宮沢賢治 Kenji Review

Kenji Review 48


カテゴリー: 2000年01月22日
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--宮沢賢治---Kenji-Review-----------------------------------
----------------------------------第48号---2000.01.22-------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

    「おきなぐさ」
    「春と修羅・序」
    「宮沢賢治の手紙」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

     おきなぐさ


 うずのしゅげを知っていますか。
 うずのしゅげは、植物学ではおきなぐさと呼ばれますがおきなぐ
さという名は何だかあのやさしい若い花をあらわさないようにおも
います。
 そんならうずのしゅげとは何のことかと云われても私にはわかっ
たような亦わからないような気がします。
 それはたとえば私どもの方でねこやなぎの花芽をべんべろと云い
ますがそのべんべろが何のことかわかったようなわからないような
気がするのと全くおなじです。とにかくべんべろという語のひびき
の中にあの柳の花芽の銀びろうどのこころもち、なめらかな春のは
じめの光の工合が実にはっきり出ているように、うずのしゅげとい
うときはあの毛莨科のおきなぐさの黒朱子の花びら、青じろいやは
り銀びろうどの刻みのある葉、それから6月のつやつや光る冠毛が
みなはっきりと眼にうかびます。
 まっ赤なアネモネの花の従兄、きみかげそうやかたくりの花のと
もだち、このうずのしゅげの花をきらいなものはありません。
 ごらんなさい。この花は黒朱子ででもこしらえた変り型のコップ
のように見えますが、その黒いのはたとえば葡萄酒が黒く見えると
同じです。この花の下を終始往ったり来たりする蟻に私はたずねま
す。
「おまえはうずのしゅげはすきかい、きらいかい。」
 蟻は活撥に答えます。
「大すきです。誰だってあの人をきらいなものはありません。」
「けれどもあの花はまっ黒だよ。」
「いいえ、黒く見えるときもそれはあります。けれどもまるで燃え
あがってまっ赤な時もあります。」
「はてな、お前たちの眼にはそんな工合に見えるのかい。」
「いいえ、お日さまの光の降る時なら誰にだってまっ赤に見えるだ
ろうと思います。」
「そうそう。もうわかったよ。お前たちはいつでも花をすかして見
るのだから。」
「そしてあの葉や茎だって立派でしょう。やわらかな銀の糸が植え
てあるようでしょう。私たちの仲間では誰かが病気にかかったとき
はあの糸をほんのすこうし貰って来てしずかにからだをさすってや
ります。」
「そうかい。それで、結局、お前たちはうずのしゅげは大すきなん
だろう。」
「そうです。」
「よろしい。さよなら。気をつけておいで。」
 この通りです。
 又向うの、黒いひのきの森の中のあき地に山男が居ます。山男は
お日さまに向いて倒れた木に腰掛けて何か鳥を引き裂いて喰べよう
としているらしいのですがなぜあの黝んだ黄金の眼玉を地面にじっ
と向けているのでしょう。鳥を喰べることさえ忘れたようです。
 あれは空地のかれ草の中に一本のうずのしゅげが花をつけ風にか
すかにゆれているのを見ているからです。
 私は去年の丁度今ごろの風のすきとおったある日のひるまを思い
出します。
 それは小岩井農場の南、あのゆるやかな七つ森のいちばん西のは
ずれの西がわでした。かれ草の中に二本のうずのしゅげがもうその
黒いやわらかな花をつけていました。
 まばゆい白い雲が小さな小さなきれになって砕けてみだれて空を
いっぱい東の方へどんどんどんどん飛びました。
 お日さまは何べんも雲にかくされて銀の鏡のように白く光ったり
又かがやいて大きな宝石のように蒼ぞらの淵にかかったりしました。
 山脈の雪はまっ白に燃え、眼の前の野原は黄いろや茶の縞になっ
てあちこち堀り起された畑は鳶いろの四角なきれをあてたように見
えたりしました。
 おきなぐさはその変幻の光の奇術の中で夢よりもしずかに話しま
した。
「ねえ、雲が又お日さんにかかるよ。そら向うの畑がもう陰になっ
た。」
「走って来る、早いねえ、もうから松も暗くなった。もう越えた。」
「来た、来た。おおくらい。急にあたりが青くしんとなった。」
「うん、だけどもう雲が半分お日さんの下をくぐってしまったよ。
