本当に面白い映画はどれだ! 映画瓦版・今週の目次

今週は『茜色クラリネット』を紹介します!

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◇今週の映画瓦版(無料版) 2014/10/27

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▽11月1日(土)公開予定 渋谷ユーロスペース
(2週間限定モーニングショー)

『茜色クラリネット』

あなたは「大人病」にかかってませんか?

 茜は北海道コトニに住む中学2年生。親にも内緒でクラリネットを買った
茜は、練習のため親友の夏輝が店番をする古本屋に駆け込む。だが彼女がい
ま熱中しているのは、他人の夢の中に入ること。いつの間にか茜と夏輝は、
誰かの夢の中に入っている。「ここなら目が覚めるまで思う存分クラリネッ
トの練習ができる」と喜ぶ茜だが、ふたりはそこで「助けて!」という女の
子の声を聞いたのだ。それは小学6年生の時事故で昏睡状態になり、今も目
覚めない友人・二ノ宮藍のものだった。久しぶりに藍を病院に見舞うふたり
だが、彼女は今もまだ眠ったままだ。再び夢の中に入ったふたりは、そこで
奇妙な町の様子を見る。町の大人たちの一部が、子供の姿になっているのだ。
目覚めたふたりに、新聞部の大西が「それは大人病だ」と言う。これは夢だ
けの話ではない。現実の危機が迫っているのだ。大人病の原因には、町のマ
スコットキャラクター「トニ子」が深く関わっていた。

 監督は高校1年生(当時)の坂本優乃。中学時代に札幌の映画館シアター
キノが主催する「子ども映画制作ワークショップ」に参加していた彼女が、
ワークショップが製作する初の長編映画の監督に抜擢されて、半年がかりで
撮り上げた初監督作品だという。形の上では「高校生が監督した自主製作映
画」だが、子供たちとワークショップの指導をしていたプロの映画スタッフ
や俳優たちが協力し合い、プロが作る劇場用長編映画と遜色のない仕上がり
の作品になっている。映画は札幌市西部の琴似地区で撮影され、地元の人た
ちも映画作りに積極的に参加していたことがうかがえる。まさにご当地映画
だ。しかし映画に登場するコトニは、現実の琴似とは少し違うパラレルワー
ルド。琴似は札幌市西区にあるが、映画の中で独立したコトニ区になってい
る。トニ子も映画オリジナルのキャラクターだ。これが良くできていて、僕
は映画の途中まで実在するご当地キャラだと思っていた。

 中学生役の俳優たちはオーディションで選ばれた、いわば素人たちばかり。
それを実力のある大人の出演者たちが支えるようにして、独特のファンタジ
ー世界を作り上げている。「夢の中に入る」というのがこの映画のひとつの
ポイントだと思うが、それを「今はもう夢の中だよ」という一言で実現させ
てしまう映画的飛躍の素晴らしさ。主人公がトニ子と向き合うと、次の瞬間
には彼女自身が大人病にかかっているのも、回りくどい説明なしにズバリと
核心に入っていくところがいいと思う。

 「大人病」というのは「中二病」のパロディなのだろう。大人がいつまで
も子供っぽい屁理屈をこね続けるのが中二病で、子どもが一足飛びにひねこ
びた大人の分別を語り始めるのが大人病だ。大人病になった子どもは夢を忘
れ、努力や情熱、友情や愛などの目に見えない価値を冷笑するようになる。
『茜色クラリネット』はファンタジー映画だが、そのすべてが荒唐無稽とは
言えなそうだ。

映画美学校試写室にて
配給:シアターキノ 配給協力・宣伝:太秦
2014年|1時間21分|日本|カラー|DCP
公式HP: http://k-yumecinema.com
IMDb:

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◇編集後記

 有料メルマガを廃刊にして少し身軽になりました。来週からはこの無料メ
ルマガも少し手を入れて、新しい体裁にリニューアルします。

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○発行者について

服部弘一郎(はっとりこういちろう)

 1966年8月3日生まれ。東京都出身。血液型はB型。専門学校桑沢デザイ
ン研究所を卒業後、グラフィックデザイナーやコピーライターを経て、1997
年から映画批評家として活動。95年頃に映画評のホームページ「映画瓦版」
を開設。著書に「シネマの宗教美学」など。

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  編集・発行:服部弘一郎(映画批評家)
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