宮沢賢治 Kenji Review

宮沢賢治 Kenji Review 397

カテゴリー: 2006年09月30日
Kenji Review 397
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--宮沢賢治---Kenji-Review-----------------------------------
-----------------------------------第397号--2006.09.30------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「復活の前」「剣舞の歌」

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http://www.kenji.ne.jp/

(連載)花巻にて/五輪峠/五輪峠2
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--〔話題〕--------------------------------------------------
「復活の前」
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 「復活の前」も前回の「「旅人のはなし」から」に続いて、同人
誌「アザリア」に掲載されたものです。

 「復活」というと何だかキリスト教っぽいですが、中ではお経の
ような文章もあります。「開経偈」といって、一般によく唱えられ
るものだそうです。真宗ではこういうのはやらないので、あまりよ
く知りませんでした。

 「暁烏さん」というのは暁烏敏という僧侶で、賢治の少年時代の
思い出のある人物です。

 「戦が始まる、こゝから三里の間は生物のかげを失くして進めと
の命令がでた。私は剣で沼の中や便所にかくれて手を合せる老人や
女をズブリズブリとさし殺し高く叫び泣きながらかけ足をする。」

 これは何なっでしょうかね。「戦」といっても現実の戦争とは違
うようです。でも当時のことですから、本物の戦争の影はきっとあ
るのでしょう。

 若いときの文なので、あまり詮索しても仕方ないのですが、なん
だか気になります。

--〔BookMark〕----------------------------------------------

暁烏敏
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9A%81%E7%83%8F%E6%95%8F

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 暁烏敏(あけがらす はや、1877年(明治10年)7月12日 - 1954年
(昭和29年)8月27日)は真宗大谷派の宗教家である。

 大正4年には、浩々洞を去り、松任の自坊、明達寺に戻る。各地
で講演を行い、そのカリスマ性によって多くの信者を獲得する。ベ
ストセラー『地上』で知られた作家島田清次郎もその一人である。
また宮沢賢治は少年時代に真宗信者であった父が開催した仏教講話
会で暁烏に接したことがあった(賢治は家の教えに倣って中学時代
には『歎異抄』を耽読したりもしたが、のちに法華経信者となる)。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

真宗仏教徒の戦争観−暁烏敏の場合−
http://www.ccv.ne.jp/home/rmk/akegarasu.htm

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

「本願に乗ずると云うのは、天地の大道に従うということです。法
蔵菩薩は天地の大道に従って浄土を成就された。其の浄土は・・・
出来て居るのです。八紘を一宇とすと云う肇国の日本精神はちゃん
と日本に・・・天照大神の御精神の中に成就している」

「日本臣民は皆神の子の自覚に生きなければならない。この日本人
の自覚を太陽の光の下にある二十億の人類に知らしめることが世界
秩序の建設である。これが日本の教化の聖業である。大東亜戦争も
この教化の活動」

「天皇の御稜威が世界万邦に光被するに至るのが世界史の意義であ
って、その光被はまさしく、皇国武徳の発現として達成せられるの
である」

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

中世の演劇−聖史劇(芸術論08)
http://www.page.sannet.ne.jp/kitanom/geiron/geiro08.html

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 キリストは復活の前に、地獄を訪れる。そしてそこで地獄の門を
開きキリストの受難以前に死んだ人々を救い出すのである。われわ
れの罪は、キリスト教の教義ではキリストの受難によって初めて許
されるので、それ以前に死んだ人は罪の大きさにかかわらず地獄に
堕ちている。彼らはキリストを認めることによって救われる。ここ
では、大言壮語する悪魔達とキリストの対比がこっけいに描かれて
おり、悲劇的なものと喜劇的なものとの組み合わせが認められる。
これは、ギリシア悲劇の上演にも認められた(喜劇との組み合わせ)
し、また日本の能の上演にも認められたものである。(狂言との組
み合わせ)。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

受難曲(Passion)とは
http://www7.plala.or.jp/machikun/matai2htm.htm

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 キリスト教では古来よりイースター前の一週間を聖週と呼び、ク
リスマス期間とならんで最も大事なシーズンとされてきた。この時
期には福音書からイエスの受難の場面を描写したところが選ばれ、
朗読されていた。しかしイエスの受難を強調するべく、この朗読は
次第にドラマチックになってきた。またただ朗読するだけでは物足
りなくなり、次第に特定の音程で唱えるようになった。(これをイ
ントーンという)

 こうしてすでに12〜3世紀頃には聖週のときの聖書朗読は複数
の者達がイエス、福音記者など等分担してイントーンで朗読を行う
ようになった。これが受難曲のはじまりである。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

懺悔文、帰依三宝と開経偈
http://www5a.biglobe.ne.jp/~houon/okyou-bk01.htm

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

開経偈

「無上甚深微妙法  百千萬劫難遭遇(むじょうじんじんみみょう
ほう  ひゃくせんまんごうなんそうぐう)
我今見聞得受持  願解如来真実義(がこんけんもんとくじゅじ 
 がんげにょらいしんじつぎ)」

