Cinemaの王国

[Cinemaの王国 vol.1795]~『マイ・サンシャイン』

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☆   「Cinemaの王国」  vol.1795(2018.12.25)
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このメールマガジンは、自腹で年間100本以上の映画を観る(ぽち)が、映画館
で実際に観た映画の感想を書くマガジンです。
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【INDEX】
◆1.今週のこの1本!
  ─『マイ・サンシャイン』─
◆2.ぽちのひとりごと
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◆1.今週のこの1本! ~『マイ・サンシャイン』~
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●『マイ・サンシャイン』(KINGS)
(2017年 フランス・ベルギー)(上映時間1時間27分)
監督・脚本:デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン
出演:ハル・ベリー、ダニエル・クレイグ、ラマー・ジョンソン、カーラン・
KR・ウォーカー、レイチェル・ヒルソン
*ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて公開中
ホームページ http://bitters.co.jp/MySunshine/
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<ストーリー>
1992年、ロサンゼルス・サウスセントラル。ミリー(ハル・ベリー)は家族と
一緒に暮らすことができない子供たちを育てていた。貧しいながらも、ミリー
の大きな愛情に包まれて幸せに暮らす子供たち。隣人のオビー(ダニエル・ク
レイグ)はミリー一家の騒々しさに文句をつけながら、彼らを見守っていた。
そんな中、黒人が犠牲になった事件の裁判をきっかけに暴動がぼっ発する。ミ
リーたちもその渦に巻き込まれていくのだが……。

<レビュー>
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巻き込まれた家族を通して見える暴動のリアル
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1992年、アメリカ・ロサンゼルスで起きた「ロス暴動」に遭遇した家族を描い
たドラマです。監督のデニズ・ガムゼ・エルギュヴェンはトルコ生まれ。前作
の長編デビュー作『裸足の季節』は、古い慣習や封建的な思想が残るトルコの
田舎町に生きる5人姉妹の青春を描いたドラマで、アカデミー外国語映画賞にノ
ミネートされるなど高い評価を受けました。

最初に描かれるのは、ロス暴動のきっかけとなった1991年に起きた2つの事件。
15歳の黒人少女が万引きと間違えられて韓国系の女店主に射殺されたラターシ
ャ・ハーリンズ射殺事件。そして、黒人男性が白人警官たちから暴行を受けた
ロドニー・キング事件です。前者の事件では、被告に保護観察処分と500ドルの
罰金という甘い判決が下ったため、黒人を中心に大きな怒りが人々の間に渦巻
きました。

そして、ロドニー・キング事件の裁判が始まります。このドラマには、随所に
その裁判の経過が挟み込まれます。

前半で描かれるのは、黒人女性ミリー一家のキラキラした日々。ミリーは、家
族と一緒に暮らすことができない子供たちを引き取って育てています。貧しい
生活ですが、子供たちはミリーの大きな愛情に包まれて幸せに暮らしています。

そんな家族の風景の中には、隣人のオビーもいます。彼はやんちゃな子供たち
を怒鳴りつけ、時には狂犬のようにふるまいます。ところが、やがて一家を見
守る存在であることが明らかになります。

こうして幸せな一家が描かれる前半ですが、影の部分も登場します。ミリーは
母親が逮捕され、帰る家を失った少年ウィリアムを保護しますが、ミリー一家
の長兄的存在のジェシーは、彼の素行の悪さが気になって仕方ありません。お
まけに、ジェシーの同級生で、家を失くしたはねっ帰りの女の子ニコールもそ
こに絡んできて、何やら暗雲が漂い出します。

そして、ロドニー・キング事件の裁判の雲行きも、次第に怪しいものになって
いきます。

後半は、ついにロス暴動が勃発。その様子を様々な角度から、ニュース映像な
ども盛り込みつつ映し出します。一触即発の警官と市民、おびただしい暴力、
略奪など危険な場面が続きます。もちろんフィクションですが、まるでドキュ
メンタリーのようなリアルさです。

ただ危険なだけではありません。ハンバーガー店を襲撃に来た子供たちを、店
員が「そんなことをすればもう二度とハンバーガーが食べられなくなる」など
と必死で説得する場面は、リアルであるのと同時にほんの少しのユーモアと人
間の良心も感じさせます。

そんな暴動にミリー一家の人々も巻き込まれていきます。そのハイライトは、
暴徒とともに略奪行為に走る子供たちを、ミリーとオビーが止めに行く場面。
そこでミリーたちは警官に目をつけられて、一触即発の状態に追い込まれます。
まさにギリギリの場面で、その恐怖が観客にも伝わってきます。

その一方で、その後、何とも情けない事態に立たされたミリーとオビーが、掛
け合い漫才のようなやり取りをしながらピンチを脱出しようとする場面では、
思わずクスリと笑わせられます。こんなふうに暴動とはいっても、一筋縄では
いかない描写が目立ちます。それだからこそ、なおさら事態の恐ろしさがリア
ルに伝わってきます。

ラストはある少年の死をフィーチャーします。そこでのミリーとオビーの表情
が重たい余韻を残します。前半のキラキラした幸せなミリー一家の描写がある
からこそ、そうした人々が巻き込まれ、加害者にも被害者になりうる暴動の恐
ろしさやむなしさ、そしてその根底にある人種差別の愚かさが伝わってきます。

ミリーを演じたハル・ベリーの懐の深い演技、そして『007』のイメージをかな
ぐり捨てて、頑固で人情味ある普通のおじさんを演じたダニエル・クレイグの
演技も見どころです。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆(+1/2★)
(87点)

2018年12月23日(日)シネクイントにて。午後2時40分の回
                       (ぽち)

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◆2.ぽちのひとりごと
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*いよいよ今年も残りわずかですねぇ。
                          (ぽち)

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