TPS/Jメール

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カテゴリー: 2011年05月17日
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       ☆☆☆☆☆ TPS/Jメール ☆☆☆☆☆
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   今週のもくじ
   ・YMコラム      
   ・ホットトピックス   
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☆☆ YMコラム ☆☆ (NO.554)

      波の細道(2)

   2日目は、朝7時に青根を発ちました。それでも、目を覆うば
   かりの陸前高田に着いた時は、午前10時をかなり回っていま
   した。大変な苦労をして通れるようにしてくれたに違いない
   道の両側は、見渡す限りの無残な廃墟。次から次へと展開す
   る光景と、まだたくさんの水を湛えている地面は、ところど
   ころ辛うじて立ち残っているホテルなどがなければ、かつて
   町だったとは想像できないほどの惨状を呈しています。著名
   な高田松原でも、松島で感じた気持ちが起こりましたが、こ
   この風景を構成している主役の一つである松が悲惨な状態な
   ので、海伝いの陸の模様はおそらく一変したのでしょう。

   町の中を歩きながら、私はいつの間にか金子みずゞの詩を思
   い浮かべていました──

   箱のお家が出来ました。

   もう、石鹸の箱でもないし、
   お菓子箱でもありません。
   それは私のお家です。

   表に白い石の門、
   裏にはきれいな花畠、
   お部屋はみんなで十一間
   とてもきれいなお家です。

   そして私はそこに住む。
   小さなかわいいお嬢さま。

   きれいなお家がこわされて
   かさねた箱になったとき、
   私は、古びた、かたむいた、
   お部屋の柱を拭いてます。

   一生懸命、家族のみんなで築いてきて、思い出のいっぱい詰
   まった家は、女の子が遊びで作り上げた家とは違うし、また
   それが津波によって一瞬のうちに破壊された時に襲ってきた、
   怒りと寂しさと空しさの混じった気持ちも、夕方になって遊
   びの終わる時間が来て片づけた時の女の子の「箱の家」とは
   違うけれど、深く深くしみとおる気持ちには、何かしら共通
   したものを感じたのです。

   ただし、次の瞬間には、目の前の目茶目茶になった陸前高田
   の平らな地域の状態は、再びもとの姿に戻ることはないでし
   ょうし、そこでたくましく生活をしていてすでに命を失った
   人々は決して蘇ることはないという想いが、厳しく胸に迫っ
   てきました。そして愛する者を失った人々の受けた苦しみ、
   日々の日常の暮らしを取り戻す苦闘がまだまだ続いて行くの
   だと思うと、金子みすゞの描いた世界とは次元の異なる現実
   があることを思わざるをえませんでした。

   陸前高田は、KU-MAの理事をやっていただいている村上卓司
   さんの故郷です。現場から電話をしました。彼が通った小中
   学校は、少し高台にあったので辛うじて難を逃れたそうです
   が、縁のある方々を多く失ったそうです。心からお悔やみを
   申し上げます。村上さんも4月1日に陸前高田に戻ったそうで
   すが、その時はまだ道もしれほど復旧していなくて、一面の
   平野が、大空襲を受けた跡のように見え、茫然と立ち尽くし
   たということです。

   そこから県境を越えて岩手から宮城に入り、気仙沼に足を伸
   ばしました。気仙沼の街も、やはり陸前高田と同じく厳しい
   爪痕を残していましたが、その港にはいくつもの大きな船が、
   いろいろな角度に倒れ込んでいました。大船渡の船籍の船も、
   ここで座礁していました。大きな船、大きなタンク、……普
   段なら決してそこにあるはずのないものが重なり合っている
   様は、今後決して忘れることのできない印象を、私の脳裏に
   刻みました。

   南三陸へ回る途中でラーメンでも食べようと小さな中華料理
   屋の近くで車を止めたのですが、料理屋に向かう途中に大き
   なスーパーがあり、そのそばを通りかかって、ヘドロの匂い
   に恐れをなし、結局は南三陸まで行ってから食べました。こ
   こでは今も水が貴重品であることをいろいろと思い知る事件
   がありました。

   最後に立ち寄ったのは、専修大学のキャンパス。ここに全国
   から駆けつけたボランティアの人々のテントがたくさんあり
   ました。ここを拠点としてあちこちへ散り、夜になるとまた
   戻って来ているそうです。人間世界のいつにない喧騒をよそ
   に、八重桜が見事な花をつけていました。

   南へ走って女川まで行きましたが、そこの原子力発電所はし
   っかりと門が閉ざされており、近くの原発PRセンターも閉館
   でしたので、そこから一気に仙台まで突っ走りました。途中
   に、石巻、東松島、そして昨日訪ねた地域を通過しました。
   仙台のホテルでは、さる4月に(たぶん)NHKホールで行われ
   たプラシード・ドミンゴの東京公演の様子を再放送していま
   した。彼は、他の海外からのアーティストが軒並み来日をキ
   ャンセルするなかで、「今のような日本の状況だからこそ訪
   ねる必要がある」と感じて来たそうです。相変わらずの素晴
   らしい歌声に聴き入り、最後に彼が特別にみんなと歌いたい
   と申し出た「ふるさと」の熱唱を、ベッドに座りながらボロ
   ボロ涙をこぼしながら一緒に歌いました。

   数多くの経験を与えてくれた今回の東北訪問。一緒に行って
   くれた二人の若い友人に、心から感謝いたします。

   (追伸)なお、帰京後に塩竃の阿部さんから連絡をいただき
   ました。5月26日に彼の地の保育園で子どもたちに、特別仕
   立ての「宇宙の学校」を実施してきます。また相模原市に転
   校してきた福島からの子どもたちに対しても、近いうちに相
   模原の子どもたちと一緒にこれも臨時の形ですが「宇宙の学
   校」を実施する相談に入っています。力は足りませんが、で
   きることをどんどんやっていきたいと考えています。(YM)
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☆☆ ホットトピックス ☆☆

   ● 木星の衛星イオの地表下にマグマの海

          太陽系で最も火山活動が活発な木星の衛星イオの地表下
          に、全球規模のマグマの海が存在することが判明した。
     この新たな発見は、木星探査機ガリレオの観測データを
     詳しく分析した米国の三つの大学のチームにより明らか
     にされた。

   ● 探査機ドーンが初めてとらえた小惑星ベスタ

     探査機ドーンは5月3日、6月16日に遭遇する小惑星ベス
     タの姿を初めてとらえた。

   ● 「はやぶさ」2号機、2014年に打ち上げへ

     「はやぶさ」2号機が、2014年に打ち上げられることに
     なった。目標は、1999JU3の暫定名が付けられている炭
     素質の豊富なC型小惑星である。
      
各記事の詳細は日本惑星協会ホームページでご覧になれます。
http://www.planetary.or.jp/
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■タイトル  :TPS/Jメール
■発行元   :NPO法人 日本惑星協会
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■発行日   :毎週水曜日
■発行システム:インターネットの本屋さん『まぐまぐ』
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