Cinemaの王国

[Cinemaの王国 vol.1535]~『ブルーに生まれついて』

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☆   「Cinemaの王国」  vol.1535(2016.11.28)
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このメールマガジンは、自腹で年間100本以上の映画を観る(ぽち)が、映画館
で実際に観た映画の感想を書くマガジンです。
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【INDEX】
◆1.今週のこの1本!
  ─『ブルーに生まれついて』─
◆2.ぽちのひとりごと
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◆1.今週のこの1本! ~『ブルーに生まれついて』~
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●『ブルーに生まれついて』(BORN TO BE BLUE)
(2015年 アメリカ・カナダ・イギリス)(上映時間1時間37分)
監督・脚本:ロバート・バドロー
出演:イーサン・ホーク、カーメン・イジョゴ、カラム・キース・レニー、ト
ニー・ナッポ、スティーヴン・マクハティ、ジャネット=レイン・グリーン、
ダン・レット、ケダー・ブラウン、ケヴィン・ハンチャード、トニー・ナルデ
ィ、バーバラ・ママボロ
*Bunkamuraル・シネマ、角川シネマ新宿ほかにて全国公開中
ホームページ http://borntobeblue.jp/
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<ストーリー>
白人トランペット奏者兼歌手のチェット・ベイカ(イーサン・ホーク)は、そ
のルックスのよさもあって1950年代に大人気を獲得する。だが、やがてドラッ
グで身を持ち崩し、表舞台から姿を消す。そんな中、暴力沙汰に巻き込まれて
重傷を負い、トランペッターとして再起不能のピンチに追い込まれる。それで
も女優の恋人ジェーン(カルメン・イジョゴ)に支えられながら、再起を目指
すのだが……。

<レビュー>
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瀬戸際から再起を目指す伝説のトランぺッターの壮絶な生き様
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マイルス・デイヴィスなど黒人ミュージシャンが主流の1950年代のジャズ界で
大人気を獲得した白人トランペット奏者兼歌手のチェット・ベイカーの伝記映
画です。

伝説的なミュージシャンとはいえ、持ち上げて神格化するのでもなく、こき下
ろすのでもなく、ありのままを提示しようとしているのが特徴の映画。特に秀
逸なのが彼の人生の切り取り方です。彼の幼少期はもちろん、人気者になって
いく姿やその後にドラックで転落していくところは、ほとんど登場しません。
時期的に焦点を当てているのは、転落した後の人生。

冒頭近くで描かれるのは、ベイカーの人生を描いた映画の撮影風景。演じるの
はベイカー自身です。そこで彼は相手役の女優ジェーンと親しくなります。し
かし、まもなく暴行を受けて(これもドラッグ絡みらしい)、歯をなくすなど
重傷を負ってしまいます。この状態から必死で復活を目指すベイカーと彼を支
えるジェーンによる、愛と再起のドラマがこの映画の中心です。

彼はなぜドラックに溺れたのか。黒人中心の世界で「白人の期待の星」とされ
たプレッシャー、マイルス・デイヴィスなどとのライバル関係、父親との確執
などいくつかのヒントは見えてきますが、原因が明確に描かれているわけでは
ありません。いや、本当のことなど本人にもわからないのかもしれません。そ
れはそれとして、その破滅的な生き方とは対照的なミュージシャンとしての壮
絶な生き様が、スクリーンに強く刻み込まれていきます。

血だらけになって苦痛にさいなまれながらも、けっしてトランペットを離さな
いベイカー。故郷に戻って給油所で働いたり、場末の店で演奏したりしながら、
何が何んでも再起を果たそうとします。ドラッグの誘惑にも負けません。執念
とか情熱とかいう言葉では表せない、すさまじい姿です。

最初は見る影もなかった彼の演奏ですが、次第に上達していきます。その陰に
は、ジェーンのサポートに加え、元マネージャーの尽力などもあります。まあ、
正直なところ昔のようには吹けないのですが、逆にそれが味になっているとい
うのがリアル。音楽の奥深さを感じさせます。

さて、こうしてついに復活を果たして「めでたし、めでたし」となればいいの
ですが、現実はそうはいきません。ラストに登場する復活のライブシーン。し
かし、ベイカーは公演前にある選択をします。それを見ていて、「バカなやつ
だなぁ」と思いつつも、同時に「彼なら、そうせざるを得ないんだろうな」と
納得もしてしまいます。簡潔に示される彼のその後の人生も含めて、苦みにあ
ふれた切ないラストです。

この映画の最大の見どころは、何といってもベイカー役のイーサン・ホークの
渾身の演技でしょう。常人には理解不能の人物を説得力を持って演じています。
トランペットの勉強もしたそうで、演奏風景も違和感なし。ところどころで披
露する歌声も味があります。彼の演技だけでも観る価値のある映画だと思いま
す。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆(+1/2★)
(87点)

2016年11月26日(土)角川シネマ新宿にて。午後1時30分の回
                            (ぽち)

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◆2.ぽちのひとりごと
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*久々の映画館でした。
                     (ぽち)

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発行周期: 週刊(毎週金曜+不定期の水曜) 最新号:  2019/02/14 部数:  1,010部

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