すぐ明るくなるんだよ。」
「もう出る。そら、ああ明るくなった。」
「だめだい。又来るよ、そら、ね、もう向うのポプラの木が黒くな
ったろう。」
「うん。まるでまわり燈籠のようだねえ。」
「おい、ごらん。山の雪の上でも雲のかげが滑ってるよ。あすこ。
そら。ここよりも動きようが遅いねえ。」
「もう下りて来る。ああこんどは早い早い、まるで落ちて来るよう
だ。もうふもとまで来ちゃった。おや、どこへ行ったんだろう、見
えなくなってしまった。」
「不思議だねえ、雲なんてどこから出て来るんだろう。ねえ、西の
そらは青じろくて光ってよく晴れてるだろう。そして風がどんどん
空を吹いてるだろう。それだのにいつまでたっても雲がなくならな
いじゃないか。」
「いいや、あすこから雲が湧いて来るんだよ。そら、あすこに小さ
な小さな雲きれが出たろう。きっと大きくなるよ。」
「ああ、ほんとうにそうだね、大きくなったねえ。もう兎ぐらいあ
る。」
「どんどんかけて来る。早い早い、大きくなった、白熊のようだ。」
「又お日さんへかかる。暗くなるぜ、奇麗だねえ。ああ奇麗。雲の
へりがまるで虹で飾ったようだ。」
 西の方の遠くの空でさっきまで一生けん命啼いていたひばりがこ
の時風に流されて羽を変にかしげながら二人のそばに降りて来たの
でした。
「今日は、風があっていけませんね。」
「おや、ひばりさん、いらっしゃい。今日なんか高いとこは風が強
いでしょうね。」
「ええ、ひどい風ですよ。大きく口をあくと風が僕のからだをまる
で麦酒瓶のようにボウと鳴らして行く位ですからね。わめくも歌う
も容易のこっちゃありませんよ。」
「そうでしょうね。だけどここから見ているとほんとうに風はおも
しろそうですよ。僕たちも一ぺん飛んで見たいなあ。」 
「飛べるどこじゃない。もう二ヶ月お待ちなさい。いやでも飛ばな
くちゃなりません。」
 それから二ヶ月めでした。私は御明神へ行く途中もう一ぺんそこ
へ寄ったのでした。
 丘はすっかり緑でほたるかずらの花が子供の青い瞳のよう、小岩
井の野原には牧草や燕麦がきんきん光って居りました。風はもう南
から吹いて居ました。
 春の二つのうずのしゅげの花はすっかりふさふさした銀毛の房に
かわっていました。野原のポプラの錫いろの葉をちらちらひるがえ
しふもとの草が青い黄金のかがやきをあげますとその二つのうずの
しゅげの銀毛の房はぷるぷるふるえて今にも飛び立ちそうでした。
 そしてひばりがひくく丘の上を飛んでやって来たのでした。
「今日は。いいお天気です。どうです。もう飛ぶばかりでしょう。」
「ええ、もう僕たち遠いとこへ行きますよ。どの風が僕たちを連れ
て行くかさっきから見ているんです。」
「どうです。飛んで行くのはいやですか。」
「なんともありません。僕たちの仕事はもう済んだんです。」
「恐かありませんか。」
「いいえ、飛んだってどこへ行ったって野はらはお日さんのひかり
で一杯ですよ。僕たちばらばらになろうたってどこかのたまり水の
上に落ちようたってお日さんちゃんと見ていらっしゃるんですよ。」
「そうです、そうです。なんにもこわいことはありません。僕だっ
てもういつまでこの野原に居るかわかりません。もし来年も居るよ
うだったら来年は僕はここへ巣をつくりますよ。」
「ええ、ありがとう。ああ、僕まるで息がせいせいする。きっと今
度の風だ。ひばりさん、さよなら。」
「僕も、ひばりさん、さよなら。」
「じゃ、さよなら、お大事においでなさい。」
 奇麗なすきとおった風がやって参りました。まず向うのポプラを
ひるがえし、青の燕麦に波をたてそれから丘にのぼって来ました。
 うずのしゅげは光ってまるで踊るようにふらふらして叫びました。
「さよなら、ひばりさん、さよなら、みなさん。お日さん、ありが
とうございました。」
 そして丁度星が砕けて散るときのようにからだがばらばらになっ
て一本ずつの銀毛はまっしろに光り、羽虫のように北の方へ飛んで
行きました。そしてひばりは鉄砲玉のように空へとびあがって鋭い
みじかい歌をほんの一寸歌ったのでした。
 私は考えます。なぜひばりはうずのしゅげの銀毛の飛んで行った
北の方へ飛ばなかったか、まっすぐに空の方へ飛んだか。
 それはたしかに二つのうずのしゅげのたましいが天の方へ行った
からです。そしてもう追いつけなくなったときひばりはあのみじか
い別れの歌を贈ったのだろうと思います。そんなら天上へ行った二
つの小さなたましいはどうなったか、私はそれは二つの小さな変光
星になったと思います。なぜなら変光星はあるときは黒くて天文台
からも見えずあるときは蟻が云ったように赤く光って見えるからで
す。

