Cinemaの王国

[Cinemaの王国 vol.1799]~『22年目の記憶』

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☆   「Cinemaの王国」  vol.1799(2019. 1.11)
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このメールマガジンは、自腹で年間100本以上の映画を観る(ぽち)が、映画館
で実際に観た映画の感想を書くマガジンです。
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【INDEX】
◆1.今週のこの1本!
  ─『22年目の記憶』─
◆2.ぽちのひとりごと
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◆1.今週のこの1本! ~『22年目の記憶』~
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●『22年目の記憶』(MY DICTATOR)
(2014年 韓国)(上映時間2時間8分)
監督:イ・ヘジュン
出演:ソル・ギョング、パク・ヘイル、ユン・ジェムン、イ・ビョンジュン、
リュ・ヘヨン
*シネマート新宿ほかにて公開中
ホームページ http://www.finefilms.co.jp/22nenme/
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<ストーリー>
1972年、南北共同声明が発表される。韓国は初の南北首脳会談に備えた予行演
習のために、北朝鮮の最高指導者・金日成の代役オーディションを密かに行う。
その結果、売れない役者のキム・ソングン(ソル・ギョング)が抜擢される。
ソングンは必死で役作りに取り組み、金日成が乗り移ったような振る舞いを見
せる。だが、会談は幻に終わり、ソングンの努力は水泡に帰す。それから22年
後、年老いたソングンは自分を金日成と思い込んでいた。そんな父を息子のテ
シク(パク・ヘイル)が施設から引き取り、同居生活を始める。それにはある
目的があった……。

<レビュー>
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国家に翻弄された役者の悲哀と息子との絆をユーモラスに
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朝鮮半島の南北分断をネタにした映画。監督は『ヨコヅナ・マドンナ』『彼と
わたしの漂流日記』のイ・ヘジュン。南北分断というと社会派のお堅い映画を
連想するかもしれませんが、全編に笑いが満ちた映画です。

物語の出発点は1972年。北朝鮮と韓国との間で南北共同声明が発表され、初の
南北首脳会談の実現が予想される中、韓国は会談に備えた予行演習のため、北
朝鮮の最高指導者・金日成の代役を仕立てようと考えます。そこで白羽の矢が
立ったのが、売れない役者のキム・ソングン。

珍妙なオーディションをくぐり抜けた彼は、演劇の教授と反体制派の青年の指
導のもと厳しい訓練を受けます。ただし、それも「ジャージャー麺!」と叫び
ながら金日成を演じるなど、爆笑モノの訓練。その一方で、拷問まがいの態度
でソングンに接する情報当局の様子からは、国家権力の恐ろしさも伝わってき
ます。

この映画の大きな肝は父子の絆。ソングンはなぜ必死でこの代役にしがみつき、
理不尽な訓練にも耐えるのか。それは、ひとえに息子のためです。ソングンは、
ようやくつかんだ舞台「リア王」の代役で大失敗し、幼い息子のテシクを落胆
させてしまいます。だから、金日成の代役で名誉挽回を図ろうとしたのです。

ソングンは必死で役作りに取り組み、金日成になり切ろうとします。その挙句
に、金日成が乗り移ったような振る舞いを見せるようになります。しかし、会
談は幻に終わってしまいます。

後半は、それから22年後のドラマが描かれます。年老いたソングンは過去の記
憶を失い、自分を金日成と思い込んでいます。一方、成長した息子テシクはマ
ルチ商法を展開中ですが、借金まみれで取り立て屋に追われる毎日です。

テシクは当初、父のソングンを完全に無視しています。それには過去のある出
来事が関係しています。しかし、ある時、彼はソングンを老人ホームから引き
取り、同居生活を始めます。それには金にまつわるある目的があったのです。

後半もユーモア満載。言動が金日成そのままの父と、資本主義にどっぷりつか
った息子との同居生活は、摩擦だらけの破天荒なもの。父は自給自足を説いて
息子にヤギを飼わせたり、スーパーに乗り込んで店長に説教したりします。息
子はそれに振り回されて右往左往しながらも、目的達成のために金日成の息
子・金正日のふりをします。

ソングンを演じた実力派ソル・ギョングの演技は必見。外見はまったく似てい
ないのに、金日成らしさを全身から醸し出す怪演ぶりです。

ただ笑えるだけではありません。父ソングンの姿からは、息子への思いが空回
りして国家に翻弄された男の悲哀が漂うし、息子テシクの姿からは、親子の断
絶を抱えたまま身動きできない男の孤独が感じられます。

クライマックスでは、かつて日の目をみなかったソングンの役者としての花道
が用意され、そこから幼き日のテシクと父とのある記憶へとつながっていきま
す。その後には後日談も用意されます。そこではもう一つの父と子の絆が提示
され、観客を温かな気持ちにさせてくれます。

やや強引な展開や非現実的な描写などもありますが、それもあまり気になりま
せん。払ったお金の分はきっちり元を取らせてくれるのだから、さすが韓国映
画です。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆(+1/2★)
(87点)

2019年1月7日(月)シネマート新宿にて。午後2時35分の回
                       (ぽち)

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◆2.ぽちのひとりごと
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*角川シネマ新宿がいつの間にかアニメシアターになっていた。けっこう人は
入っていたから、角川の経営方針の問題なのだろう。アニメねぇ。政府のクー
ルジャパン戦略に協力???
                       (ぽち)

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発行周期: 週刊(毎週金曜+不定期の水曜) 最新号:  2019/02/14 部数:  1,010部

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