本当に面白い映画はどれだ! 映画瓦版・今週の目次

今週は『レッド・ファミリー』を紹介します!

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◇今週の映画瓦版(無料版) 2014/09/29

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▽10月4日(土)公開 新宿武蔵野館

レッド・ファミリー
2013/10/22 TOHOシネマズ六本木ヒルズ(Artスクリーン)

仲の良い3世代同居家族は北朝鮮のスパイだった。
製作・脚本は奇才キム・ギドク。

 南北朝鮮の境界線を眼下に見下ろす景勝地で、一組の家族が休日を過ごし
ている。記念撮影に夢中になっている夫婦を見て「ここは撮影禁止なんです
よ」と注意する食堂の店員に、「まあまあ記念ですから」と苦笑いする夫婦
の父親。仲の良い夫婦と父親、そして高校生の娘。微笑ましい家族だんらん
の風景だ。しかし家に帰ると彼らの様子は一変する。じつは彼らは家族を偽
装した北朝鮮のスパイ。家に帰ればリーダー役の妻(に扮した女)による、
厳しいダメ出しが待っているのだ……。

 キム・ギドク製作・脚本による、南北分断をテーマとしたコメディ。監督
のイ・ジュヒョンはこれがデビュー作で、ところどころにギクシャクしたと
ころもあるが、ストーリーの面白さがそれを補って余りある。外向きには仲
の良い家族を演じつつ、家の中に入れば他人同士になる北朝鮮スパイの疑似
家族と、トラブル続きで口喧嘩が絶えず、崩壊寸前になっている隣家の家族
を対比させているのがこの映画のアイデアだろう。

 映画は北朝鮮スパイの過酷な日常をコミカルに描いていくが、やがて浮か
び上がってくるのは、このスパイたちが故郷の家族を当局の人質に取られて
いるという残酷な事実だ。家族の生活を守るため、家族の命を救うため、彼
らは命がけで非人間的な任務に就いている。北朝鮮当局に対する忠誠心がな
いわけではないが、それは任務を正当化するための口実になっている。家族
のためにたったひとりで韓国に潜入し、赤の他人である同僚たちと生活を共
にしながら、諜報や暗殺の任務に携わるスパイたち。時には何の罪もない人
の命を奪う仕事を、家族のために正当化できるだろうか。身内の命を守るた
めなら、それ以外の人の命を奪っても許されるのだろうか。決してそんなこ
とはあるまい。彼らはその不合理を正当化するために、北朝鮮当局への忠誠
心を持ち出すのだ。

 話が面白いので全体に面白く観られるのだが、脚本の構成や演出の切れ味
が鈍いと感じられるところも多い。主人公たちは高度な訓練を受けた秘密諜
報員で、格闘技などにも長けているという設定。しかしせっかくの格闘技術
を披露する場面が、映画の中盤以降になってやっと少しだけ出てくるという
のはもったいない。同じような格闘シーンは、映画の序盤にこそあるべきだ
ったと思う。こうしたスーパーマンぶりを映画の最初にしっかり見せておく
と、北朝鮮当局の監視におどおどびくびくしている暮らしとの落差が出たは
ずだ。彼らが二重三重に縛られている様子が、観客にもしっかり伝わったは
ずなのだ。

 キム・ギドク本人の監督作よりも毒がないという見方もあるだろうが、映
画終盤で主人公たち疑似一家を追い込んでいく様子は結構エグイ。ただこれ
も監督の演出がわりとアッサリしているのが残念だ。身動きの取れなくなっ
たスパイたちの末路を、彼らが最後の最後に見せる「家族」の姿を、もっと
ドラマチックに描いてほしかった。

(英題:Red Family)

第26回東京国際映画祭 コンペティション
配給:ギャガ
2013年|1時間39分|韓国|カラー
公式HP: http://redfamily.gaga.ne.jp
IMDb: http://www.imdb.com/title/tt3254646/

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◇編集後記

 今週は昨年の東京国際映画祭で観た映画を紹介しました。今年の東京国際
映画祭は10月23日からです。

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○発行者について

服部弘一郎(はっとりこういちろう)

 1966年8月3日生まれ。東京都出身。血液型はB型。専門学校桑沢デザイ
ン研究所を卒業後、グラフィックデザイナーやコピーライターを経て、1997
年から映画批評家として活動。95年頃に映画評のホームページ「映画瓦版」
を開設。著書に「シネマの宗教美学」など。

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