------------------------------------------------------------
(この作品は以下のURLにあります。
    http://www.cypress.ne.jp/why/douwa/12okinag.html )

 天に上っていく、二人の魂と、それを見送るひばり、という、い
かにも賢治らしい話です。

 全体になんだかなつかしい雰囲気です。「麦酒瓶のようにボウと
鳴らして」なんて、子供のときによくやりました。

 「お前たちはいつでも花をすかして見るのだから。」というとこ
ろは「サガレンと八月」を思い出させますし、最後の「変光星」は
もちろん、「銀河鉄道の夜」の「アルビレオの観測所」ですね。

 「黒い花」は本当にどこにもないそうです。「葡萄酒が黒く見え
る」ように、ごく濃い色は黒く見えますが、光にすかすとやっぱり
色はついているのです。

 賢治が小岩井の春に、どのような幻想をみていたか、わかるよう
な気がします。

 この作品の原稿に次のような書き込みがあります。

------------------------------------------------------------
虹とめくらぶだう
ぼどしぎ
ひのきとひなげし
せきれい
まなづるとダアリア
いてふの実
やまなし
畑のへり
黄いろのトマト
おきなぐさ
蟻ときのこ

花鳥童話集
------------------------------------------------------------

 こう言った、「花鳥童話集」が構想されていたようです。「蟻と
きのこ」は前に紹介した、「朝に就ての童話的構図」のことでしょ
うが、以前の全集で、この童話の題名が、「ありときのこ」になっ
ていたのは、こんなところに根拠をもとめたのでしょうか。

 私は賢治の童話のうち、短編のものは、初期のネズミやカエルが
出て来るもの以外はあまり親しくなかったので、ここらでこの辺を
読んでみようかと思います。

--〔作品〕--------------------------------------------------

     序 

わたくしといふ現象は 
假定された有機交流電燈の 
ひとつの青い照明です 
(あらゆる透明な幽霊の複合体) 
風景やみんなといっしょに 
せはしくせはしく明滅しながら 
いかにもたしかにともりつづける 
因果交流電燈の 
ひとつの青い照明です 
(ひかりはたもち、その電燈は失はれ) 
   
これらは二十二箇月の 
過去とかんずる方角から 
紙と鑛質インクをつらね 
(すべてわたくしと明滅し 
 みんなが同時に感ずるもの) 
ここまでたもちつゞけられた 
かげとひかりのひとくさりづつ 
そのとほりの心象スケッチです 
   
これらについて人や銀河や修羅や海膽は 
宇宙塵をたべ、または空気や塩水を呼吸しながら 
それぞれ新鮮な本体論もかんがへませうが 
それらも畢竟こゝろのひとつの風物です 
たゞたしかに記録されたこれらのけしきは 
記録されたそのとほりのこのけしきで 
それが虚無ならば虚無自身がこのとほりで 
ある程度まではみんなに共通いたします 
(すべてがわたくしの中のみんなであるやうに 
 みんなのおのおののなかのすべてですから) 
   
