Cinemaの王国

[Cinemaの王国 vol.1801]~『この道』

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☆   「Cinemaの王国」  vol.1801(2019. 1.19)
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このメールマガジンは、自腹で年間100本以上の映画を観る(ぽち)が、映画館
で実際に観た映画の感想を書くマガジンです。
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【INDEX】
◆1.今週のこの1本!
  ─『この道』─
◆2.ぽちのひとりごと
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◆1.今週のこの1本! ~『この道』~
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●『この道』
(2018年 日本)(上映時間1時間45分)
監督:佐々部清
出演:大森南朋、AKIRA、貫地谷しほり、松本若菜、小島藤子、由紀さおり、安
田祥子、津田寛治、菊池寛、升毅、稲葉友、伊嵜充則、佐々木一平、近藤フク、
松本卓也、柳沢慎吾、羽田美智子、松重豊
*TOHOシネマズ日比谷ほかにて全国公開中
ホームページ https://konomichi-movie.jp/
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<ストーリー>
明治43(1910)年。詩人の北原白秋(大森南朋)は、隣家の人妻・俊子(松本
若菜)に夢中で、与謝野晶子(羽田美智子)の忠告にも耳を貸さない。その挙
句に姦通罪で逮捕されてしまう。大正7(1918)年、鈴木三重吉(柳沢慎吾)が
創刊した児童文芸誌『赤い鳥』を舞台に、様々な童謡詩を発表した白秋は、や
がて鈴木の仲介で音楽家の山田耕筰と出会う。性格も生き方も異なる2人は衝突
しながらも、数々の童謡を世に送り出す……。

<レビュー>
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破天荒な詩人・北原白秋の人生と反戦への思い
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詩人・北原白秋の伝記映画です。コンビを組んで数々の名作童謡を生み出した
作曲家・山田耕筰との友情を軸に描いています。ただし、教科書に載るような
偉人の伝記ではありません

全体の構成は、昭和27(1952)年に開かれた「北原白秋 没後十周年記念コン
サート」で指揮をした山田耕筰が、コンサート終了後に若い女性記者の質問に
答えて白秋について語る形式をとっています。

冒頭に登場するのは、膝枕で女性に耳を掃除してもらっている北原白秋のニヤ
けた姿。白秋の妻子か? いや、実は彼女は隣家の人妻。白秋は人妻に入れあ
げていたのです。知り合いの歌人・与謝野晶子の忠告も聞き入れません。

だが、それが間違いのもと。せっかく詩人として人気を獲得しかけた白秋なの
に、俊子の夫から姦通罪で告訴され、逮捕されてしまいます。このスキャンダ
ルによって、彼の名声は地に落ちてしまいます。

こんなふうにとんでもない男だった白秋。ただし、ワルではありません。その
行動の根底にあるのは無邪気さです。のちに彼が近所の子供たちと遊ぶシーン
が出てきますが、これがとにかく楽しそう。つまり、彼は子供がそのまま大人
になったような男。だからこそ、どこか憎めないのです。

そして何よりも文学的才能は抜群です。劇中の出版記念会で与謝野鉄幹は、白
秋の作風を高く評価し、特に「リズム」の良さを指摘します。それが、やがて
童謡詩人としての成功をもたらします。

その後、白秋は俊子と一度は結婚するものの、まもなく逃げられてしまいます。
続いて二度目の結婚にも失敗。ようやく菊子という女性と結婚し、それなりに
落ち着いた家庭を築きます。

そして、まもなく転機が訪れます。鈴木三重吉が創刊した児童文芸誌「赤い
鳥」を舞台に、童謡詩人として活躍するようになった白秋。さらに、三重吉の
仲介で山田耕筰と出会います。

この出会いのエピソードも秀逸。お互いに自分の作品に自信を持つ2人は、会っ
た早々にぶつかり合い、大げんかしてしまうのです。それでも関東大震災後に
共同作業を始めます。そんな2人の友情とともに、「からたちの花」「この道」
などの名作の誕生秘話が語られます。このあたりも、本作の見どころ。

この映画の監督は、『半落ち』『チルソクの夏』『陽はまた昇る』など数々の
作品で知られるベテランの佐々部清。オーソドックスながら丁寧でツボを心得
た演出で物語を引っ張っていきます。ユーモアも散りばめつつ、白秋という稀
代の人物を魅力的に描く手腕はさすがです。

終盤は意外な事実が描かれます。戦争の足音が色濃くなり、自由に物が言いに
くくなっていく中で、白秋も耕筰も心ならずも戦意高揚の国策に協力するはめ
になります。そんな2人の苦悩や無念さを描いて、戦争のむなしさや恐ろしさを
観客に提示します。特に、縁側で夕日を浴びながら「いつかまた自由な時代が
来たら一緒に歌を作ろう」と語る2人の姿には切なさがあふれ、そこから反戦の
メッセージがさりげなく伝わってきます。

北原白秋の伝記としても、山田耕筰との友情物語としても、反戦の思いを込め
た作品としても、なかなか充実しています。白秋を演じた大森南朋、耕筰を演
じたAKIRAに加えて、白秋を取り巻く女たちを演じた松本若菜、貫地谷しほり、
羽田美智子の味わいある演技が、白秋をより魅力的に見せています。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆(+1/2★)
(86点)

2019年1月14日(月・祝)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後1時40分
の回

                       (ぽち)

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◆2.ぽちのひとりごと
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*ますます大作よりも地味めな映画に走る私。
                       (ぽち)

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発行周期: 週刊(毎週金曜+不定期の水曜) 最新号:  2019/02/14 部数:  1,009部

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