貧困の鴨長明とちがって、吉田兼好は、「遁世」のあとも、けっこ
うフリーランス的な仕事をしてはったらしく、書くものに、ちょっと余裕が
ありますな。

 今回は、受験生必読の「花はさかりに」の段(137段)を超訳してみる。

 花は満開のとき、月は雲がかかってないのがええ……て、言わんといてほ
しいな。雨降りの夜に、見えない月のことをあれこれ想像したり、春のさな
かに花見にも行かんと部屋で引きこもったり…ちうのも、なかなかシブイも
んじゃ。

 今から花が咲くところの梢とか、花が散ってしおれてる庭なんかこそ、見
てて、ええんやがな。…(中略)…
 なんでもそうやけど、「始め」と「終わり」が、ええんやね。男と女の関
係かて、ラブラブいうて、エッチしまくって……それが、なんぼのもんじゃ
い。

 好きな人と結ばれなくてウジウジ悩んだり、デートの約束がダメになった
のを悔しがったり、眠れない長い夜を独りで明かしたり、空のかなたの遠く
離れた人のことを考えたり、ぼろアパートでむかし一緒に過ごした夜のこと
を思いだしたり……、そういうのこそを、ラブの道って言うのよ。

 満月のかげりのないのが空いっぱいに輝きわたっているのを眺めるより、
明け方まで待ちわびて、やっと出てきた月のほうが、心にじーんと来る。青
い山奥の杉の木立の間からチラチラ見える月とか、ざあっとやってきた時雨
の雨雲に隠れた月とか、なんとも言えん情緒があるやろ。椎や樫の木の濡れ
たような葉の上に月の光がキラキラと反射してるのなんかを見たら、この美
しさを一緒に語れる友達がいたらなあ…て思て、田舎くらしのおれも、また
都会が懐かしくなったるするもんや。

 まあ、月でも花でもそうやけど、目だけで見るもんやないんやね。春は家
の中に閉じこりながら、秋の月夜は寝室にじっとしながら、花や月のことを
思っているのがオモロイと思うな。粋な人は、そんなに大騒ぎもせんと、大
袈裟なことも言わんと、さりげないね。

 田舎の人ほど、ひつこく、大袈裟にしはりますな。花見に行ったら、木の
根元に陣取って、脇目もせんと花を見て、それがすんだら、酒は飲むわ、大
声で歌うわ、しまいには、桜の枝をむだに折って、池や川があったら手や足
をつけたり、雪が積もったら、歩き回って足跡をつけんことにはいられん…
…ちゅうように、なんでも、距離をおいてものを見る、ゆうことをよおしは
りませんな。(-_-;)


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『ボストン読本』著作・発行:井筒周(いづつ・めぐる)/ 不定期発行
ホームページ: http://www.geocities.jp/bostondokuhon/
問い合わせ先: bostondokuhon@yahoo.co.jp
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