Cinemaの王国

[Cinemaの王国 vol.1534]~『溺れるナイフ』

★☆★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆★☆
★☆
☆   「Cinemaの王国」  vol.1534(2016.11.15)
★☆
☆★☆             http://cinemaking.movie.coocan.jp/
★☆★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
=======================================================================
このメールマガジンは、自腹で年間100本以上の映画を観る(ぽち)が、映画館
で実際に観た映画の感想を書くマガジンです。
=======================================================================
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
【INDEX】
◆1.今週のこの1本!
  ─『溺れるナイフ』─
◆2.ぽちのひとりごと
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆1.今週のこの1本! ~『溺れるナイフ』~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●『溺れるナイフ』
(2016年 日本)(上映時間1時間51分)
監督:山戸結希
出演:小松菜奈、菅田将暉、重岡大毅、上白石萌音、志磨遼平、斉藤陽一郎、
嶺豪一、伊藤歩夢、堀内正美、市川実和子、ミッキー・カーチス
*TOHOシネマズ新宿ほかにて全国公開中
ホームページ http://gaga.ne.jp/oboreruknife/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
<ストーリー>
東京でモデルとして活躍していた15歳の夏芽(小松菜奈)は、親の事情で海辺
の小さな田舎町・浮雲町に引っ越してくる。ある日、彼女は神様が住むという
入り江で個性的な少年・コウ(菅田将暉)と遭遇する。地元の名家・長谷川家
の跡取り息子で、傍若無人に振る舞うコウに惹かれる夏芽だったが……。

<レビュー>
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
神話的な要素も加わった少女の恋愛と成長のドラマ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ジョージ朝倉の少女マンガを山戸結希監督が映画化しました。早い話が青春恋
愛映画ということになるのでしょうが、それだけではとどまらない映画です。

主人公は15歳の夏芽。東京でモデルをしていた彼女ですが、親が実家の旅館を
継ぐというのでモデルをやめて、浮雲町という田舎の町に引っ越してきます。
ある日、その町の入り江でコウという不思議な少年と出会った夏芽は、彼に惹
かれていきます。

というわけで、夏芽とコウの恋愛ドラマがこの映画の大きな柱。コウは地元の
名家の跡取り息子ですが、傍若無人に振る舞う少年。およそ優等生とは縁遠い
存在です。それでも、こういう男の子に惹かれちゃうんですよねぇ~。女の子
は。

ただし、リアルな恋愛として見ると、なんだかちょっと物足りません。マンガ
の原作を2時間弱にまとめたということもあって、駆け足の展開が多く、2人の
心理を丹念に描いたとは言い難いところがあります。

その一方で、この恋愛を一種のファンタジー的なものとして見ると、俄然輝き
が増してきます。夏芽がコウと最初に会った入江は、神様が住むという立ち入
り禁止の場所。コウ自身もまるで神であるかのような発言をします。

山戸監督は、中上健次の小説でおなじみの和歌山・熊野の風景を効果的に使っ
ています。そこは神話的な雰囲気に満ち満ちた土地柄。それもまた、2人の恋愛
にファンタジー的な空気を色濃く漂わせています。

そんな2人の恋愛を印象深い場面で綴る山戸監督。久々の写真集を出した夏芽と、
それを見るコウとのシーンなど、キラキラ輝くシーンが満載です。

中盤には、熊野に実際にある火祭りが登場します。そして、そこで夏芽とコウ
の関係を変える大きな事件が起きます。それをきっかけに、コウはそれまでの
神的な存在からただの乱暴者になってしまいます。いわば地上に堕ちた神とい
うところでしょうか。

さらに、そんな中で同じ学校の大友という少年が夏芽との距離を縮めます。こ
の2人の恋愛未満、友情以上の関係も、これまた印象的な地面で綴られていきま
す。ツバキの花(真っ赤な色が印象的)で遊ぶ2人、バッティングセンターで夏
芽を励ます大友などなど。

こうして様々なことを経験した夏芽は、やがて自立を決意します。最初は、自
分に自信が持てずにただ親についてきただけの彼女が、コウや大友たちと出会
い、成長を果たしたわけです。

その後、再び描かれる火祭りの夜。そこでの衝撃的な出来事。冷静に考えれば
ツッコミどころ満載の展開ですが、ファンタジーとして見ればこういう展開も
ありでしょう。

ただし、ラストシーンはいただけません。合成映像なのが見え見えのセコいバ
ックを背景に、夏芽とコウがバイクに乗るシーン。この映画にはアイドル映画
的な要素もあるので、あえてそれを強調したのでしょうか。

まあ、それでも神話的な要素も取り込みつつ、少女の恋愛と成長を描いた作品
として良くできています。最近にしては珍しい骨太な青春映画です。

役者では等身大の演技の夏芽役の小松菜奈、こういう役もバッチリのコウ役の
菅田将暉に加え、大友役の重岡大毅、コウや夏芽に憧れる少女を演じた上白石
萌音が素晴らしい演技でした。ミュージシャンの志磨遼平も存在感アリ。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆(+1/2★)
(87点)

2016年11月14日(月)ヒューマントラストシネマ有楽町にて。午後7時15分の回
                            (ぽち)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆2.ぽちのひとりごと
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
*けっこう混雑しているらしい『溺れるナイフ』。ヒューマントラストシネマ
有楽町は穴場かも。
                     (ぽち)

~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~◇~
☆このメールマガジンは
■『まぐまぐ』  http://www.mag2.com/  ID:0000021508
の配信システムを利用して発行しています。
====================================================================
■週刊「Cinemaの王国」  vol.1534(2016.11.15)
●編集発行人:ぽち
●登録・解除はこちらからお願いします。
   http://cinemaking.movie.coocan.jp/mailmaga/moushikomi.html
 (発行者自身による解除、アドレスの変更等は一切行っておりません。ご面
  倒でもホームページまたは上記メルマガサイトからお願いします。)
☆本誌に掲載されている評価、感想等はあくまでも個人のものであり、特定の
団体、個人等を中傷する意図はありません。掲載された内容に起因するトラブ
ルには一切関知いたしません。また、記事の無断転載はお断りします。
●Copyright(c)1999-2016  ぽち
====================================================================

Cinemaの王国

発行周期: 週刊(毎週金曜+不定期の水曜) 最新号:  2019/02/14 部数:  1,008部

ついでに読みたい

Cinemaの王国

発行周期:  週刊(毎週金曜+不定期の水曜) 最新号:  2019/02/14 部数:  1,008部

他のメルマガを読む