Cinemaの王国

[Cinemaの王国 vol.1532]~『手紙は憶えている』

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☆   「Cinemaの王国」  vol.1532(2016.11. 7)
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このメールマガジンは、自腹で年間100本以上の映画を観る(ぽち)が、映画館
で実際に観た映画の感想を書くマガジンです。
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【INDEX】
◆1.今週のこの1本!
  ─『手紙は憶えている』─
◆2.ぽちのひとりごと
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◆1.今週のこの1本! ~『手紙は憶えている』~
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●『手紙は憶えている』(REMEMBER)
(2015年 カナダ・ドイツ)(上映時間1時間35分)
監督:アトム・エゴヤン
出演:クリストファー・プラマー、ブルーノ・ガンツ、ユルゲン・プロフノウ、
ハインツ・リーフェン、ヘンリー・ツェーニー、ディーン・ノリス、マーティ
ン・ランドー
*TOHOシネマズ シャンテほかにて公開中
ホームページ http://remember.asmik-ace.co.jp/
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<ストーリー>
妻に先立たれ、認知症が進行している90歳の老人ゼヴ(クリストファー・プラ
マー)。ある日、同じ老人ケア施設で暮らし、ともにアウシュビッツ収容所の
生き残りでもあるマックス(マーティン・ランドー)から1通の手紙を託され
る。そこには、互いの家族を殺した収容所の責任者が"ルディ・コランダー"と
いう名前で、今も生きていることが記されていた。その容疑者は4人。ゼヴは
マックスの手紙とかすかな記憶を頼りに、復讐の旅に出るのだが……。

<レビュー>
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ナチスのホロコーストを現在進行形のサスペンスで描く
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ナチスによるホロコーストを素材にした映画です。ナチスを描く映画では、過
去の回想などで惨劇の歴史を刻み込みのが定番です。しかし、この映画はその
手法を封印して、その代わりにサスペンスを切り口にしています。こういう言
い方は不謹慎かもしれませんが、別にナチスをネタにしていなくても、エン
ターティメントとして十分に魅力的な映画です。

主人公は妻を亡くしたばかりの90歳のゼヴ。認知症で妻が亡くなったことさえ、
時々忘れてしまいます。そして彼はユダヤ人で、アウシュビッツ収容所の生き
残り。腕にはそれを示す番号の入れ墨があります。そんな彼に、同じ老人ケア
施設の住人で同じくアウシュビッツの生き残りのマックスという男が、「君は
妻が死んだらやることがあると言っていた」と告げます。そして、それについ
て記した手紙を渡します。

その手紙に書かれていたのは、復讐のための手順。「自分もゼヴも収容所の責
任者によって家族を殺された。その男は、ルディ・コマンダーという偽名を使
って今も生きている。その候補者は4人。彼らに会って正体を確かめ、ホンモノ
を殺してくれ」というのです。ゼヴは手紙の指示に従って、ペンシルヴェニア
からオハイオ、カナダ、そして再びアメリカへと、その4人を次々に訪ねます。

サスペンスとしての緊張感がハンパない映画です。「もしかしたらコイツがホ
ンモノ?」というハラハラの展開が4度もあるのだから当然です。映像や音楽も
その緊張感を煽ります。ゼヴが訪れる様々な土地柄も、ドラマに味わいを加え
ています。

ゼヴが認知症だという設定も、ハラハラ度を高めるのに効果的です。時々、自
分が何の目的で、何をしているのかわからなくなってしまうゼヴ。かろうじて
マックスからの手紙に気づいて、再び復讐の旅に出ます。これも彼の旅をスリ
リングなものにしています。

その一方で、列車の中や病院で出会った少年少女との交流も描かれます。実に
微笑ましいシーンで、スリリングなドラマに緩和をもたらします。それによっ
て、緊迫の場面がますます盛り上がっていくわけです。

やがて最後に訪れた場所で、驚愕の真実が明らかにされます。個人的には、
「もしかしたら」と途中で思ったので、それほどの驚きはありませんでしたが、
それでも最後のゼヴの壮絶な行動には驚かされました。

そして、最後に映される黒幕の姿。復讐は終わっても、爽快感とはほど遠い苦
いラストです。それを通して、ホロコーストの残虐さはもちろん、復讐という
ものについても、あれこれと思考を想起させます。

あくまでも現在進行形で描いたからこそ、ホロコーストが今もなお大きな影響
を引きずっていることが、クッキリと見えてくる映画です。まあ、普通にミス
テリー・サスペンスとして観ても、文句なしに面白い映画ですヨ。さすがに、
幅広い映画を作ってきたアトム・エゴヤンらしい巧みさです。

かつては『サウンド・オブ・ミュージック』のトラップ大佐、そして最近では
『人生はビギナーズ』でオスカーを女周した老優クリストファー・プラマーの
抑制的で奥深い演技が出色です。

≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
(91点)

2016年11月5日(土)TOHOシネマズ シャンテにて。午後3時15分の回
                            (ぽち)

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◆2.ぽちのひとりごと
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*東京国際映画祭が終わったら、19日からは東京フィルメックス映画祭。私は
行けないと思いますが。
http://filmex.net/2016/
                     (ぽち)

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発行周期: 週刊(毎週金曜+不定期の水曜) 最新号:  2019/02/22 部数:  1,008部

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