Cinemaの王国

[Cinemaの王国 vol.1803]~『夜明け』

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☆   「Cinemaの王国」  vol.1803(2019. 1.23)
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このメールマガジンは、自腹で年間100本以上の映画を観る(ぽち)が、映画館
で実際に観た映画の感想を書くマガジンです。
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【INDEX】
◆1.今週のこの1本!
  ─『夜明け』─
◆2.ぽちのひとりごと
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◆1.今週のこの1本! ~『夜明け』~
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●『夜明け』
(2018年 日本)(上映時間1時間53分)
監督・脚本:広瀬奈々子
出演:柳楽優弥、YOUNG DAIS、鈴木常吉、堀内敬子、芹川藍、高木美嘉、清水
葉月、竹井亮介、飯田芳、岩崎う大、小林薫
*新宿ピカデリーほかにて公開中
ホームページ http://yoake-movie.com/
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<ストーリー>
ある日の明け方、木工所を営む哲郎(小林薫)は、河辺に倒れている青年を見
つけ、自宅で介抱する。やがて回復した青年は自らを「ヨシダシンイチ」(柳
楽優弥)と名乗る。哲郎は自分の木工所でシンイチに技術を教え、2人は次第に
心を通わせていく。だが、2人はそれぞれ過去の秘密を抱えていた……。

<レビュー>
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過去の傷を抱えた青年と中年男の交流と破綻を繊細に
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是枝裕和監督と西川美和監督が立ち上げた制作者集団「分福」に所属し、是枝、
西川作品で監督助手を務めた経験を持つ広瀬奈々子監督のデビュー作です。

映画の冒頭、明け方の橋の上で1人の青年が朦朧とした状態で、河に花束を投げ
ています。それから間もなく、釣りをするためにやってきた哲郎が、河辺に倒
れていた青年を見つけ、自宅に連れ帰って介抱します。

やがて回復した青年は、東京の渋谷から来たといい、自らを「ヨシダシンイ
チ」と名乗ります。河辺で足を滑らせたというが、どうやらワケありのようで
す。哲郎は、特に行く先のあてもないらしいシンイチを引き留め、自分が経営
する木工所に連れて行きます。哲郎はシンイチに技術を教え、2人は次第に心を
通わせていきます。

この映画の最大の特徴は繊細な心理描写にあります。冒頭から手持ちカメラを
多用して、シンイチや哲郎をはじめとする登場人物の心理を、セリフに頼りす
ぎずに見せていきます。広瀬監督の演出ももちろんですが、柳楽優弥と小林薫
の演技が、それに大きく貢献しています。彼らなしに本作は成立しなかったと
いってもいいでしょう。

映画の序盤から、哲郎はシンイチを実の息子のように扱います。それもそのは
ず、8年前に彼の妻と息子は交通事故で亡くなっていたのです。青年が名乗った
「シンイチ」という名前は、哲郎の今は亡き息子「真一」と同じ名前です。哲
郎の心には悔恨の思いがあります。だからこそ、息子と同じ名前のシンイチに
過剰なほどの愛情を注ぐのです。

一方、シンイチは家族とのトラブルを抱えているようです。自立できない彼は、
哲郎と疑似家族のような生活を送ります。髪を真一と同じ色に染め、彼が残し
た服を着るなど、シンイチは哲郎の息子になり切ろうとします。

ありがちなドラマなら、シンイチと哲郎との絆が次第に強まり、やがてそれぞ
れが再生していく展開が予想されます。しかし、この映画に待ち受けているの
は安易な大団円ではありません。

シンイチには過去のまつわる大きな秘密があります。それが噂となって身近な
人々の間に流れるようになります。それでも哲郎は徹頭徹尾シンイチに愛情を
注ぐのですが、シンイチはその愛情を十分に受け止めきれなくなります。

ドラマの大きなポイントの一つは、哲郎の再婚話にあります。彼は木工所で事
務員をしている子連れの宏美と交際しています。それでも哲郎の心の中では、
死んだ妻子のことがいまだに大きなウエイトを占めています。

クライマックスは、木工所での哲郎と宏美の結婚パーティー。様々な思いを抱
えつつも、何とか絆を保ったまま終わるかと思えたドラマですが、突如として
大きな破綻を迎えます。哲郎とシンイチの思いがすれ違います。

結末は明確ではありません。しかし、個人的にはけっして暗澹とした結末では
ないように思えました。「夜明け」というタイトルも含めて、これから新たな
何かが始まることを予感させるラストでした。

正直なところ、物語的にはもうひとヒネリあったほうがよかったと思うのです
が、演出、映像、演技などすべてにおいて、デビュー作としては上々の作品と
言えるでしょう。今後の広瀬監督に注目したいところです。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆(+1/2★)
(88点)

2019年1月18日(金)新宿ピカデリーにて。午後2時の回
                       (ぽち)

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◆2.ぽちのひとりごと
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*相変わらず地味めな映画をコツコツ拾っています。
                       (ぽち)

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