Cinemaの王国

[Cinemaの王国 vol.1800]~『迫り来る嵐』

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☆   「Cinemaの王国」  vol.1800(2019. 1.15)
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このメールマガジンは、自腹で年間100本以上の映画を観る(ぽち)が、映画館
で実際に観た映画の感想を書くマガジンです。
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【INDEX】
◆1.今週のこの1本!
  ─『迫り来る嵐』─
◆2.ぽちのひとりごと
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◆1.今週のこの1本! ~『迫り来る嵐』~
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●『迫り来る嵐』(暴雪将至/THE LOOMING STORM)
(2017年 中国)(上映時間1時間59分)
監督・脚本:ドン・ユエ
出演:ドアン・イーホン、ジャン・イーイェン、トゥ・ユアン、チェン・ウェ
イ、チェン・チュウイー
*新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて公開中
ホームページ http://semarikuru.com/
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<ストーリー>
1997年。中国の小さな町の国営工場で保安部の警備員として働くユィ・グオウ
ェイ(ドアン・イーホン)は、工場内で起きる小さな犯罪を取り締まって実績
を挙げてきた。そんなある日、近所で若い女性の連続殺人事件が発生し、刑事
に憧れるユィは勝手に捜査に首を突っ込み始める。知り合いの警部から捜査情
報を手にいれたユィは、自ら犯人を捕まえようと奔走する。そんな中、恋人の
イェンズ(ジャン・イーイェン)が犠牲者に似ていることを知ったユィの行動
によって、事態は思わぬ方向に進んでいく……。

<レビュー>
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時代に翻弄され殺人事件の捜査にのめり込んだ男の哀しみ
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2017年の第30回東京国際映画祭コンペティション部門で、最優秀男優賞(ドア
ン・イーホン)と芸術貢献賞をW受賞した映画です。

映画の冒頭、ある男が刑務所を出所します。いったい彼は何をしたのか。その
過去が描かれます。

1997年。中国の小さな町の国営工場で働くユィ・グオウェイ。保安部の警備員
として、工場内で起きる小さな犯罪を取り締まって実績を挙げてきました。そ
の一方で、秘かに本物の刑事になる夢を抱き、知り合いの警部の手伝いまでし
ています。

そんなある日、近所で若い女性の連続殺人事件が発生。現場を訪れたユィは、
自分のことを「師匠」と呼ぶ若者を相棒に、頼まれもしないのに自ら犯人を捕
まえようと奔走します。

この映画でまず目を引くのは、ほとんどが雨の中のシーンだということ。それ
が陰鬱な雰囲気を醸し出し、フィルム・ノワール的な世界がスクリーンに展開
します。

ドラマが大きく動くのは、中盤以降です。そのターニングポイントになるのが、
工場から操車場へかけての追跡劇。自己流の捜査を続けるうちに、ユィは怪し
げな人物と遭遇してその男を追跡します。ぬかるみの中を逃げる男。必死で後
を追うユィ。スリリングな攻防が展開。ここでも雨が緊迫感を煽ります。

この追跡劇でユィは事故で相棒を失ってしまいます。そこから先は映画全体の
トーンが一気に暗く重たくなります。ユィは次第に事件にからめとられ、そこ
から逃れられなくなります。そんなユィの心情を、新人のドン・ユエ監督が繊
細に描き出していきます。

ドラマの背景には、当時の時代の変化が刻み込まれています。それまでの共産
主義的な世界から、資本主義へと舵を切る中国経済。各地の工場では経済合理
性が優先され、大規模なリストラが行われます。その波は当然ながら、ユィの
工場にも押し寄せます。それがユィの行動に大きな影を落とします。

後半は、イェンズという女性が大きな役割を果たします。過去の暗い影を背負
っているような彼女にユィは惹かれ、2人は距離を縮めていきます。しかし、イ
ェンズが殺人事件の犠牲者に似ていたことから、事態は思わぬ方向に進みます。

終盤に向かうにつれて、ユィの心は狂気を帯びてきます。その心理を余すとこ
ろなく描くのではなく、余白を残しながら観客の想像力を刺激する描写が見事
です。重厚さと繊細さを併せ持ったタッチです。

ユィの行動はイェンズを絶望させ、それがユィの暴走につながります。ほんの
わずかなボタンの掛け違いから、若さゆえの野心、愛、そして時代に翻弄され
てしまったユィとイェンズ。その悲しみが上映の終わったスクリーンに漂って
いました。

前半と後半、さらに老境の主人公の変化を演じ分けたドアン・イーホンに加え、
ファム・ファタール的な妖しい魅力を振りまいたジャン・イーイェンの演技も
見事でした。

≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
(91点)

2019年1月8日(火)新宿武蔵野館にて。午後12時25分の回
                       (ぽち)

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◆2.ぽちのひとりごと
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*新年になってまだ3本しか映画を観ていません。
                       (ぽち)

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