Cinemaの王国

[Cinemaの王国 vol.1533]~『この世界の片隅に』

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☆   「Cinemaの王国」  vol.1533(2016.11.14)
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このメールマガジンは、自腹で年間100本以上の映画を観る(ぽち)が、映画館
で実際に観た映画の感想を書くマガジンです。
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【INDEX】
◆1.今週のこの1本!
  ─『この世界の片隅に』─
◆2.ぽちのひとりごと
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◆1.今週のこの1本! ~『この世界の片隅に』~
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●『この世界の片隅に』
(2016年 日本)(上映時間2時間6分)
監督・脚本:片渕須直
声の出演:のん、細谷佳正、尾身美詞、稲葉菜月、牛山茂、新谷真弓、小山剛
志、津田真澄、京田尚子
*テアトル新宿ほかにて全国公開中
ホームページ http://www.konosekai.jp/
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<ストーリー>
昭和19年2月。広島に住む18歳のすず(のん)は、北條周作(細谷佳正)に見
初められ、呉の北條家に嫁入りする。周作とその両親は優しく、すずを温かく
迎える。見知らぬ土地での生活に戸惑いつつも、嫁としての仕事をこなしてい
くすず。やがて周作の姉とその娘・晴美も加わって、賑やかな生活が続く。だ
が、そんなすずたちに戦争の影が忍び寄る……。 

<レビュー>
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戦時下の庶民の暮らしを通して伝わる反戦の思いと人間賛歌
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こうの史代の漫画を『マイマイ新子と千年の魔法』の片渕須直監督が映画化し
ました。

時代は戦前。主人公は広島に住むすずという女の子。ちょっとボーッとした少
女だけれど、絵を描くのが好きな彼女は、父母や兄妹に囲まれてごく「普通の
暮らし」をしています。その日常が生き生きと描かれます。幼なじみの男の子
との初々しい交流などもあります。

やがて18歳になったすずには縁談話が持ち上がり、呉に住む海軍で働く文官の
男・北條周作のもとに嫁ぐことになります。すずは周作のことを知らなかった
のですが、周作は優しい夫で、幼い頃に出会ったすずのことが忘れられずにい
たといいます(実は、その一件が冒頭近くで描かれるファンタジックな展開に
関係しています)。

そんな夫と、優しい夫の両親、そして少しして出戻ってくる夫の姉とその娘と
ともに、これまた「普通の暮らし」をするすず。ここまでは、そんな庶民の暮
らしぶりを生き生きと明るく描き出しています。つつましくも心豊かな日々が
何とも魅力的です。

ところが、そんなすずたちが次第に戦争の影に飲み込まれていきます。戦況が
悪化し、配給物資が減って食糧が足りなくなります。最初はまばらだった米軍
による空襲も、少しずつ激しくなっていきます。それでもこの映画はけっして
暗さばかりを強調するのではなく、明るさを失いません。例えば、すずは港の
絵を描いているところを憲兵に咎められるのですが、そこも見事に笑いに転化
しています。

その一方で、情感漂うシーンもあります。すずが夫の計らいによって、幼なじ
みの水兵と最後の語らいをするシーンなどが心にしみます。

そうした明るさや情感があるからこそ、昭和19~20年の状況が胸に迫ります。
そこではすず自身がとんでもない目にあいます。そして、やがて故郷に落とさ
れる原爆……。

戦後になってもすずの苦難は続きます。しかし、そこもけっして悲惨一辺倒に
は描きません。人生には光も影もあります。その両面をしっかりと描き出して
いきます。そして、最後にはかすかな希望の光も示してくれます。

どことなくノスタルジックで、温かみを感じさせる映像も、この映画の大きな
魅力です。

主演のすずの声を演じているのは、能年玲奈改め「のん」。ボーっとした雰囲
気ながら、健気にまっすぐに明るく生きるすずを、これほど的確に演じられる
キャストはいないでしょう。彼女の声も、この映画の大きな魅力です。

この映画は声高な反戦映画ではありません。しかし、だからこそ強いメッセー
ジが伝わってきます。あの生き生きとしたすずたちの「普通の暮らし」。それ
を奪う戦争の愚かさ。そして、その中でもたくましく生きる庶民の姿。戦争さ
えも凌駕する本当の強さとは、彼らの心の中にこそあるのです。それをキッチ
リと描き出した素晴らしい人間賛歌です。

≪ぽちの満足度≫
★★★★☆(+1/2★)
(96点)

2016年10月26日(水)第29回東京国際映画祭(TOHOシネマズ六本木ヒルズ)に
て午前10時20分より鑑賞
                            (ぽち)

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◆2.ぽちのひとりごと
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*『この世界の片隅に』。本当に素晴らしい映画です。ぜひ!
                     (ぽち)

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発行周期: 週刊(毎週金曜+不定期の水曜) 最新号:  2019/02/22 部数:  1,008部

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