けれどもこれら新世代沖積世の 
巨大に明るい時間の集積のなかで 
正しくうつされた筈のこれらのことばが 
わづかその一點にも均しい明暗のうちに 
   (あるひは修羅の十億年) 
すでにはやくもその組立や質を變じ 
しかもわたくしも印刷者も 
それを変らないとして感ずることは 
傾向としてはあり得ます 
けだしわれわれがわれわれの感官や 
風景や人物をかんずるやうに 
そしてたゞ共通に感ずるだけであるやうに 
記録や歴史、あるひは地史といふものも 
それのいろいろの論料といっしょに 
(因果の時空的制約のもとに) 
われわれがかんじてゐるのに過ぎません 
おそらくこれから二千年もたったころは 
それ相當のちがった地質學が流用され 
相當した證據もまた次次過去から現出し 
みんなは二千年ぐらゐ前には 
青ぞらいっぱいの無色な孔雀が居たとおもひ 
新進の大學士たちは気圏のいちばんの上層 
きらびやかな氷窒素のあたりから 
すてきな化石を發堀したり 
あるひは白堊紀砂岩の層面に 
透明な人類の巨大な足跡を 
発見するかもしれません 
   
すべてこれらの命題は 
心象や時間それ自身の性質として 
第四次延長のなかで主張されます 
   
大正十三年一月廿日 
宮澤賢治 

------------------------------------------------------------
(この作品は以下のURLにあります。
    http://www.cypress.ne.jp/why/haruto/100jo.html )

 賢治の唯一の詩集、「春と修羅」の有名な「序」です。昨年の春
に、「春と修羅」を連続してとりあげたときは、「屈折率」からは
じめたので、この「序」は紹介していませんでした。

 今更紹介しなくても、みなさんよくご存知のものですが、賢治の
作品の中でも、特別なものであったのは確かです。

 何よりも、この詩は他のものと違って、人に読んでもらうことを
意識して書かれたものです。詩というよりは本当の序文に近い内容
を持っています。

 そして賢治は、この内容には、かなりの自信をもっていたような
のです。

------------------------------------------------------------

森佐一あて書簡(1924年2月9日)

お手紙拝誦いたしました。
詩の雑誌御発行に就て、私などまで問題にして下すったのは、寔に
辱けなく存じますが、前に私の自費で出した「春と修羅」も、亦そ
れからあと只今まで書き付けてあるものも、これらはみんな到底詩
ではありません。私がこれから、何とか完成したいと思って居りま
す、或る心理学的な仕事の支度に、正統な勉強の許されない間、境
遇の許す限り、機会のある度毎に、いろいろな条件の下で書き取っ
て置く、ほんの粗硬な心象のスケッチでしかありません。私はあの
無謀な「春と修羅」に於て、序文の考を主張し、歴史や宗教の位置
を全く変換しようと企画し、それを基骨としたさまざまの生活を発
表して、誰かに見てもらひたいと、愚かにも考えたのです。私はあ
れを宗教家やいろいろの人たちに贈りました。その人たちはどこも
見てくれませんでした。「春と修養」をありがたうといふ葉書も来
てゐます。出版者はその体裁からバックに詩集と書きました。私は
びくびくものでした。亦恥ずかしかったためにブロンヅの粉で、そ
の二字をごまかして消したのが沢山あります。辻潤氏、尾山氏、佐
藤惣之助氏が批評して呉れましたが、私はまだ挨拶も礼状も書けな
いほど、恐れ入ってゐます。私はとても文芸だなんといふことはで
きません。そして決して私はこんなことを皮肉で云ってゐるのでは
ないことは、お会ひ下されば、またよく調べて下されば判ります。
そのスケッチの二三編、どうせ碌でもないものですが、差し上げよ
うかと思ひました。そしたらこんどはどれを出さうかと云ふことが、
大へんわたくしの頭を痛くしました。これならひとがどう思ふか、
ほかの人たちのと比較してどうだらうかなどといふ厭な考がわたく
しを苦しめます。わたくしは本当にそんなに弱いのですから、笑っ
てもようございます。どうかしばらく私などは構はないでこゝらに
そっと置いて下さい。どうせ家を飛び出したからだですから、どこ
へ行ってもいゝ訳ですがいろいろの事情がもうしばらく、或は永久
に、私をこゝに縛りつけます。梅野さんにもお会ひして申し上げて
置きます。又あなたのお手紙からあなたにお会ひしたいと思ひます。

