Cinemaの王国

[Cinemaの王国 vol.1804]~『バハールの涙』

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☆   「Cinemaの王国」  vol.1804(2019. 1.25)
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このメールマガジンは、自腹で年間100本以上の映画を観る(ぽち)が、映画館
で実際に観た映画の感想を書くマガジンです。
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【INDEX】
◆1.今週のこの1本!
  ─『バハールの涙』─
◆2.ぽちのひとりごと
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◆1.今週のこの1本! ~『バハールの涙』~
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●『バハールの涙』(LES FILLES DU SOLEIL)
(2018年 フランス・ベルギー・ジョージア・スイス)(上映時間1時間51分)
監督・脚本:エヴァ・ウッソン
出演:ゴルシフテ・ファラハニ、エマニュエル・ベルコ、ズュベイデ・ブルト、
マイア・シャモエビ、エビン・アーマドグリ、ニア・ミリアナシュビリ、エ
ロール・アフシン
*新宿ピカデリーほかにて公開中
ホームページ http://bahar-movie.com/
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<ストーリー>
小さな娘と離れ、戦地で取材を続ける片眼の戦場記者マチルド(エマニュエ
ル・ベルコ)は、イラクのクルド人自治区で、女性だけの戦闘部隊を率いるバ
ハール(ゴルシフテ・ファラハニ)と出会う。彼女は元弁護士で、夫と息子と
幸せな日々を送っていたが、ある日突然ISの襲撃を受ける。男性は皆殺しとな
り、バハールの息子は人質としてISに連れ去られ、バハールは妹とともに捕ら
われる。やがて脱出に成功したバハールは、女性部隊を結成して戦いの最前線
に身を投じたのだった……。

<レビュー>
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ISと闘う女性のリアルでスリリングなドラマ
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ISの犠牲となりながら、脱出後には自ら戦闘に参加してISと闘った女性たちを
モデルに描いた映画です。物語自体はフィクションですが、エヴァ・ウッソン
監督は相当に念入りな取材をしたようで、描かれていることすべてにリアリテ
ィがあります。

物語の語り手は戦場記者のマチルド。同じく記者の夫を戦場で亡くし、小さな
娘と離れ、戦地で取材を続けています。自らも戦場で爆弾の破片で片目を失い、
そのトラウマを抱えています。

そんな彼女が見た戦場らしきシーンが冒頭に登場します。埃まみれになった女
性の顔、高く舞い上がる煙など鮮烈な映像。そこから一気にスクリーンに引き
込まれました。

マチルドはイラクのクルド人自治区に入ります。そこで彼女はISと闘う女性部
隊のリーダーのバハールと出会います。彼女は元弁護士で、夫と息子と幸せな
日々を送っていましたが、ある日突然ISの襲撃を受けます。夫を殺され、息子
は人質として連れ去られ、バハールは妹とともに捕らわれます。やがて脱出に
成功したバハールは、女性部隊を結成します。

前半は、戦場での緊迫した場面が描かれます。いつ敵であるISが襲ってくるか
わからない中、バハールたちは待機します。本当は、今すぐにでも敵の拠点に
向かって進撃したいのですが、男性の司令官が「連合軍の空爆を待て」と反対
したのです。このあたりの男女の対立劇も興味深いところ。

そうした場面の合間に挟まれるのは、過去にバハールの身に起きた出来事。IS
の襲撃、夫の殺害、息子の連れ去り、そしてバハールと妹は性奴隷にさせられ
ます。残虐さや非道さを「これでもか!」と煽るような描写ではありませんが、
それでも十分に胸をえぐられるような出来事です。

中盤はようやく司令官の許しが出て、バハールたちは地下道を通って敵の拠点
に向かいます。そこには地雷が仕掛けられています。バハールたちは、捕虜に
したIS戦闘員を先頭に立たせて、暗闇の中わずかな光を頼りに進みます。とび
っきりスリリングな場面が続きます。

その後は敵の拠点での銃撃戦が展開。ここもまた手に汗握る攻防です。スリリ
ングな場面はまだ続きます。今度は過去の回想シーン。性奴隷となったバハー
ルたちの脱出劇が描かれます。これまたハリウッド映画顔負けのスリリングさ。

その後に描かれるのは親子の情愛。はたして、バハールはどうして戦闘員にな
ったのか。そこには大きな目的が存在していました。それは、幼い娘と離れて
暮らす女性記者マチルドの境遇とも重なり合います。

それを胸に臨む最終決戦。その結末は? ラストのケレンにあふれた場面には、
誰しも感動してしまうはず。

バハールを演じたゴルシフテ・ファラハニは、アスガー・ファルハディ監督の
『彼女が消えた浜辺』で注目され、最近ではジム・ジャームッシュ監督の『パ
ターソン』でアダム・ドライヴァー演じる主人公の奥さん役を務めていました。
今回は、瞳の奥から悲しみ、怒り、愛情など様々な感情を表現する演技が印象
的でした。

一方、女性記者マチルドを演じたエマニュエル・ベルコは、カンヌ国際映画祭
女優賞受賞歴のある演技派女優。今回も、深みのある演技で過去の傷を背負い
つつ前に進もうとする女性記者を演じています。

世界の過酷な現実を取り上げたメッセージ性のある作品であるのと同時に、エ
ンターティメントとしての魅力も十分な備わった作品です。

≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
(90点)

2019年1月20日(日)新宿ピカデリーにて。午後1時25分の回
                       (ぽち)

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◆2.ぽちのひとりごと
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*『菊とギロチン』が毎日映画コンクールで日本映画優秀賞を受賞しました。
主演の木竜麻生もスポニチグランプリ新人賞を受賞。支援した1人として嬉しい
限りです。本日まで、厚木「あつぎのえいがかんkiki」、広島「サロンシネ
マ」にて上映中。都内では、2月2日~8日まで早稲田松竹で上映されるそうなの
で、まだ観ていない方はぜひ!
                       (ぽち)

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