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カテゴリー: 2011年06月08日
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   今週のもくじ
   ・YMコラム      
   ・ホットトピックス  (今週はお休みします)  
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☆☆ YMコラム ☆☆ (NO.556)

      科学衛星の命名ものがたり(5)

   1980年代から90年代にかけて、日本の宇宙科学は、M-3SII
   ケットを擁して、油が乗ってくる。黄金時代の始まりと言っ
   てよいであろう。日本の他の科学分野に比べると大きな予算
   だが、世界的にみると決して多いとは言えないお金で、宇宙
   科学研究所は独特の研究開発体制を作り上げてきた。

   1986年にスペースシャトル「チャレンジャー」の事故が起き
   た時、アメリカ議会で、著名な物理学者Freeman Dysonが証
   言台に立った。そのスピーチの中で、彼は、「1年に1機ずつ
   小さな衛星を機動的に打ち上げることによって、日本の宇宙
   科学研究所は着実に最前線の成果を上げてきている。アメリ
   カも大艦巨砲主義を廃して、日本のような方式を見習っては
   どうか」と述べた。そしてその日本の宇宙科学への評価を、
   “Small, but quick is beautiful.”と締めくくった。

   ぎんが(銀河、GINGA)(旧名ASTRO-C)──X線天文衛星の
   3番機

   ダイソン博士のスピーチは、1990年代の日本の宇宙科学の躍
   進を見越したかのような予見性に満ちたものだったと、今で
   も私は感銘を受けている。その輝かしい時代の先頭を切った
   のは、ハレー探査を成功に導いたM-3SIIロケットで打ち上げ
   た3番機「ぎんが」だった。打ち上げ前にASTRO-Cと呼ばれた
   X線天文衛星は、「はくちょう」「てんま」に次ぐ日本のX線
   天文衛星の3番機。「はくちょう」の時につけられるはずだ
   った「ぎんが」の名前が、当然のようにつけられた。

   1987年2月5日、M-3SIIロケット3号機で打ち上げられた「ぎん
   が」が観測機器の高圧電源投入を行った直後の2月23日、「大
   マゼラン雲に肉眼で見えるほどの超新星出現」の報が入り、
   「ぎんが」は2月26日、急遽観測態勢に入った。 

   私たちの銀河系のすぐ近くの銀河における超新星の出現は,
   1604年以来のことで,世界中の天文学者を興奮させ,「ぎん
   が」にとっては千載一遇のチャンス。打上げ直後の出現は幸
   運な出来事だった。当時の小田稔先生の言、「小型でも1年
   に1機のペースで粘り強く科学衛星を打ち上げ続けている宇
   宙研の戦略の勝利だ。Freeman Dysonが言ったように、まさ
   にSmall but quick is beautiful.だ」。

   週に1度くらいの割合で大マゼラン雲の超新星の監視を続け
   るうちに,9月に入ってそれまでに取得したLACのデータを厳
   密に整理・検討した結果、超新星からのX線を遂に確認した。
   世界に先駆けての検出だった。

   あけぼの(曙、AKEBONO)(旧名EXOS-D)──オーロラのメカ
   ニズム

   1989年(平成元年)2 月22日、オーロラを光らせるプラズマ
   の加速メカニズムを解明することを目的として、EXOS-D衛星
   が準極軌道に投入された。いつもどんな衛星の時でも一定の
   得票を獲得していた「あけぼの」が、ついに採用された。
 
   2009年2月22日、あけぼの衛星は打上げ後20周年を迎えた。
   初めての人工衛星を打ち上げてからやっと50年が経った人類
   にとって、20年という長い期間にわたる磁気圏の観測によっ
   て得られたデータセットは、極めて貴重である。その成果が、
   以下のホームページに美しくまとめられている:
   http://www.stp.isas.jaxa.jp/akebono/anniversary/

   ひてん(飛天、HITEN)(旧名MUSES-A)──工学実験衛星1号

   1980年代のハレー探査による地球重力脱出を受けて、さらに
   本格的な惑星探査を行いたいという欲望が、宇宙工学のグル
   ープに芽生えていたが、残念ながら予算の余裕がない。惑星
   探査の理学上の要求と、工学的に習得しなければならない技
   術開発上の課題を、両方とも満足させるためには、宇宙科学
   研究所の予算ではとても無理である。

   そこで数年に1回は工学的課題に絞ったミッションを立ち上げ
   ることが、(おそらく)上杉邦憲から提案された。言わずと
   知れた上杉家17代目の当主である。そして彼はその工学実験
   衛星シリーズにMUSES(Mu Space Engineering Satellite)と
   いう通り名をつけ、日本読みを「ミューゼス」とした。

   詩の女神ミューズをもじったもので、本来なら「ミューズィ
   ーズ」という発音になるのだろうし、「ミューゼス」という
   と英語読みとドイツ語読みを混ぜたような違和感があったが、
   そのうち慣れてきた。

   その頃、アメリカとの共同ミッションとして近く打ち上げる
   ことが計画されていた宇宙プラズマミッションGEOTAILがあ
   った。これは、地球磁気圏の尾部に直接入り込んで行くこと
   が必要で、そこでの滞留期間を最大化するために、どうして
   も必要な軌道技術があった。Double Lunar Swingbyと呼ばれ
   るもので、その軌道技術の習得が、MUSESの1号機の目的とし
   て選択された。

   打ち上げ前に集まっていろいろと命名の議論をしたのだが、
   なかなか決定的なものは浮かばなかったのだが、林友直教授
   が辞書と格闘して、ついに「ひてん」という艶やかな名前を
   絞り出した。「ひてん」とは飛天と書き、天女の意。なお、
   この衛星の本体の上にチョコンと載っている小型の衛星があ
   る。「ひてん」が月に近づいたとき、本体から分離して日本
   初の月の孫衛星にしようというので、天女(飛天)にふさわ
   しく「はごろも」が選ばれた。
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☆☆ ホットトピックス ☆☆

      (今週はお休みします)

各記事の詳細は日本惑星協会ホームページでご覧になれます。
http://www.planetary.or.jp/
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■タイトル  :TPS/Jメール
■発行元   :NPO法人 日本惑星協会
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■発行日   :毎週水曜日
■発行システム:インターネットの本屋さん『まぐまぐ』
         http://www.mag2.com/
■マガジンID:0000022732

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