宮沢賢治 Kenji Review

宮沢賢治 Kenji Review 1007


カテゴリー: 2018年06月09日
Kenji Review 1007
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--宮沢賢治---Kenji-Review-----------------------------------
-----------------------------------第1007号--2018.06.09-----
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「春と修羅第三集(5)」「〔かくまでに〕」

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-〔話題〕---------------------------------------------------
「饗宴」「〔濃い雲が二きれ〕」「はるかな作業」
------------------------------------------------------------

 今回は1926年9月3~10日の三篇です。賢治は相変わらず農作
業に精を出していたようです。

 「饗宴」は村の寄り合いの風景で、

みんなは地主や賦役に出ない人たちから
集めた酒を飲んでゐる

 となっています。共同作業の日がったのでしょう。賢治は酒を出
す側ではなく、呑む側にいたことがわかります。

 酒を呑まない賢治には苦痛だったようですが、そこで饗宴に出席
している少年を見かけたという詩です。

 村人たちに感ずる違和感が切ないです。

 次の「〔濃い雲が二きれ〕」は短い詩ですが、

(雷沢帰妹の三だとさ!)

という詩句があります。賢治も易をやっていたのですね。たぶん簡
易な方法で、自分で占ったのだと思います。

 占う対象は当然「羅須地人協会」の活動でしょう。そこで出た卦
が「雷沢帰妹の三」だったのです。

 易の六十四卦は八卦を二段に重ねたものなので、上に「雷」、下
に「沢」の卦があり、「三」というのは下から三番目の爻のことで
す。

 沢の一番上の「陰爻」で、すぐ上の雷の一番下の「陽爻」に行く
手を阻まれている状態です。

 そこで「往けば凶」であり、戻るべしというのが占いの結果です。

 賢治と占いというと意外な感じですが、教養人であった賢治なら、
中国古典の精華である易経にも通じていたということなのでしょう。
このあたり、今の人間とは違うのです。

 今回最後の「はるかな作業」は推敲前には「風と合唱」という題
でした。みんなで集まってコーラスの練習をするという場面が主だ
ったはずですが、結びの詩句が

冗談をいふバリトンと
栗鼠のやうな女のわらひ
すゝきの花や青い林の向ふから
歌はつぎつぎ流れてくる

 という楽しそうな詩句から、

楽しく明るそうなその仕事だけれども
晩にはそこから忠一が
つかれて憤って帰ってくる

 と変わっています。初稿を書いたときにはまだなかった憤懣が、
いつかはわかりませんが、推敲時にはこんなに大きくなったのかと
思うと胸が痛いです。

 そういえば占いの結果も、初稿ではぼかしていますが、推敲時に
「雷沢帰妹の三」であったと明かしているのですね。この「心境の
変化」にも注目しないといけないのかもしれません。

--〔BookMark〕----------------------------------------------

今日は【雷沢帰妹らいたくきまい・3爻】おでかけ注意。事を進め
ないで待ちましょう。
http://kumpu-well.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/post_1b73.html

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 今日は、易をたてるとき心の中にこのブログを書くことを思って
いました。そして、得た卦がこれです。帰妹は嫁に行くことなので
すが、これは、若い女が年上の男の方へ自分から動いていく姿で、
行けば凶。だそうです。いいところはないと。

 何か目的がある人は、今日はじっくりと、とどまって、待ちまし
ょう。軽挙妄動はいけません。

■今日の得卦【雷沢帰妹らいたくきまい・3爻】

●卦辞 帰妹。往けば凶。利(よろ)しきところなし。

○爻辞(3爻) 帰妹、以って須(ま)つ。反(きたり)帰って
【女偏に弟】(てい)を以ってす。

□くんぷうさんの解釈

 帰妹(嫁に行く)には、よくありません。自分から動いては凶で
す。凶といわれてもねえ?今日の商談、やめにするわけに行きませ
ん。今日仕事に行かないわけにも行きません。わたしも、今日も薫
風堂で、カウンセリングあります。

