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カテゴリー: 2011年07月06日
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  今週のもくじ
 ・YMコラム  
  ・ホットトピックス  (配信済み) 
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☆☆ YMコラム ☆☆  (NO.560)

   科学衛星の命名ものがたり(8)

      ひりゅう(飛龍、HIRYU)(旧名ASTRO-E)──幻のX線天文衛星

      ニュー・ミレニアムの劈頭を華々しく飾る(はずの)X線天文
   衛星ASTRO-Eは、愛称が公募されました。2月8日、当初の打上
   げ予定日は、風がたいへん強くおまけに不安定で、しかも雪
   が吹雪くという最悪の天気となって、発射を見合わせ。2月9日、
   少し風は残ってはいたものの、空は見事に晴れ上がり、発射準
   備作業は順調に進んだのですが、発射3分前にダウンレンジ局
   の一つである宮崎でコネクターの接触不良が発覚、急遽修復
   に努めたが間に合わず、またも延期。翌2月10日に発射が持ち
   越されました。

   2月10日、風なし、快晴。昨日より素晴らしい理想的な発射条
   件です。予定どおり10時30分に発射。いつものワクワクする
   ような興奮の中を、モニター画面の中のリアル・タイムのロ
   ケットの飛翔経路は順調に伸びていきました。ところが、打
   上げ後55秒、魔のような姿勢異常が起きました。信じられな
   いような1段目のノズルの事故でした。そしてついに軌道に
   届かず、打ち上げは失敗しました。

   打ち上げ前の命名委員会では、「最近の衛星の名前は、あす
   か、はるか、のぞみ……女性の名前が多い。そのため、お互
   いによく間違えられる」という事情を考慮して、男性っぽい
   名前にしようというので、「ひりゅう」(飛龍)が用意され
   ました。打ち上げ失敗によって、「うーん、やはり女性の名
   前がいいのか」という溜め息を漏らした人がいたことも事実
   です。

   内外からは、厳しい叱責とともに励ましや憂慮のメッセージ
   が多数届きました。それらのメッセージには「これまで世界
   をリードしてきた日本のX線天文学伝統を絶やしてはならな
   い」「日本の子どもたちから宇宙への夢を取り上げてはなら
   ない」など有り難い言葉が満ち満ちていました。

   NASA(アメリカ航空宇宙局)のゴールディン長官からも「ア
   メリカと日本の宇宙科学者の友情が絶えることのないように」
   という趣旨の手紙が宇宙科学研究所長に届きました。その中
   にあって、2月16日にヨーロッパから届いた一通の手紙は心
   に染みました。古くからの私たちの友人であるヨーロッパ宇
   宙機関(ESA)の科学計画局長ロジェ・ボネ博士から宇宙
   科学研究所長にあてた手紙には、今度の打上げ失敗を心から
   残念がる文面につづいて、昨年12月に打ち上げられたヨーロ
   ッパのX線天文衛星「XMM-Newton」の観測時間の一部を日本
   の科学者に優先的に使ってもらいたいとの暖かい申し出がな
   されていたのです。

   「苦しい時の友情は身に染みる」との言葉があります。この
   ような感動的な眼差しに見守られながら、宇宙科学研究所は、
   再起に向けてフル稼働を開始しました。

   はやぶさ(隼、HAYABUSA)(旧名MUSES-C)──小惑星サンプ
   ルリターン

   鉄腕アトムのように自律航行を運命づけられている小惑星サ
   ンプルリターンをめざす工学実験探査機MUSES-C。しかもマ
   ンガ「鉄腕アトム」を書いた手塚治虫さんは、主人公のアト
   ムを2003年に誕生させています。これがMUSES-Cの打ち上げ
   年と一致したのです。こんな偶然は天から与えられた配剤と
   ばかり、実験班の投票の6割が「アトム」と書きました。

   委員会の当日、上杉邦憲教授が発言、「アトムって原子爆弾
   を思い出さない?」「新聞記者がそんなことを書いたらしら
   けちゃうね」「鉄腕アトムというのは、英語圏ではAstroboy
   という名で登場しているから、アトムと聞いても、外国の人
   はあの鉄腕アトムを思い浮かべないんじゃないかな?」。か
   くして、MUSES-Cの名前は第二位の「はやぶさ」に落ち着い
   たのでした。

   鳥の隼は眼がいい。遠くから獲物を見つけ、急いで舞い降り
   て獲物を掴み、サッと舞い上がって巣に帰還する。これは
   MUSES-Cの動作とそっくりではないか──これが「はやぶさ」
   の命名理由でした。加えて、「隼」というのは、日本のロケ
   ットの父、糸川英夫博士が太平洋戦争中に設計し、「零戦」
   とともに勇名を馳せた戦闘機の名前でもあり、またその昔東
   京からロケットの発射場まで出張した若者たちが24時間以上
   かけて乗った特急寝台列車の名前でもありました。打上げ後
   にMUSES-Cのターゲットの天体が「イトカワ」と名づけられ
   たことと合わせると、結果的にはいい名前になったのではな
   いでしょうか。

   「はやぶさ」は、2003年5月9日に打ち上げ、7年60億kmの波
   瀾万丈の旅を経て、2010年6月13日、オーストラリア上空に
   帰還しました。「はやぶさ」の本体は大気圏で燃え尽きま
   したが、分離され回収されたカプセルからは、多数のイトカ
   ワ起源の微粒子が見つかり、現在懸命に分析中です。既にそ
   の成果の一部は発表されており、45億年前に形成されたもの
   ことが判明しています。太陽系の起源と進化の研究に資する
   成果が、以後も続報されるものと期待されています。(YM)
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☆☆ ホットトピックス ☆☆ 

           (配信済み)

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■タイトル  :TPS/Jメール
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