紳也特急

紳也特急 vol,215

カテゴリー: 2017年07月01日
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 全国で年間200回以上の講演、HIV/AIDSや泌尿器科の診療、HPからの相談を
        精力的に行う岩室紳也医師の思いを込めたメールニュース!

性やエイズ教育にとどまらない社会が直面する課題を
                                         専門家の立場から鋭く解説。
                    Shinya Express (毎月1日発行)

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~今月のテーマ『「答え」か「問い」か~』

●『講演の感想』
○『「答え」を求める時代』
●『宗教は「答え」ではない』
○『一人で「答え」を、複数で「問い」を』
●『目から入る情報は「答え」?』
○『会話は「問い」』

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●『講演の感想』
 最近の少女マンガでは、必ずと言っていいほどSEXについて絵描かれていま
す。それについては良いことだと思いますか。また、本課何かで読んだので
すが、AVや二次元の性、ポルノなどを法で取り締まると性犯罪率が上がると
いうのは本当ですか。(高2女子)
 こういうのは、極端に言えば1人で聞きたいと思いました。周りの友人が気
になって(そんな私もクソですけど)肩身が狭かったです。講演が悪いとい
うわけじゃないです!!ホントです!!すみません。ものすごく個人的な意
見を書いて。(高2女子)
 去年もこの講演をきいたけど、忘れていることが多くあったがいろいろ思
い出すことができた。チャンピオンくんも健在で安心しました。去年のイン
パクトが強すぎて今回は少し話に対する意識が薄らいでいましたが、去年と
はまた違った部分をよく考えて聞くことができました。(高2男子)
 SNSなどのツールはただの言語伝達サービスであり、コミュニケーションを
1人だけで撮るものではないとわかりました。愚痴を言うときは1人だけで言
うのではなく、2人以上で共有し合うものだとわかりました。(高2男子)
 今回の講演を聞いて自殺の話が一番印象に残りました。自殺したというニュ
ースは報道してはいけないというところに、とても驚きました。普段ニュー
スは気にしないで見ていますが、他人事ではないなと思いました。(高1男子)
 人は経験に学ぶ。経験していないことは他人ごと
 「わからない」と言う=「考えてない」
 耳から入った情報は想像力を育み、記憶に残る
 ラジオを聴いている人は成績が上がる
 SNSはコミュニケーションではない
 コミュニケーションは生身で行うもの
 つらい時は誰かに愚痴るといい
 自立は依存先を増やすこと
 希望は絶望を分かち合うこと
 愛の反対は無関心
 20人~50人に1人はゲイ
 安全日も危険日もない
 月経周期で妊娠のしやすい日は図れない
 ダイエットとトレーニングのし過ぎで生理が止まる
 マスを書くときは1人でAVを見ない。二次元だけではすませない。手を使う
 エイズはサルからヒトに感染した
 エイズはセックスによってヒトからヒトに感染する
 エイズはコンドームを付ければ防げる
 輸血、入れ墨、薬物でもエイズになる(高1女子)
 
 講演の受け止め方はいろいろですね。岩室紳也の講演内容のポイントを細か
くリストアップしてくれたのを見て、ふと疑問に思ったことがありました。確
かにこの生徒さんは岩室紳也の話の一つ一つを丁寧に聞き取ってくれています。
個人的には自分の講演で言い忘れていないことがあるかを確認する上で参考に
なるリストでした。しかし、岩室紳也の話をどう受け止めたかが一言も書かれ
ていなかったことに違和感を覚えてしまいました。そんなことを考えていた時
にAIDS文化フォーラム in 佐賀の宗教とAIDSのトークをしながら、宗教は「答
え」か「問い」か、という話になったので、今月のテーマを「答え」か「問い」
か、としました。