 どうしたらよいのでしょう?何が凶なのか、自分の置かれた立場
でゆっくり考えてみてください。また、今日やろうとしたことの内
実を考えて見ましょう。

 凶という言葉にまどわされて、外出を中止したり、仕事を放り出
したり、ブログ書くことやめたりする必要はないと思います。

 若い女の方から、力のないほうから押しかけていくことがだめな
のです。順序や立場を考える。慎重に。自分の思いのままに走らな
い。欲望にまけない。

 やろうとしていることは、自分のどんな要求からきてるのでしょ
う?

 これは、ホームページ作ったり、ブログ書いたりした私自身も、
本気で真剣に考えなければならないことのようです。

 3爻で、注意があります。帰妹、以って須(まつ)、とは? 須
は顔の先にしっとりとたれているやわらかいあごひげのことです。
あごひげの垂れた老人書いた象形です。きびきびと動かぬことから、
じっと待つ意味がでました。また、他者を頼りにしてまっているこ
とにもなり、需要の需と同じ意味ももちます。

 易経の解説では、須を、「以って待つ。」ととらえることもでき
ますが、指示を待つ侍女ととらえ、嫁に行っても、正夫人にはして
もらえないで、帰されるよ。次に行く時は、初めから副妻で行くこ
とになりますよ。といっています。

 今日は、主な仕事ではなく、副業のようなことをするのにいいの
かもしれません。

 易経は変化の書です。3爻が変化すれば、雷天大壮となり、これ
は、元気出しすぎ。

 やりすぎ注意の卦です。こういうふうになりそうだから、要注意。
待つ。副を考えよ。と。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

-〔春と修羅第三集(5)〕----------------------------------

「饗宴」「〔濃い雲が二きれ〕」「はるかな作業」

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■「饗宴」
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(本文=下書稿推敲後)
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七三五
     饗宴
                     一九二六、九、三、

酸っぱい胡瓜をぼくぼく噛んで
みんなは酒を飲んでゐる
 ……土橋は曇りの午前にできて
   いまうら青い榾のけむりは
   稲いちめんに這ひかゝり
   そのせきぶちの杉や楢には
   雨がどしゃどしゃ注いでゐる……
みんなは地主や賦役に出ない人たちから
集めた酒を飲んでゐる
 ……われにもあらず
   ぼんやり稲の種類を云ふ
   こゝは天山北路であるか……
さっき十ぺん
あの赤砂利をかつがせられた
顔のむくんだ弱さうな子が
みんなのうしろの板の間で
座って素麺〔むぎ〕をたべてゐる
  (紫雲英〔ハナコ〕植れば米とれるてが
   藁ばりとったて間に合ぁなじゃ)
こどもはむぎを食ふのをやめて
ちらっとこっちをぬすみみる

------------------------------------------------------------
(下書稿推敲前)
------------------------------------------------------------

七三五
     饗宴
                     一九二六、九、三、

みんなは酒を飲んでゐる
 ……土橋は曇りの午前にできて
   いまうら青い榾のけむりと雨の脚……
みんなは地主や賦役に出ない人たちから
集めた酒を飲んでゐる
おれはぼんやり
稲の種類を云ってゐる
一人の子どもの百姓が
みんなのうしろの板の間で
座って素麺〔むぎ〕をたべてゐる
からだ以上の仕事のために
顔も蒼ざめむくんでゐる
いまわたくしをぬすみみる
瞳よ闇夜の二つの星のやうに燃えて帰るのは
わたくしが酒を呑まないのに安心したのか
それとも村がまもなく明るくなるといふのか
あゝわたくしもきみとひとしく
はげしい疲れや屈辱のなかで
なにかあてなく向ふを望むだけなのに

------------------------------------------------------------
■「〔濃い雲が二きれ〕」
------------------------------------------------------------
(本文=下書稿推敲後)
------------------------------------------------------------

七三六
     〔濃い雲が二きれ〕
                     一九二六、九、五、

濃い雲が二きれ
シャーマン山をかすめて行く

  (何を吐〔ぬか〕して行ったって?)
  (雷沢帰妹の三だとさ!)