  大正十四年二月九日

(「宮沢賢治の手紙」より)
------------------------------------------------------------

 これも有名な賢治の書簡です。年下の友人森佐一たちが、詩の雑
誌を作るにあたって、賢治に誘いをかけたことへの返事のようです。

 「序文の考」と書いてあるとおり、その時の賢治の考えを練り上
げたのが、「春と修羅」の「序」というわけです。

 賢治の思想をまとめたものとして、貴重なものです。また言葉の
使い方も、最も凝ったものになっています。

 内容については書きませんが、私は詩としても、好きです。

--〔書評〕--------------------------------------------------
「宮沢賢治の手紙」  米田利昭著  大修館書店刊
------------------------------------------------------------

 宮沢賢治は日記を残していませんので、作品以外には、手帳のメ
モ類とともに、手紙が賢治研究のてがかりになっています。

 残念ながら、賢治が受け取ったものは焼けてしまって残っていな
いようです。(花巻も戦争のときに空襲にあっています。)

 その手紙を年代順に紹介している本です。

 著者は大学の先生で、1927年生まれとかなりの年齢です。ち
ょっと昔の学者風の、えらそうな雰囲気があるのですが、そのわり
には文章は読みやすかったです。

 発行元の大修館は大学の教科書でおなじみの出版社です。大学の
先生がここから本を出すと、だいたい講義を受けている学生しか買
わないものですが、この本はどうだったのでしょうか。

 内容では、「春と修羅」の詩を書いていた時期の書簡がほとんど
残っていないのは、「心象スケッチ」が書簡の代り?だったのでは
ないか、というところと、賢治の本当の目標は東京での勉強だった、
というところが印象に残りました。

----〔↓引用初め〕------------------------------------------

 上の書簡の最後にいう。

「右の事業にて御蔭を以て一人前と相成り候はば東京へ参りて(十
年や十五年後にても宜しく候)もう一度語学(それ迄は独逸語を卒
業致すべく候)や数学を勉強致したくと存じ候)」

 東京の大学で勉強したかったのだ。田舎の学問と東京の学問が違
うこと−を劣等感を持って痛感していた。「ペンネンネンネンネン
・ネネムの伝記」や「グスコープドリの伝記」の主人公たちは田舎
から首都へ出かけてそこの大学の大博士に学び、大いにほめられる。
あれは賢治の理想だったのだ。都会志向、ハイカラ趣味は大いにあ
った。反対に、中学先輩の啄木にあった科学や工業が自然を破壊す
るという産業革命期程度の批判さえ賢治にはなかった。たとえば、
「虔十公園林」でも、鉄道や汽車は啄木がそう考えたように文明の
持つ破壊の道具とは描かれていない。

(以下略)

(「宮沢賢治の手紙」より)
----〔↑引用終り〕------------------------------------------

 どうも著者は「プロレタリア文学」を高く評価しているようです
が、汽車が「破壊の道具」とは、恐れ入る論理ですね。産業革命期
の反動派の労働者なみ、というのは、大学の先生というのはやはり
浮世離れしています。

 それはともかく、賢治が東京に出て勉強したかった、というのは
本当でしょう。

 今の世で賢治ほど勉強ができれば、大手を振って東京大学でもど
こでも行くのでしょうが、私は別に「田舎の学問と東京の学問が違
う」などとは思いません。

 こういう風に思う、というのは、何なんでしょうね。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 芥川賞の発表を何気なく見ていたら、受賞した藤野千夜さんが男
性だったと知って、驚きました。

 藤野さんの本は幾つか読んで、今時の女性作家としては、おとな
しい感じの人だな、という印象をもっていました。顔写真まで拝見
していたのですが、全く人は見掛けによらないものです。

 それから、昨年の私のイチ押しの小説、山本文緒さんの「恋愛中
毒」がなんとテレビドラマになっていました。近頃、夜なべ仕事を
テレビの前のこたつに入ってしているので、思わず見てしまいまし
た。

 ちょっとあぶない話なので、健康的な美人女優という印象の薬師
丸ひろ子さんとは、イメージが違うように思いました。私としては
やっぱり大竹しのぶさんにやってほしかったです。

 明日(1月23日)は早いもので、私の父の四十九日の法事があ
ります。おくやみのメールなどもいただいていますが、この場を借
りて改めてお礼申し上げます。

 お経の方は、「正信偈」はあまりおもしろくなくて、「阿弥陀経」
にチャレンジしています。あれはいかにもお経らしくて、結構おも
しろいです。

 仕事に追われて、「手抜きモード」になっています。メールなど
で助けていただけたら、うれしいので、お便りお待ちしています。

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