Cinemaの王国

[Cinemaの王国 vol.178]

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 =週刊「Cinemaの王国」= vol.178(2003. 5.23)

                 http://homepage1.nifty.com/pochie/
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【INDEX】
■1.今週のこの1本!
  ―『めぐりあう時間たち』―
■2.今週のもう1本!
  ―『TAXi3』
■3.今週のニュースあれこれ
■4.メールちょうだいッ!!
■5.ぽちのひとりごと
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■1.今週のこの1本!■

もう5月だし、そろそろ今年のナンバー1を争うような映画がガツーンと出て
こんかい! と思っていたら、ついに出てきましたヨ〜。ニコール・キッドマ
ンのオスカー主演女優賞獲得でも話題の『めぐりあう時間たち』。
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●『めぐりあう時間たち』(THE HOURS)
(2002年 アメリカ)(上映時間1時間55分)
監督:スティーヴン・ダルドリー
出演:ニコール・キッドマン、ジュリアン・ムーア、メリル・ストリープ、ス
ティーヴン・ディレイン、ジョン・C・ライリー、トニ・コレット
*丸の内ピカデリー2ほか松竹・東急系にて全国公開中
ホームページ http://www.jikantachi.com/
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<ストーリー>
1923年イギリス・ロンドン郊外、作家ヴァージニア・ウルフ(ニコール・キッ
ドマン)は傑作「ダロウェイ夫人」を書き上げようとしていた。1951年ロサン
ジェルス、ベッドで「ダロウェイ夫人」を手にしている妊娠中の主婦ローラ・
ブラウン(ジュリアン・ムーア)。2001年ニューヨーク、ダロウェイ夫人とあ
だ名される編集者クラリッサ・ヴォーン(メリル・ストリープ)が、親しい友
人の作家リチャードのために祝賀パーティーを企画していた。3つの時代の3
人の女性たちのそれぞれの1日が始まった……。

<レビュー>
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思わず唸るこの巧さ、そして深さ。ご飯を抜いても観に行け〜〜!
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巧いです! 深みがあります! ジンワリと心に染み込みます!
これだけの人間ドラマは、そうそう観られるものじゃありません。たとえ食事
を抜いても、仕事や学校、家事をサボってでも観に行ってくださいッ!(それ
でトラブっても責任は負いませんけど(笑)。)

原作はピュリッツァー賞受賞のマイケル・カニンガムのベストセラー小説。
時代も場所も異なった3人の女性の物語が、同時進行で描かれます。最初に紹
介されるこの3人の時代をキッチリと把握しておきましょう。でないと、ワケ
がわかんなくなっちゃいます。

まず、1923年のイギリス・ロンドン郊外。作家ヴァージニア・ウルフは傑作「
ダロウェイ夫人」を書き上げようとしていた。だが、彼女は精神を病んでおり
、夫とともに退屈な田舎の生活を強いられていた。

続いて、1951年のロサンジェルス。ベッドで「ダロウェイ夫人」を手にしてい
る妊娠中の主婦ローラ・ブラウン。夫と子供に恵まれ、一見幸福な家庭のよう
だが、心にポッカリと穴が開いている。

さらに、2001年のニューヨーク。ダロウェイ夫人とあだ名される編集者クラリ
ッサ・ヴォーンは、エイズに冒された作家リチャードのために祝賀パーティー
の準備をする。胸の奥に人生への疑問を抱きながら……。

映画は、時代も場所も違う3人の女性の1日をフラッシュバックもほとんど使
わずに、真正面から丹念に描いていきます。これって、かなり難しいことなん
ですよねぇ〜。3つのエピソードのバランスも、とても良いです。

ここに登場する3人の女性たちは、みんな心に孤独や失意、悩み、苦しみを抱
えています。しかも、表面的な幸福に身を委ね、真実から目をそむけている。
3人とも同性愛的な傾向があり、それぞれの時代との間で軋轢を感じているこ
とも、ドラマの大きな背景になっています。 (~ヘ~;)

そうした彼女たちの心の内をさり気ない動作や、文学作品のように練りこまれ
たセリフから、少しずつすくい取っていく。
この描写がねぇ、とにかく絶妙なんですよ。なんていうか、心の中に染み透っ
てくる感じなんですねぇ。ジワーっと。

最初はバラバラのように見えていた3つの物語が、やがて1本の糸に紡がれて
いくところも見事。それによって、ある種のサスペンス的魅力も味わえます。

デイヴィッド・ヘアの脚本、『リトル・ダンサー』のスティーヴン・ダルドリ
ー監督の演出(『リトル・ダンサー』同様、今回も子供を巧く使っているのが
おもしろい)、そして現代音楽の大家フィリップ・グラスの音楽が三位一体と
なって、素晴らしいハーモニーを生み出しています。 (*^。^*)

