Cinemaの王国

[Cinemaの王国 vol.1741]~『告白小説、その結末』

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☆   「Cinemaの王国」  vol.1741(2018. 6.29)
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このメールマガジンは、自腹で年間100本以上の映画を観る(ぽち)が、映画館
で実際に観た映画の感想を書くマガジンです。
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【INDEX】
◆1.今週のこの1本!
  ─『告白小説、その結末』─
◆2.ぽちのひとりごと
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◆1.今週のこの1本! ~『告白小説、その結末』~
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●『告白小説、その結末』(D'APRES UNE HISTOIRE VRAIE)
(2017年 フランス・ベルギー・ポーランド)(上映時間1時間40分)
監督:ロマン・ポランスキー
出演:エマニュエル・セニエ、エヴァ・グリーン、ヴァンサン・ペレーズ、ジ
ョゼ・ダヤン、カミーユ・シャムー、ブリジット・ルアン、ドミニク・ピノン、
ノエミ・ルボフスキー
*ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほかにて公開中。
全国順次公開予定
ホームページ https://kokuhaku-shosetsu.jp/
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<ストーリー>
自殺した母親との生活をつづった小説がベストセラーとなったものの、その後
はスランプに陥ってしまった女性作家デルフィーヌ(エマニュエル・セニエ)。
そんな彼女の前に、熱狂的ファンを自称する女性エル(エヴァ・グリーン)が
現れる。2人は親しくなり、ついには共同生活を始めるようになる。だが、デル
フィーヌは、エルが時折見せるヒステリックな一面や不可解な言動に翻弄され
ていく……。

<レビュー>
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女性作家と熱狂的ファンとの危険な関係
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カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作『戦場のピアニスト』をはじめ、数々の
作品を発表してきた名匠ロマン・ポランスキー監督の新作。原作はデルフィー
ヌ・ド・ヴィガンの小説「デルフィーヌの友情」。

最初に人間の顔がアップになります。女性作家デルフィーヌのサイン会。彼女
目線でサインを求めるファンの顔を大写しにした映像です。何やら、ここから
すでに怪しい雰囲気が漂います。同時にデルフィーヌが置かれた不安定な状態
も見えてきます。

彼女は、精神を病んで自殺した母親との生活をつづった小説がベストセラーと
なり、そのことが心にトゲのように刺さっています。それを非難する親族らし
き匿名の人物からの手紙もたびたび届いていました。そして、デルフィーヌは
今はスランプに陥り、次回作が書けずにいます。

そんな不安定な状況の中、彼女の前に一人の女性が現れます。熱狂的ファンを
自称するエル。冒頭のサイン会で出会い、本音で語り合ううちにエルに信頼を
寄せるようになったデルフィーヌは、やがて自分の家で共同生活を始めます。

スティーヴン・キング原作、ロブ・ライナー監督の『ミザリー』をはじめ、人
気作家にファンが接近して次第に狂気を見せ始めるという映画は珍しくありま
せん。だが、そこはさすがにポランスキー監督。パターンはわかっていても、
そんなことに関係なく、怖くて面白い作品に仕上げています。

何よりもうまいのが不穏な空気の生み出し方。先ほど述べた匿名の手紙もそう
ですが、謎に満ちた仕掛けがいくつも用意されています。そうした謎について
明確な真相が明かされることはありません。それがかえって不穏な空気を増幅
させていくのです。

もちろん、その不穏さを直接的に煽るのがエルの立ち居振る舞い。最初はただ
のファンだった彼女が、デルフィーヌと距離を縮めるにつれて何かと彼女に干
渉し、支配しようとします。デルフィーヌを執筆に向かわせるためだとして、
勝手に関係者にメールを送って、しばらく連絡してこないように伝えるなど、
その言動はエスカレートしていきます。

エルを演じるエヴァ・グリーンの演技がすごい。デルフィーヌの前ではいかに
も良い人っぽい笑顔を振りまくのですが、その陰で意味ありげな表情をチラリ
チラリと見せます。それ以外にもヒステリックだったり、不可解な言動でデル
フィーヌを翻弄します。背筋ゾクゾクものの恐い演技です。

ドラマの大きな転換点になるのが、デルフィーヌの骨折。それをきっかけに、
デルフィーヌはエルに誘われて、田舎の別荘で一緒に暮らすことになります。
ただし、デルフィーヌには計画がありました。エルに何やら壮絶な過去がある
らしいと知った彼女は、その話を小説にしようと考えたのです。

そこから先は怖ろしい展開が待っています。そして、ラストの意外なオチ。い
ったいエルは何者だったのか。その狙いは何だったのか。いずれにしても、結
果的にエルがデルフィーヌを再び檜舞台に押し出すというあまりにも皮肉な結
末が、何とも言えない余韻を残します。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆(+1/2★)
(87点)

2018年6月27日(水)ヒューマントラストシネマ有楽町にて。午後1時30分の回
                       (ぽち)

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◆2.ぽちのひとりごと
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*行きがかり上『万引き家族』をもう一度観たのですが、二度観るとまたいろ
いろと見えてくるものがあって……。
                          (ぽち)

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発行周期: 週刊(毎週金曜+不定期の水曜) 最新号:  2018/12/12 部数:  1,013部

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