「無上で、はなはだ深く、微妙な法は、百千万劫にも遭い遇うこと
難し。
我、今、見聞し、受持することを得たり。願わくば如来の真実義を
解したまえ。」

「この上なく、はなはだ深く、計り知れないほど見事な仏の教えは、
大変なが〜い時間をかけても、なかなか出会うことは難しい。
ところが、私は、今、その法を見聞きし、受け持つことができた。
願わくば、如来の説かれた真実の教えを私たちに理解させてくださ
い。」

となります。これが、開経偈です。お経を読む前に、ほとんどの宗
派でこのお経が唱えられています。なぜ、このお経がお経を読む前
に唱えられるのかというと、それは、この開経偈が、

「御仏の教えは、大変出会いにくいものであり、難しいものである
のだが、私はたまたま、その教えに出会うことができたのだから、
その内容をしっかり教えてください。」

という内容だからでしょう。

お経は、お釈迦様が説かれたこと、即ち、仏法・仏教そのものです。
お経を読むということは、仏法を読む、と言うことになります。お
経を理解するということは、即ち、仏法を理解することになるので
す。

ですから、お経を読む前に、開経偈を唱えて、お経の内容を理解さ
せてください、と願うのですね。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------


--〔今週の作品〕--------------------------------------------

     復活の前

春が来ます、私の気の毒なかなしいねがひが又もやおこることでせ
う、あゝちゝはゝよ、いちばんの幸福は私であります

総てはわれに在るがごとくに開展して来る、見事にも見事にも開展
して来る。土性調査、兵役、炭焼、しろい空等

われは古着屋のむすこなるが故にこのよろこびを得たり

総ての音は斯く言へり

総ての光線は斯くふるへり

総ての人はかくよろこべり

海浜か林の中の小さな部落で私はお釈迦様のおまつりをしたい、お
菓子を一つづゝ、又はとれるだけ人人のとるにまかせつゝうまい、
冷たいのみものを人々の飲むに任せまた釈迦様のあたまから浴びせ
るに任せ、

私はさびしい、父はなきながらしかる、かなしい、母はあかぎれし
て私の幸福を思ふ。私はいくぢなしの泣いてばかりゐる、あゝまっ
しろな空よ、
私はあゝさびしい

黒いものが私のうしろにつと立ったり又すうと行ったりします、頭
や腹がネグネグとふくれてあるく青い蛇がゐます、蛇には黒い足が
できました、黒い足は夢のやうにうごきます、これは龍です、とう
とう飛びました、私の額はかぢられたやうです

暁烏さんが云ひました「この人たちは自分の悪いことはそこのけで
人の悪いのをさがし責める、そのばちがあたってこの人たちは悲憤
こう慨するのです」

功利主義の哲学者は永い間かゝって自分の功利的なことを内観し遂
げました。これ実に人類の為におめでたいことではありませんか

(今人が死ぬところです)自分の中で鐘の烈しい音がする。何か物
足らぬ様な怒ってやりたい様な気がする。その気持がぼうと赤く見
える。赤いものは音がする。だんだん動いて来る。燃えてゐる、や
あ火だ、然しこれは間違で今にさめる。や音がする、熱い、あこれ
は熱い、火だ火だほんとうの火、あついほんとうの火だ、あゝこゝ
は火の五万里のほのほのそのまんなかだ。

無上甚深微妙は百千万劫にも遭遇したてまつることかたし。われい
ま見聞し受持することを得たり。ねがはくは如来の第一義を解し奉
らん

なんにもない、なぁんにもない、なぁんにもない。

戦が始まる、こゝから三里の間は生物のかげを失くして進めとの命
令がでた。私は剣で沼の中や便所にかくれて手を合せる老人や女を
ズブリズブリとさし殺し高く叫び泣きながらかけ足をする。

私は馬鹿です、だからいつでも自分のしてゐるのが一番正しく真実
だと思ってゐます、真理だなんとよそよそしくも考へたものです

なみだなくして人を責めるのはもとめるのです。

(校本全集11 「生前発表初期断章」より)
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--〔作品〕--------------------------------------------------

     剣舞の歌
               (「種山ヶ原の夜」の歌(二))

夜風〔よかぜ〕とどろきひのきはみだれ
月は射〔ゐ〕そそぐ銀の矢並
打つも果〔は〕てるも火花のいのち
太刀の軋〔きし〕りの消えぬひま
  dah-dah-dah-dah-dah-sko-dah-dah

太刀は稲妻〔いなづま〕萱穂〔かやほ〕のさやぎ
獅子の星座〔せいざ〕に散る火の雨の
消えてあとない天〔あま〕のがはら
打つも果てるもひとつのいのち
  dah-dah-dah-dah-dah-sko-dah-dah

(校本全集6 「歌曲」より)
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--〔後記〕--------------------------------------------------

 宮沢賢治学会の定期大会に参加された方はご苦労さまでした。私
は終了後、五輪峠まで行ってきました。写真もとってきましたので、
こちらでごらんください。
http://www.kenji.ne.jp/2006/060925.html

 今日(9月30日)は昨年亡くなった友人の一周忌です。まこと
に早いものです。みんなで寺に行って墓参りをし、それから偲ぶ会
があるということなので、参加してきます。

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発行周期: 週刊 最新号:  2018/07/14 部数:  1,005部

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