Cinemaの王国

[Cinemaの王国 vol.1531]~『湯を沸かすほどの熱い愛』

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☆   「Cinemaの王国」  vol.1531(2016.11. 5)
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このメールマガジンは、自腹で年間100本以上の映画を観る(ぽち)が、映画館
で実際に観た映画の感想を書くマガジンです。
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【INDEX】
◆1.今週のこの1本!
  ─『湯を沸かすほどの熱い愛』─
◆2.ぽちのひとりごと
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◆1.今週のこの1本! ~『湯を沸かすほどの熱い愛』~
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●『湯を沸かすほどの熱い愛』
(2016年 日本)(上映時間2時間5分)
監督・脚本:中野量太
出演:宮沢りえ、杉咲花、篠原ゆき子、駿河太郎、伊東蒼、松坂桃李、オダギ
リジョー
*新宿バルト9ほかにて全国公開中
ホームページ http://atsui-ai.com/
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<ストーリー>
夫の一浩(オダギリジョー)が1年前に蒸発したため、家業の銭湯を休業中の妻
の双葉(宮沢りえ)。パン屋のパートで娘・安澄(杉咲花)を育てている。そ
んなある日、突然倒れた双葉は、ガンで余命2か月と宣告される。ショックを受
けつつも、気丈に振る舞う双葉は、家出した夫を探し出して銭湯を再開させ、
学校でイジメに遭っている娘を激励するのだが……。

<レビュー>
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死を前に家族の再建を目指す母のユニークなドラマ
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自主製作映画『チチを撮りに』で注目された中野量太監督の商業映画第1作。
オリジナル作品です。

主人公は"幸の湯"という銭湯を営む幸野双葉という女性。しかし、1年前に夫が
蒸発したため、銭湯は休業中。パン屋にパートに出て、娘の安澄を育てていま
す。しかし、ある時、パート先で双葉は倒れ、ガンで余命2か月と宣告されてし
まいます。

何だか典型的な難病もの&母ものドラマのようですが、実際はかなりユニーク
な内容です。その後のストーリー展開が意表をついています。

宣告を受けて一瞬絶望する双葉ですが、すぐに気丈に振る舞います。まず行方
不明の夫・一浩を探し出して銭湯を再開させます。一浩が家に戻ってきた時に
は、彼の浮気相手の幼い娘・鮎子を連れてきます。母親は蒸発して鮎子は他に
頼る人もいないため、双葉は彼女も引き受けます。そして、学校でいじめに遭
っている娘の安澄に「逃げないで現実に向き合え」と叱咤します。

そんな展開だから、じめじめした感じはありません。もちろん影の部分もあり
ますが、基本は明るく前向きに生きる双葉と家族を、ユーモアを交えながら生
き生きと描きます。安澄が双葉に背中を押されて、ついに立ち上がるシーンで
は、双葉が買ってあげた勝負下着を効果的に使うなど、細かな仕掛けもよく考
えられています。

その一方で、情感漂うシーンもあります。鮎子が母の「誕生日に迎えに来る」
という言葉を信じて、元の家で待っているシーンは涙なしでは見られません。
そんなふうに明るいシーンと、そうでないシーンがバランスよく配されている
のが特徴です。内容はテンコ盛りですが、そんなに窮屈な感じはしません。

中盤になると、さらに意外な展開が待っています。なんと双葉と安澄、鮎子に
よるロードムービーです。車で旅に出た3人は、そこでヒッチハイク中の青年と
出会い交流します。そして、双葉は安澄とある女性とを出合わせます。それこ
そが、この旅の真の目的だったのです。

さすがに終盤は双葉の体を病魔が襲い、彼女の苦境が描かれます。また、彼女
自身の実母とのエピソードも登場します。このあたりは、かなり涙腺を刺激す
る展開ですが、悲壮感はあまりありません。なぜなら、そこに至るまでに双葉
が目いっぱい頑張っている姿を見ているから。家族の抱えた問題に決着をつけ、
自分なしでも暮らしていけるようにお膳立てをする力強い姿が、ある種の清々
しさに結びついています。

その後に用意された印象的なシーン。優柔不断でいい加減だった一浩の提案で、
家族たちが双葉にあるものを見せます。

そして、ラストにはこの映画で最大の意外な展開が待っています。煙突から流
れる真っ赤な煙が心にしみて、温かな気持ちにさせてくれます。

まあ正直なところラストの出来事をはじめとして、現実離れした展開が多いの
は事実です。しかし、この映画は、まるで銭湯のように心をポカポカさせてく
れるファンタジーとしてとらえるべきではないでしょうか。そういう視点で観
れば、とても良くできた映画だと思いました。

幅のある人間味にあふれた演技を見せた宮沢りえをはじめ、杉咲花、篠原ゆき
子、伊東蒼(上手な子役!)、松坂桃李、オダギリジョーなど、すべてのキャ
ストが味のある演技を見せています。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆(+1/2★)
(89点)

2016年11月4日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町にて。午後1時45分の回
                            (ぽち)

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◆2.ぽちのひとりごと
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*東京国際映画祭では、時間とお金がないから、マクドナルドにばかり行って
いたのだ。六本木ヒルズには、あんまりその手の飲食店がないのです。
                     (ぽち)

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発行周期: 週刊(毎週金曜+不定期の水曜) 最新号:  2019/02/14 部数:  1,009部

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