向ふは寒く日が射して
蛇紋岩〔サーペンティン〕の青い鋸

------------------------------------------------------------
(下書稿推敲前)
------------------------------------------------------------

七三六
                     一九二六、九、五、

まっ黒な雲が二きれ
シャーマン山をかすめて行く
  (何を吐〔ぬか〕して行ったって?)
  (それを勝手に考へろとさ)
向ふは寒く日が射して
蛇紋岩〔サーペンティン〕の青い鋸

------------------------------------------------------------
■「はるかな作業」
------------------------------------------------------------
(本文=下書稿推敲後)
------------------------------------------------------------

七三八
     はるかな作業
                    一九二六、九、一〇、

すゝきの花や暗い林の向ふのはうで
なにかちがった風の品種が鳴ってゐる
ぎらぎら縮れた雲と青陽の格子のなかで
風があやしい匂ひをもってふるえてゐる
そらをうつして空虚〔うつろ〕な川と
黒いけむりをわづかにあげる
瓦工場のうしろの台に
冴え冴えとしてまたひゞき
ここの畑できいてゐれば
楽しく明るそうなその仕事だけれども
晩にはそこから忠一が
つかれて憤って帰ってくる

------------------------------------------------------------
(本文=下書稿推敲前)
------------------------------------------------------------

七三八
     風と合唱
                    一九二六、九、一〇、

すゝきの花や暗い林の向ふのはうで
なにかちがった風の品種が鳴ってゐる
ぎらぎら縮れた雲と青陽の格子のなかで
なにか楽しい風の変種がふるえてゐる
そらをうつして空虚〔うつろ〕な川や
黒いけむりをわづかにあげる
煉瓦工場の向ふのはうで
冴え冴えとしてまたひゞくのは
組合倉庫の地堅めに
みんなでつくる合唱〔コーラス〕だ
熟した雲やくわりんの匂
無色な風の一聨が
そこで特殊な振動を
こっちの方へとびながら
ちがった風や地物のために、
幾きれにも幾きれにもちぎられ
塊になったり紐になったりして
つぎつぎ遷る(三字不明)縦波を載せたまゝ
交々こゝを通って行けば
その一かけのなかからは
冗談をいふバリトンと
栗鼠のやうな女のわらひ
すゝきの花や青い林の向ふから
歌はつぎつぎ流れてくる

------------------------------------------------------------
-〔文語詩稿未定稿(085)〕----------------------------------
------------------------------------------------------------
■「〔かくまでに〕」
------------------------------------------------------------
(本文=下書稿2推敲後)
------------------------------------------------------------

     〔かくまでに〕

かくまでに
心をいたましむるは
薄明穹の黒き血痕
新らしき
見習士官の肩章をつけ
なが恋敵笑ひ過ぐるを

------------------------------------------------------------
(下書稿2推敲前)
------------------------------------------------------------

かくまでに
心をいたましむるは
薄明穹の黒き血痕
新らしき
見習士官の肩章をつけ
なが恋敵笑ひて過ぐる

------------------------------------------------------------
(下書稿1「東京」ノート49頁)
------------------------------------------------------------

かくまでに
心をいたましむるは
薄明穹の黒き血痕
新らしき
見習士官の肩章をつけて
その恋敵笑って過ぐる

--〔後記〕--------------------------------------------------

 私も一度だけ、簡易な方法で占ったことがあります。出た卦が
「天火同人の三」で「戎を莽に伏せ、其の高陵に升る。三歳興らず」
生協を作ろうとしていたときのことです。結局三年後には何とかな
ったので、よく当たるものだと思いました。

 その生協を離れてちょうど20年になりました。47歳のおじさ
んプログラマとしてデビューしたのですが、何とか通用していった
のには感謝です。

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