Cinemaの王国

[Cinemaの王国 vol.1802]~『未来から来た男』

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☆   「Cinemaの王国」  vol.1802(2019. 1.22)
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このメールマガジンは、自腹で年間100本以上の映画を観る(ぽち)が、映画館
で実際に観た映画の感想を書くマガジンです。
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【INDEX】
◆1.今週のこの1本!
  ─『未来を乗り換えた男』─
◆2.ぽちのひとりごと
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◆1.今週のこの1本! ~『未来を乗り換えた男』~
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●『未来を乗り換えた男』(TRANSIT)
(2018年 ドイツ・フランス)(上映時間1時間42分)
監督・脚本:クリスティアン・ペッツォルト
出演:フランツ・ロゴフスキ、パウラ・ベーア、ゴーデハート・ギーズ、リリ
エン・バットマン、マリアム・ザリー、バルバラ・アウア、マティアス・ブラ
ント、ゼバスティアン・フールク、エミリー・ドゥ・プレザック、アントワー
ヌ・オッペンハイム、ユストゥス・フォン・ドナーニー、アレックス・ブレン
デミュール、トリスタン・ピュッター
*ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて公開中
ホームページ http://transit-movie.com/
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<ストーリー>
台頭するファシズムを逃れてドイツからフランスにやってきた青年ゲオルク
(フランツ・ロゴフスキ)。パリで亡命作家ヴァイデル宛の手紙を預かるが、
彼はすでに自殺していた。その後、遺品を持ってマルセイユに向かった彼は、
現地のメキシコ領事館に遺品を返そうとするが、領事館は彼をヴァイデル本人
と勘違いしてビザと乗船券を支給する。ゲオルクは作家になりすましてメキシ
コに渡ろうとするが、街で黒いコートの女(パウラ・ベーア)と出会う……。

<レビュー>
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ファシズムの台頭を背景にした逃亡と愛のドラマ
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ドイツのクリスティアン・ペッツォルト監督の第68回ベルリン国際映画祭コン
ペティション部門出品作。ナチス・ドイツの迫害を逃れてメキシコに亡命した
作家アンナ・ゼーガースが1942年に執筆した小説『トランジット』を映画化し
た作品です。

ただし、この映画、舞台を現代に置き換えています。冒頭の舞台はフランス・
パリ。主人公の青年ゲオルクは、台頭するファシズムを逃れてドイツからフラ
ンスにやってきたようです。しかし、パリも占領軍(ドイツ軍)による迫害が
激しさを増しています。そんな中、ゲオルクは仲間から亡命作家ヴァイデル宛
の手紙を預かります。そこでヴァイデルが滞在しているホテルに行ってみると、
すでに彼は自殺していたのでした。

その後、ゲオルクは重傷を負った仲間の看病をしつつ、列車に隠れて港町マル
セイユに向かいます。しかし、途中で仲間は死んでしまいます。一人でマルセ
イユに着いた彼は、現地のメキシコ領事館にヴァイデルの遺品を返そうとしま
すが、領事館は彼をヴァイデル本人と勘違いしてビザとメキシコ行きの乗船券
を支給します。ゲオルクは作家になりすましてメキシコに渡ろうと考えます。

こうしてゲオルクが、メキシコ行きの船に乗るまでの日々が描かれます。中盤
でゲオルクは、旅の途中で亡くなった男の妻と息子と交流します。まるで家族
のように親しく交わるのですが、ゲオルクがまもなくこの地を去ることがわか
ると、彼らとの間にわだかまりが生まれます。難民である彼らは、ゲオルクの
ように簡単に国外に出ることはできません。

それ以外にも、ゲオルクがメキシコ領事館で出会った指揮者や犬を連れた女性
など、いかにもワケありふうな人物の運命が描かれます。それらを通してファ
シズムの恐さ、迫害された人々の孤独や疎外感、そして究極の選択を余儀なく
される中での良心の呵責などが示されていきます。

この映画は、ゲオルクをはじめとする人々の逃亡のドラマです。同時に愛のド
ラマでもあります。この映画には、いかにも謎めいた雰囲気が漂っています。
その中で最もミステリアスな存在が、黒いコートの女・マリーです。

ゲオルクは街で何度も彼女と遭遇します。最初は誰なのかよくわからないまま
に、彼女に心惹かれていきます。やがて彼女があるドイツ人亡命医師の恋人で
あることがわかります。さらに、彼女は夫を捜しているといいます。その夫と
は誰なのか。

それはネタバレになるから伏せておきますが、そのことでゲオルクは大きな苦
悩を抱えることになります。ゲオルク、マリー、医師の三者が絡み合い、愛の
迷宮に深く迷い込んでいきます。はたして、ゲオルクは作家ヴァイデルに成り
すましたまま、メキシコへ逃れるのか。それとも……。

大きな悲劇が訪れるラストを含めて、悲しくて暗い話です。それを情感過多に
流れることなく、一歩引いた視点から描くことで、3人の男女をはじめ迫害され
た様々な人々の苦悩をリアルに映し出すことに成功しています。ファシズムの
台頭を真正面から描くのではなく、からめ手から描いたユニークで不思議な魅
力を持つ映画です。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆(+1/2★)
(87点)

2019年1月17日(木)新宿武蔵野館にて。午後12時10分の回
                       (ぽち)

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◆2.ぽちのひとりごと
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*「荒川強啓デイ・キャッチ!」が終わるのか。テレビに続いて、ラジオもど
んどんつまらなくなる。やっぱり映画が一番だ!
                       (ぽち)

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発行周期: 週刊(毎週金曜+不定期の水曜) 最新号:  2019/02/14 部数:  1,010部

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