Cinemaの王国

[Cinemaの王国 vol.1744]~『菊とギロチン』

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☆   「Cinemaの王国」  vol.1744(2018. 7. 5)
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このメールマガジンは、自腹で年間100本以上の映画を観る(ぽち)が、映画館
で実際に観た映画の感想を書くマガジンです。
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【INDEX】
◆1.今週のこの1本!
  ─『菊とギロチン』─
◆2.ぽちのひとりごと
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◆1.今週のこの1本! ~『菊とギロチン』~
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●『菊とギロチン』
(2017年 日本)(上映時間3時間9分)
監督:瀬々敬久
出演:木竜麻生、東出昌大、寛一郎、韓英恵、渋川清彦、山中崇、井浦新、大
西信満、嘉門洋子、大西礼芳、山田真歩、嶋田久作、菅田俊、宇野祥平、嶺豪
一、篠原篤、川瀬陽太、永瀬正敏(ナレーション)
*7月7日よりテアトル新宿ほかにて公開
ホームページ http://kiku-guillo.com/
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<ストーリー>
大正末期、関東大震災直後の日本。ある日、東京近郊に女相撲の一座「玉岩興
行」がやって来る。女力士たちの中には、元遊女の十勝川(韓英恵)や家出娘
など、ワケあり娘も集っていた。新人力士の花菊(木竜麻生)は貧しい農家の
嫁だったが、夫の暴力に耐えかねて家出して女相撲に加わり、「強くなって自
分の力で生きたい」という一心で厳しい練習を重ねていた。興行当日、会場に
は中濱鐵(東出昌大)と古田大次郎(寛一郎)らアナキスト・グループ「ギロ
チン社」の若者たちの姿があった。彼らは思想家・大杉栄が殺害され、その復
讐を画策するためにこの地に流れ着いていた。女力士たちの戦いぶりに魅了さ
れ、行動を共にするようになる中濱たちだったが……。

<レビュー>
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熱い魂に満ちた女力士とアナキストたちの青春群像
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『64 ロクヨン』『友罪』などの瀬々敬久監督の作品。オリジナル企画としては
『ヘヴンズ ストーリー』以来8年ぶりになります。ちなみに、私はこの映画の
製作費をほんの少しだけカンパしました。

時代は大正末期、関東大震災直後の日本だ。ある日、東京近郊に女相撲の一座
「玉岩興行」がやって来ます。その中には力自慢の女力士に交じって、元遊女
の十勝川や家出娘など、ワケありの女たちも集っています。そこに加わったの
が、新人力士の花菊。彼女は貧しい農家の嫁でしたが、夫の暴力に耐えかねて
家出して女相撲に加わりました。そして、「強くなって自分の力で生きたい」
という一心で厳しい練習を重ねています。

一方、その興行を見にやってきたのが、中濱鐵や古田大次郎らアナキスト・グ
ループ「ギロチン社」の若者たち。最初は面白半分に女相撲を観ている彼ら。
しかし、その真剣な闘いに魅了されていきます。

3時間9分の長さをまったく感じさせない映画です。その最大の理由は、アナキ
スト(無政府主義者)と女相撲を結びつたアイデアにあります。アナキストた
ちは、資本家を脅して金を略奪し、それを女と酒に注ぎ込んでいます。師と仰
ぐ思想家・大杉栄が殺害されると、その復讐を画策するものの相変わらずの迷
走状態。

そんな彼らが女相撲に魅了され、興行の宣伝を手伝うなど彼女たちと行動を共
にするようになります。抑圧された女たちの真っ直ぐな生き様が、生半可な
日々を送っていた男たちの背中を強烈に押したのです。そして、自らも目的に
向かって力強く行動していきます。この構図が実に痛快です。

おびただしい数の人物が登場する群像劇です。過去にも様々な群像劇を手がけ
てきた瀬々監督。そして3時間超の長さ。それでも、さすがに十分には描き切れ
ていない人物もいます。

それでも破格のエネルギーがそれを凌駕します。構想30年という瀬々監督の思
い、それを全力で支えるスタッフたち、それらを受けて真剣に演技に向き合っ
たキャストたち。彼らのパワーが一体となってスクリーンのこちら側に伝わり
ます。まさに熱い魂に直撃される映画。

それを端的に表すシーンがいくつもあります。劇中で中濱の「やるなら今しか
ない!」という叫びは、熱い思いを持つ若者の痛切な叫びであると同時に、困
難な中で本作の製作を始めた瀬々監督やスタッフの思いでもあるのでしょう。
古田と倉知という2人の若者が、爆弾を炸裂させたのちにお互いの心情をぶつけ
合うシーンも、熱い魂が感じられます。そうした熱さは観客にもきっと伝わる
はず。

青春映画としての魅力にも満ちています。若者たちの光と影の両面がキッチリ
とらえられています。浜辺で女力士たちと中濱たちが踊り狂うシーンの輝きは、
まさに青春の爆発。しかし、そんな彼らが時代に翻弄され、運命を大きく狂わ
され、大きな挫折を味わうことになります。この映画は、息苦しさと不穏さを
漂わせる今の時代を直撃する映画であるのと同時に、時間も空間も越えた普遍
的な青春ドラマでもあるのです。

木竜麻生、東出昌大、寛一郎(佐藤浩市の息子)、韓英恵をはじめ、脇役に至
るまですべての役者が存在感を放っているのもこの映画の魅力。特に、日大相
撲部に指導を受けたという女力士を演じた女優たちの本気度が素晴らしい。

ラストシーンに漂うのは哀感です。だが、そこに清々しさも感じます。力の限
り闘った若者たちの姿が心地よい余韻を残してくれます。

≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
(93点)

2018年6月18日(月)特別試写会(ユーロライブ)にて
                       (ぽち)

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◆2.ぽちのひとりごと
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*『菊とギロチン』のエンドクレジットには支援者として私の名前も出ている
はず。試写で出ていたからたぶん・・・。
                          (ぽち)

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