『「答え」か「問い」か~』

○『「答え」を求める時代』
 「〇〇でしたが妊娠していますか」。「〇〇の症状ですが病気ですか」。
 このような相談メールが後を絶ちません。相談者にしてみれば「妊娠してい
ませんよ」や「病気じゃないですよ」と言って欲しいのでしょうが、状況だけ
で「絶対大丈夫」と言えるはずがありません。講演の感想を読ませてもらって
いても、自分自身がどう受け止めたかについての感想はあるものの、「何故そ
う受け止めたのか」や「以前と違った受け止め方をどうしてするようになった
のか」といった自分自身の思いの変化に対する突っ込みがありません。もちろ
ん文書化していないだけで、実際には考えているのかもしれませんが。

●『宗教は「答え」ではない』
 各地のAIDS文化フォーラムで「宗教とエイズ」のトークをさせていただいて
いますが、今年の佐賀でのトークを通して司会進行をしている岩室紳也の姿勢
が明確になりました。いろんな場面で司会をさせていただいていますが、よく
考えてみると自分の司会のスタンスは「答え」を求める姿勢とともに、「問い」
を投げかける姿勢の繰り返しでした。
 岩室紳也もそうですが、人は「答え」を求めがちです。しかし、人間の生き
方に正解はありません。「宗教とエイズ」ではよく、「キリスト教ではどう考
えるのですか」とか、「仏教ではどう考えるのですか」と、宗教を正しく理解
するための突っ込みをするのですが、実は宗教家の方々からはなかなか「答え」
が出てきませんでした。今回のトークで実は宗教は「答え」を教えるものでは
なく、人間の生き方に対する「問い」かけになっているのだと知り、納得でし
た。

○『一人で「答え」を、複数で「問い」を』
 一人で何かを考えている時、皆さんの思考回路はどのようになっているでしょ
うか。「答え」を求め続けているのか、それとも自分の中で「問い」が繰り返
されているのか、どちらでしょうか。一方で複数の人と話をしていると、そこ
では自ずと相手の言動に対する「問い」が生まれています。
 時と場合によるでしょうが、自分の中で「問い」が連続的に起こっている人、
自問自答を繰り返している人が減っているように思いませんか。では、なぜそ
のようになってきたのでしょうか。

●『目から入る情報は「答え」?』
 精神科医の北山修先生は「目から入る情報はわかったような気にさせる。耳
から入る情報は想像力を育み記憶に残る」と教えてくれています。PowerPoint
を使った講演だと多くの情報を盛り込めますので、聞いている方も何となくわ
かったような、「答え」を得たような気になるのですが、記憶に残りません。
ところがマイク一本の講演やトークを聞いていると「なぜこのような発言をす
るのだろうか」といった「問い」が自然に芽生え、自分の中で様々な連想が生
まれます。そして気が付けば自問自答、連想の連続でその思いが記憶として残っ
ていきます。

○『会話は「問い」』
 「SNSはコミュニケーションではなく、情報伝達ツールだ」と言い切っていま
す。確かにSNSの向こう側には相手が、時には多数の相手がいますが、「どうし
てこんなことを書き込むの?」といった問いかけは少なく、自分勝手の、自分
なりに「答え」と思った解釈でのやり取りになっています。一方で相手の表情
が見える会話などでは、表情、声のトーンといった様々なツールが加味されて
いるため、そこには「問い」が生まれます。すなわち、コミュニケーションと
は「問い」が発生し得る状況を言うのではないでしょうか。
 もちろんSNSで「どうしてそう思うの?」と突っ込み、ちゃんとコミュニケー
ションツールとして駆使している人もいます。一方で、そもそも「問い」とど
う向き合ったらいいかがわからない人は、日常的な会話でさえも「問い」かけ
を「答え」の押し付けに感じ、自分の中で辛さを募らせ、いじめと感じたり、
引きこもりになったりするのではないでしょうか。相手が言っていることを
「答え」と受け止め、鵜呑みにすることを徹底している日本の社会環境に問題
があるのでしょうが、さて、どこから手を付けたものか。自分自身に「問い」
かけ続け、考え続けたいと思います。

 
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☆岩室先生宛の質問も t.watanabe49@gmail.com 受け付けています。 
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発行周期: 月刊 最新号:  2018/12/01 部数:  828部

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