そして、なんといっても3人の女優たちの名演を忘れてはいけません。オスカ
ー主演女優賞を獲得したニコール・キッドマンだけでなく(老け顔がナイス!
)、ジュリアン・ムーア、メリル・ストリープも、繊細な演技で心の内を的確
に表現。特にジュリアン・ムーアがこんなに演技が巧いなんて、思ってもみま
せんでしたねぇ〜。いやぁ〜、お見それしました。

エイズの作家を演じたエド・ハリス、ジュリアン・ムーアの夫を演じたジョン
・C・ライリー、メリル・ストリープの娘を演じたクレア・デーンズなど、脇
役陣の演技からも目が離せません。

さて、3人の女性たちの1日は、特別な1日であると同時にごく普通の1日で
もある。日常と非日常の微妙な距離感を感じさせる時間の中で、彼女たちはそ
れまでの自分から一歩踏み出していきます。だが、それはけっして単純な幸福
につながるものではない……。この余韻を残したラストもいいですねぇ〜。

こうして3人の女性たちの生き方を通して、「人生って何なの?」「本当の幸
せってどこにあるんだろう?」「人間の生と死とは?」てな、けっこう重たい
テーマが伝わってきました。ただし、それは押し付けがましく迫ってくるので
はなく、ごく自然に伝わってくるもの。
だから、受け止め方は人それぞれ違うでしょうし、感じることも100人いれば1
00人とも違うはず。そういう意味でも、とても奥深い映画だと思います。

時空を越えた3つの魂の共鳴によって、観客の心を静かに揺り動かす美しく、
哀しいメロディー。それを一度ならず、二度、三度と感じたいと思ってしまっ
たボクなのでした。
値段をつけるなら2万円ぐらい払ってもいいゾ!(そんなお金ないけどサ)

《ぽちのオススメ度》
★★★★☆(+1/2★)【最高にオススメ。見逃すと後悔します】
(女性の生き方を描いているとはいえ、男性にもオススメ。ただし、世間的に
は評価が真っ二つに分かれているようなので、落胆も覚悟で観に行きましょう
ね。こんな問題作を絶賛するなんて、どうせボクはヒネクレ者さ。フン(と、
ちょっとスネてみました。))
                             <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2003年5月18日(日)シネマ・ロサにて。午後1時30分の回。
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■2.今週のもう1本!■

観客動員では『めぐりあう時間たち』をはるかにしのいだ『TAXi3』。人
気シリーズ最新作です。
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●『TAXi3』(TAXi3)
(2003年 フランス)(上映時間1時間27分)
監督:ジェラール・クラヴジック
出演:サミー・ナセリ、フレデリック・ディーファンタル、ベルナール・ファ
ルシー、バイ・リン、エマ・シェーベルイ、マリオン・コティヤール
*丸の内ルーブルほか松竹・東急系にて全国公開中
ホームページ http://taxi3.jp/
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<ストーリー>
謎の銀行強盗集団「クリスマス強盗」を8カ月も捕り逃がし続けているマルセ
イユ警察。刑事エミリアン(フレデリック・ディーファンタル)は恋人ペトラ
そっちのけで事件を追いかけていた。そんなある日、美人ジャーナリスト・キ
ウが警察に取材を申し込んでくる。ジベール署長が二つ返事で引き受けると、
突然犯行予告状が。署で再会したダニエル(サミー・ナセリ)とエミリアンは
、敵のアジトを突き止めるのだが……。

<レビュー>
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ハリウッドの侵攻を食い止めたリュック・ベッソンの高笑いが聞こえる!?
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だいぶ前に、一度だけパリに行ったことがある。その街中ではド派手な映画の
看板が目立っていた。いえいえ、フランス映画ではありません。それはハリウ
ッド製のエンターティメント映画の看板だった。

リュック・ベッソン監督(元監督?)は、そんなハリウッドのフランス侵攻を
食い止めた功労者の1人だと思う。それもハリウッドではつくれない芸術映画
やアバンギャルドな作品ではなく、ハリウッド流のエンターティメント映画を
自らつくることで、真正面から対抗したのだ。 o(・_・)○☆

そんなリュック・ベッソンが製作・脚本に携わった人気シリーズの第三弾がこ
の映画。
そのオープニングのシーンを観て、ボクはブッ飛んでしまいました。なんたっ
て、あのハリウッドの大物俳優シ××ス×―・ス××ロ×ン(スンマセン。一
応カメオ出演で内緒みたいなので)が、意外な役でご登場。もちろんフランス
語のセリフで。

この本筋とは全く関係ないシーン。なんだかベッソンの高笑いが聞こえてきそ
うです。
「ハハハ……。どうだ、ついにハリウッドの大物俳優まで出演させたぞ。俺は
ハリウッドに完全に勝利したのだぁ〜〜〜!!!」 (^o^)/
てなことは言わないでしょうが、とにかくベッソン流エンターティメント・ワ
ールドの1つの節目の映画であることは間違いない。

