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カテゴリー: 2011年06月22日
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   今週のもくじ
   ・YMコラム      
   ・ホットトピックス    
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☆☆ YMコラム ☆☆ (NO.558)

      科学衛星の命名ものがたり(6)

   名機M-3SIIロケットは、「ひてん」の後で「ようこう」「あ
   すか」を打ち上げ、最終の8号機でEXPRESSを打ち上げた。
   EXPRESSは有終の美を飾ることができなかったが、「ようこう」
   「あすか」は見事な足跡を天文学に残した。

   ようこう(陽光、YOHKOH)(旧名SOLAR-A)── 過去の太陽
   像を塗り替える

   太陽観測衛星「ようこう」は1991年8月に打ち上げられた。コ
   ロンブスから500年と銘打った国際宇宙年(ISY:International 
   Space Year)の前年だった。ISYを記念する意味で、それまで
   実験班だけで愛称公募をしていたのを、一般の人々にも拡げよ
   うということになった。結果として全国から3,000通を越える
   投票があり、漫画家の松本零士さん等も入ってもらった選定委
   員会で、愛称決定の作業に入った。

   得票が最も多かったのは「にちりん」(日輪)だったが、何と
   なく抹香くさいということで落選。最後まで残ったのは、「ひ
   みこ」「かがやき」「ようこう」の3つだった。委員の支持が
      いちばん多かったのは実は「ひみこ」だったのだが、いざ漢字
   をどうするかという段になってもめた。本来なら「卑弥呼」だ
   ろうが、これは難しすぎるという意見が出て、「日美子ではど
   うか」「何だか斎藤栄っていう作家の主人公に似てるな」など
   という往復があるうちに、何となくふるい落とされてしまった。
   結局1回ではケリがつかず、決定は2回目の選定委員会に持ち
   越された。

   さて、第二回の選定委員会は外部からの委員のうちでも超多忙
   な漫画家の松本零士さんのスケジュールに合わせて設定された
   のだが、その日の朝になって零士さんから、「帯広で講演を頼
   まれていたのを忘れてまして」と電話がかかってきた。選考の
   最終段階で「かがやき」と「ようこう」が委員会の中でほぼ同
   数という展開になった時に、松本さんの欠席が効き、結局「よ
   うこう」の勝利となったのである。会議への出席というのは大
   事なことである。それにしても「ようこう」は大活躍した。画
   像処理の見事さもあって、太陽フレアを中心とする太陽像を一
   新し、一世を風靡した。

   アメリカのように計画段階での名称がそのまま軌道投入後も使
   われるシステムと異なり、内之浦で採用してきたようなやり方
   には遊びの感覚があって、評判がいい。今後もこのゆとりを象
   徴するような命名劇が展開する時代の到来が期待される。

   あすか(飛鳥、ASCA)(旧名ASTRO-D)──X線天文衛星の4番機

   打ち上げ前に田中靖郎先生に「衛星の名前について腹案があれ
   ば」と問いかけたのだが、先生方は「まあいずれにしてもそん
   なことは考えている時間がないので」とたしなめられた。「な
   るほど、ごもっとも」というわけで、打ち上げ準備の忙しい時
   期に声をかけたことを恥じた。

   ところが、所内の投票を終えて、選定委員会を開き、田中先生
   も出席したのだが、その場での田中先生の発言は、どう見ても
   周到に命名のことを考え抜いていた様子なので、みんな開いた
   口が塞がらなかった。田中先生としては、「あすか」しか考え
   られないと仰る。しかもそのAcronymは、ASCA(Advanced 
   Satellite for Cosmology and Astrophysics)たるべし、とい
   うのである。みんなあっけにとられたまま「あすか」に決まっ
   た。そして1993年2月20日に軌道に乗り、そのように記者発表
   された。
 
   しかもこの「あすか」もよく働いた。ヨーロッパの宇宙科学計
   画づくりの議論に出席した当時の西田篤弘ISAS所長が、「ヨー
   ロッパでは、宇宙科学計画を立案するためには、“ASCA”の成
   果をしっかり総括しなければいけない、と言ってた」と、驚き
   の感想をもらしたのを、私は昨日のことのように憶えている。

   EXPRESS──数奇の運命をたどったM-V最後の打ち上げ

   EXPRESS計画というのは、1980年代の終わりにM-3SIIロケットを
   使って微小重力実験をしたいというグループからの要請で始ま
   ったプログラムである。結局のところ1990年、日本とドイツの
   協力で実施することになり、日本側は通産省と文部省が主体と
   なって、宇宙で新種の材料を創ることと再突入技術を習得する
   ことを目的として、カプセルの飛行実験を行う方向で大筋の合
   意が得られた。

   ところが、ドイツとの協力がキックオフする直前、1989年秋に
   ベルリンの壁が崩れたことで、計画の進行は著しく困難となっ
   た。予算を切り詰めて努力を重ねたが,ドイツ統一の結果とし
   て必要となった対ロシア支援とこの計画をリンクさせることで
   打開を図った。この結果ドイツがロシアからカプセルを調達し、
   搭載実験や西側機器をとりまとめることになって、1992年秋に
   計画が再開された。

   最終的に1995年1月に打ち上げられたが、2段目の不具合によ
   り軌道突入後3周目で機体を失った。ISASとしては、1976年以
   来久しぶりの打ち上げ失敗であった。なお、関係した機関が多
   いため、ISASだけで調整することが難しく、新たに愛称を命名
   することはやめた。

   ところがである。ロケットの不具合調査や日独関係機関との後
   始末などすべて一段落した1995年11月末,「ガーナでカプセル
   発見」の報が突然舞い込んできた。そして1996年3月にカプセ
   ルをドイツに回収し、再突入飛行に関わる耐熱特性などについ
   て一定のデータが得られ、ゼロであった実験の成果は一気に増
   えた。 

   それまで全機成功のM-3SII型の最終号機を成功で飾れなかった
   ことは打撃だったが,その教訓はM-Vに十分に生かされた。再
   突入技術については「はやぶさ」などの新しい展開の基となっ
   た。冷戦終結の荒波にもまれ,国際協力を進める上での様々な
   教訓と多くの経験を残し、EXPRESSミッションは終了した。(YM)
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☆☆ ホットトピックス ☆☆

   ● 星を呑み込むブラックホール

     NASAのガンマ線バースト探査機Swiftがとらえた、ブラッ
          クホールに呑み込まれる星の光景である。
   
      ● オポチュニティの到着地点はスピリット・ポイント

     素晴らしい月食の連続写真 

各記事の詳細は日本惑星協会ホームページでご覧になれます。
http://www.planetary.or.jp/
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