Cinemaの王国

[Cinemaの王国 vol.1751]~『悲しみに、こんにちは』

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☆   「Cinemaの王国」  vol.1751(2018. 7.24)
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このメールマガジンは、自腹で年間100本以上の映画を観る(ぽち)が、映画館
で実際に観た映画の感想を書くマガジンです。
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【INDEX】
◆1.今週のこの1本!
  ─『悲しみに、こんにちは』─
◆2.ぽちのひとりごと
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◆1.今週のこの1本! ~『悲しみに、こんにちは』~
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●『悲しみに、こんにちは』(ESTIU 1993)
(2017年 スペイン)(上映時間1時間40分)
監督・脚本:カルラ・シモン
出演:ライア・アルティガス、パウラ・ロブレス、ダビド・ベルダゲル、ブ
ルーナ・クシ、フェルミ・レイザック、イザベル・ロカッティ、モンセ・サン
ズ、ベルタ・ピポ
*ユーロスペースにて公開中。全国順次公開予定
ホームページ http://kana-shimi.com/
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<ストーリー>
バルセロナに暮らす少女フリダ(ライア・アルティガス)は、両親を"ある病気
"で亡くし、田舎に暮らす若い叔父夫婦のもとで暮らすこととなる。叔父夫婦の
エステバ(ダビド・ベルダゲル)とマルガ(ブルーナ・クシ)、そして2人の
娘で幼いいとこのアナ(パウラ・ロブレス)に温かく迎えられるのだが……。

<レビュー>
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叔父夫婦に引き取られた少女の心理を繊細に見せる
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スペインの新人女性監督カルラ・シモンが自身の経験をもとに撮った作品。

ドラマのスタートはバルセロナ。この地に暮らす少女フリダが、楽しく遊んで
います。だが、まもなく荷造りシーンが映ります。どうやらフリダは引越しを
するようです。見送りの人たちとサヨナラし、車に乗って出発するフリダ。そ
の不安げな表情。

実は、フリダの両親は"ある病気"で亡くなり、田舎に暮らす若い叔父夫婦に引
き取られることになったのです。叔父夫婦のエステバとマルガ、そして2人の
娘で幼いいとこのアナに温かく迎えられるフリダ。

この映画で特徴的なのはアップを多用した映像です。フリダを中心に、登場人
物の表情を丹念に映し出します。それによって、繊細な心理の揺れ動きが手に
取るように伝わります。

中心的に描かれるのはもちろんフリダの心理。両親の死によって始まった新た
な暮らし。叔父夫婦はとても優しく、我が子のアナと分け隔てなくフリダと接
しようとします。アナも実の姉のようにフリダを慕います。しかし、それでも
フリダにとっては未知の世界。そこには大きな不安や戸惑いがあります。それ
をリアルに見せていきます。

おそらくフリダは6歳前後。この年頃の子どもにはよくあることかもしれません
が、自分でも原因がわからないうちに不機嫌になったりします。それが暴走し
てしまうこともあります。

また、ふだんは仲よく遊ぶいとこのアナも、時にはうっとうしくなります。あ
る時、フリダは「遊んで」とうるさくまとわりつくアナが面倒になって、森に
置いてきてしまいます。それが大変な事態になったりします。

そうしたフリダの行動の背景には、やはり両親、特に母の死に対する様々なわ
だかまりがあります。しかし、彼女が正面からそれを口にすることはありませ
ん。それによって、また心に鬱積していくものがあります。

生活環境の変化も彼女を戸惑わせます。隣人に生みたての卵をもらったり、ウ
サギがさばかれる過程を目の前で見たりするフリダ。そうした新たな環境も彼
女の心の動きに大きく関係しているに違いありません。

カルラ・シモン監督は、そんなフリダの心理をあぶりだすのと同時に、叔父夫
婦、特に叔母マルガの葛藤にも焦点を当てます。血縁のないフリダを一生懸命
に我が家になじませようとするマルガ。だが、時にフリダの無軌道な行動は周
囲を混乱させます。それでもフリダのママになろうとする彼女の強い決意は揺
るぎません。

ラストに待っているのは実に印象深いシーン。新学期を前に、ついに母の死と
向き合うフリダ。それに応えるマルガ。一見静かなやり取りですが、そこには
重くて深いものがあります。

その後、フリダは涙を見せます。それははたして何を意味する涙なのか。よう
やく過去を整理し、新たな人生を歩もうとする彼女の万感の思いがこもった涙
なのではないでしょうか。フリダと叔父一家。これからも紆余曲折はあるにし
ても、きっと未来には明るい希望が待っている。そう思わせられるラストでし
た。

≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
(90点)

2018年7月24日(火)ユーロスペースにて。午後2時20分の回
                       (ぽち)

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◆2.ぽちのひとりごと
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*『菊とギロチン』を観ずして今年の日本映画は語れません。断言します。ぜ
ひ劇場へ!
http://kiku-guillo.com/
                          (ぽち)

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