暴走タクシードライバーのダニエルと、マヌケな刑事エミリアンの迷コンビが
、爆笑の犯人追跡劇を展開するというパターンは前2作と同じ。
3作目ともなると、たいていはパワーダウンするものですが、まったく勢いは
衰えていません。

改造車による迫力満点のカーアクションは、街中のみならず雪山でも大サクレ
ツ!!
ダニエルと、エミリアンの大人になりきれない2人のおバカぶりも健在なら、
ジベール署長のおマヌケ度もパワーアップ。中国系謎の美女にメロメロになる
女好き度も増強中です。
さらに今回は犯人との対決だけでなく、ダニエルとエミリアン、それぞれの恋
人との関係も描かれて、スッタモンダの大騒ぎ。 (^。^/)

もー、これを笑わずに観ることなどできようか。(いや、できない。反語ね)
とにかくスサマジイ映画です。エンターティメントとしてのお楽しみ度はかな
り高い。

ただし、まあ、リュック・ベッソンが凝ったシナリオなど書けるはずがないの
で、今回もごく単純なストーリー展開。先の展開が全部読めるのはしょうがな
いにしても、肝心のクリスマス強盗団のリーダーが最初からミエミエなのはど
ーなのよ??? (・_・?)
全体があまりにもトントン拍子に進みすぎるのも、どうにも物足りない。
それに、さすがに3作目ともなると、最初にあった驚きや新鮮さは色あせます
ね。(その分、安心して楽しめるのは確かですが。)

てことで、フラッと映画館に入って、な〜んも考えずに気軽に楽しむのには最
適な映画。時間も1時間半弱とお手頃ですぜ、奥さん。

でも、そろそろ打ち止めにしたら? このシリーズ。ボロボロになる前に、勢
いのある今のうちにやめといた方がいいと思うんですけれど……。
まあ、なんたってリュック・ベッソンですからねぇ、客が入るうちはずーっと
続けそうな気もしますが。まさか「寅さんシリーズ」を抜いてギネス入りを狙
っていたりして(笑)。

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆【普通にオススメ。観ても損はナシ】
(これぞエンターティメント! 適度なアクションと適度な笑いが揃った映画
。このテの映画が好きな方なら充分に満足できるでしょう。)
                           <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2003年5月21日(水)池袋東急にて。午後4時40分の回。
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■3.今週のニュースあれこれ■

◎『TAXi3』のサミー・ナセリが2000年10月のカー・チェイス事件で免停に。
◎『旅路』(1958年)のウェンデイ・ヒラーが死去。
◎ブルック・シールズが女児出産。
◎ハル・ベリーが撮影中に右腕骨折。
◎『マトリックス・リローデッド』全米公開。初日&オープニング記録樹立!
◎ニコールとペネロペがカンヌでニアミス。
◎ジェニファー・ロペスが契約違反で訴えられる。

てな感じの今週。
『マトリックス・リローデッド』はすごいですなぁ。日本でもかなり人気を集
めそう。それはそうと毎度お騒がせのジェニロペ。今度は、『ウェディング・
プランナー』のアダム・シャンクマン監督に訴えられました。一緒に「カルメ
ン」の映画化企画を温めていたのに、ジェニロペが無断でユニバーサル・ピク
チャーズに持ち込んだとか。真相はともかく、よく話題になる人ですねぇ。
〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜

■4.メールちょうだいッ!!■

「Cinemaの王国」は皆さんからのメールを活力に発行を続けておりまッす。

◆今週はメールの紹介はお休みです。

メールをくださったみなさん、ありがとうございました。 m(._.)m
HPにメッセージをくださったみなさんも、ありがとうございました。

みなさんも「Cinemaの王国」へのメッセージや「こんな作品を取り上げて欲し
い」といったリクエスト、自分が観た映画の感想、映画に関する疑問・質問な
ど、気軽に下記までメールをくださいネ。できれば名前(ハンドルネーム可)
を本文中に明記してください。(メールは誌面で紹介する場合もあります。載
せて欲しくない方は、その旨を明記してください。)
・メールはこちらまで fwkg4052@mb.infoweb.ne.jp
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■5.ぽちのひとりごと■

*ル・シネマで上映中のチェン・カイコー監督の『北京ヴァイオリン』を前か
ら観たいと思っているのですが、なかなか観にいけませ〜ん。(T^T)
そういえば同じところでやっている『春の惑い』も観たいし、シネ・アミュー
ズでやっている『ロスト・イン・ラ・マンチャ』も観たいし、いっそ渋谷に住
もうかしら。駅の通路か公園ぐらいにしか住めそうにないけれど。(笑)

*最近、取材で、元気でカッコいい50代のオヤジたち(失礼!)に会うことが
多く、圧倒されております。ボクもいずれあんなふうになれたらなぁ、とは思
うものの、まあ無理だよな。
                           (ぽち)
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■週刊「Cinemaの王国」  vol.178  2003. 5.23
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発行周期: 週刊(毎週金曜+不定期の水曜) 最新号:  2019/03/13 部数:  1,005部

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