Cinemaの王国

[Cinemaの王国 vol.1748]~『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』

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☆   「Cinemaの王国」  vol.1748(2018. 7.20)
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このメールマガジンは、自腹で年間100本以上の映画を観る(ぽち)が、映画館
で実際に観た映画の感想を書くマガジンです。
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【INDEX】
◆1.今週のこの1本!
  ─『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』─
◆2.ぽちのひとりごと
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◆1.今週のこの1本! ~『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』~
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●『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』
(2017年 日本)(上映時間1時間50分)
監督:湯浅弘章
出演:南沙良、蒔田彩珠、萩原利久、小柳まいか、池田朱那、柿本朱里、田中
美優、蒼波純、渡辺哲、山田キヌヲ、奥貫薫
*新宿武蔵野館ほかにて公開中。全国順次公開予定
ホームページ http://www.bitters.co.jp/shinochan/
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<ストーリー>
高校一年生の新学期、吃音に悩む大島志乃(南沙良)は、自己紹介で自分の名
前をうまく言えずにクラスの笑いものになる。ひとりぼっちで過ごす彼女は、
ひょんなことから校舎裏で同級生の岡崎加代(蒔田彩珠)と出会い友達になる。
加代は音楽好きでギターを弾くが極度の音痴だった。一方、志乃はなぜか歌は
普通に歌えた。志乃の歌を聞いた加代はバンドを組もうと誘う。文化祭を目標
に猛練習を始める志乃と加代。だが、ある日、志乃をからかったお調子者の男
子・菊地(萩原利久)が強引にバンドに参加する……。

<レビュー>
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コンプレックスを抱える2人の少女の輝きと心の叫び
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漫画家・押見修造によるコミックの映画化。吃音がドラマの大きな要素になっ
ています。押見修造自身の体験がもとになっているそうです。

映画がスタートすると1人の少女、大島志乃が登場します。高校一年生の新学期
に志乃は学校へ行きます。それを前に何度も自己紹介の練習をします。しかし、
学校へ行って実際に自己紹介の順番が来ると、自分の名前さえうまく言えませ
ん。彼女は吃音で悩んでいたのです。志乃はクラスメイトから笑われてしまい
ます。それをきっかけに誰とも交流することなく、ひとりぼっちで過ごすよう
になります。

一方、志乃と並んでもう1人の少女がクローズアップされます。岡崎加代。彼女
はいつも不機嫌そうで、影を感じさせる少女。実は、彼女にも大きな欠点があ
ります。音楽好きでギターを弾く加代ですが、残念なことに極度の音痴だった
のです。

お互いに悩みを抱えた2人は、ひょんなことから校舎裏で遭遇し、少しずつ距離
を縮めていきます。その過程で、加代は志乃に「2人でバンドを組もう」と誘い
ます。吃音の志乃ですが、歌はちゃんと歌えたのです。加代がギター弾いて志
乃が歌う。バンド名は「シノカヨ」。2人は文化祭を目標に猛練習を始めます。

そんな志乃と加代の青春の日々が瑞々しく描かれます。青春映画らしいきらめ
きにあふれています。特に印象的なのは、舞台となる海辺の町の風景を生かし
た光にあふれた映像。それが、2人の少女を躍動させます。

2人の若手女優の演技も素晴らしい。志乃を演じる南沙良は、言葉でうまく自分
を表現できないもどかしさ、緊張、おびえなどを繊細に表現。自分の感情を爆
発させるシーンでは、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔で渾身の演技を見せ
ます。

そんな志乃を自然体で受け止める加代役の蒔田彩珠は、抱え込んだ孤独をぶっ
きらぼうな態度で覆い隠しつつも、志乃との交流で少しずつ心を溶かします。
こちらも繊細な演技が絶品。

彼女たちの生き生きとした姿に、思わずこちらの心も弾んでしまいます。海辺
の町を2人が自転車で駆け抜けるシーンは、まさにそれを象徴するシーン。

しかし、後半は大きな転機に直面。ある日、クラスのお調子者の男子・菊地が
強引にバンドに参加したいと言い出します。それが2人の関係を大きく変化させ
てしまいます。志乃は加代から離れ、以前にも増して自分の殻に閉じこもるよ
うになります。

そして迎える文化祭。志乃を失った加代は、自ら作ったオリジナル曲を力いっ
ぱい歌います。その歌声が観客の胸を強く打ちます。それは志乃の胸にも届き、
彼女の痛切な心の叫びが会場の体育館に響き渡ります。

このドラマに、明確なハッピーエンドやカタルシスは用意されていません。し
かし、志乃と加代のさりげないラストの表情から、2人がそれぞれに前を向き始
めたことが示唆されます。2人が抱えたコンプレックスや悩みが、そう簡単に消
えることはないでしょう。それでも、きっと彼女たちは自分の足で前に進んで
いく。そう思わせられたラストです。

吃音や音痴だけでなく、コンプレックスを持つすべての人の心に届く映画では
ないでしょうか。数多ある青春映画の秀作に、また新たな1本が加わりました。

≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
(92点)

2018年7月16日(月)新宿武蔵野館にて。午後12時55分の回
                       (ぽち)

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◆2.ぽちのひとりごと
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*『菊とギロチン』を初めて自腹で鑑賞。通算3度目の鑑賞。何度観ても圧倒的
なパワーを持つ素晴らしい映画です。ぜひぜひ劇場へ!!
                          (ぽち)

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発行周期: 週刊(毎週金曜+不定期の水曜) 最新号:  2019/03/13 部数:  1,005部

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