宮沢賢治 Kenji Review

サンプル誌

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--宮沢賢治---Kenji-Review-----------------------------------
----------------------------------創刊号---1999.02.20-------
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--〔話題〕--------------------------------------------------
 ご購読ありがとうございます。今回が創刊号ということで、はり
きっています。初めてのことで、何かとご迷惑をおかけするかも知
れませんが、よろしくお願いします。私あてのメールのあて先は、
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 さて、今回の話題はツアーの案内です。
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(「宮沢賢治学会イーハトーブセンター事務局だより」より転載)

宮沢賢治学会 春季セミナー
 「宮沢賢治と海」異途への旅 Part2
3月21日・22日 一泊バスツアーご案内

(略)
 さて、来る3月21日22日に開催の春季セミナーは、昨年大き
な反響をいただいた一泊バスツアーの第二弾、テーマを「宮沢賢治
と海」と題して、往路は宮沢賢治が盛岡中学二年の時に訪れた宮城
県七ヶ浜(かつてここにあった「大東館」にて病気療養中の伯母ヤ
ギを賢治は見舞っている)へ向かい、帰路では、賢治が昭和六年石
灰セールスで訪れた「斉藤報恩農業館」(本年取り壊し)に立ち寄
ります。
・参加費 12000円(バス代、一泊二食)
・定員 80名(先着順)
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 という案内が来ています。3月21日(日)午前10時新花巻駅
を出発(途中、花巻駅、一関駅でも乗れるようです)のバスツアー
です。 
 宮沢賢治学会イーハトーブセンターというのは、花巻市の後援で
宮沢賢治の研究活動を支援する団体ですが、一般の人も会員になれ、
こうした行事に参加できます。また、年1回の研究誌や、会報、事
務局だよりなども送られてきます。年会費3千円です。有名な天澤
退二郎が生で見られたり、ちょっとミーハーな気分も味わえて、お
得ですので、よろしかったらご参加ください。
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宮沢賢治学会イーハトーブセンター 連絡先

〒025-0014 岩手県花巻市高松1−1−1
[TEL] 0198-31-2116  [FAX]0198-31-2132

会費納入先
郵便振替口座 02330-7-26637
岩手銀行花巻支店普通口座 0480908
名義 宮沢賢治学会イーハトーブセンター
会費年額 一般 三千円 学生 千五百円
     賛助会員 三万円

以上、コマーシャルでした。(私は単なる1会員です。)

--〔作品〕--------------------------------------------------

  序

この一巻は
わたくしが岩手県花巻の
農学校につとめて居りました四年のうちの
終りの二年の手記から集めたものでございます
この四ヶ年はわたくしにとって
じつに愉快な明るいものでありました
先輩たち無意識なサラリーマンスユニオンが
近代文明の勃興以来
或ひは多少ペテンもあったではありませうが
とにかく巨きな効果を示し
絶えざる努力と結束で
獲得しましたその結果
わたくしは毎日わづか二時間乃至四時間のあかるい授業と
二時間ぐらゐの軽い実習をもって
わたくしにとっては相当の量の俸給を保証されて居りまして
近距離の汽車にも自由に乗れ
ゴム靴や荒い縞のシャツなども可成に自由に選択し
すきな子供らにはごちさうもやれる
さういふ安固な待遇を得て居りました
しかしながらそのうちに
わたくしはだんだんそれになれて
みんながもってゐる着物の枚数や
毎食とれる蛋白質の量などを多少夥剰に計算したかの嫌ひがあります
そこでたゞいまこのぼろぼろに戻って見れば
いさゝか湯漬けのオペラ役者の気もしまするが
またなかなかになつかしいので
まづは友人藤原嘉藤治
菊地武雄などの勧めるまゝに
この一巻をもいちどみなさまにお目通りまで捧げます
たしかに捧げはしまするが
今度もたぶんこの出版のお方は
多分のご損をなさるだらうと思ひます
そこでまことにぶしつけながら
わたくしの敬愛するパトロン諸氏は
手紙や雑誌をお送りくだされたり
何かにいろいろお書きくださることは
気取ったやうではございますが
何かと願ひさげいたしたいと存じます
わたくしはどこまでも孤独を愛し
熱く湿った感情を嫌ひますので
もし万一にもわたくしにもっと仕事をご期待なさるお方は
同人になれと云ったり
原稿のさいそくや集金郵便をお差し向けになったり
わたくしをくるしませぬやうおねがひしたいと存じます
けだしわたくしはいかにもけちなものではありますが
自分の畑も耕せば
冬はあちこちに南京ぶくろをぶらさげた水稲肥料の設計事務所も出して居りまして
おれたちは大いにやらう約束しやうなどといふことよりは
も少し下等な仕事で頭がいっぱいなのでございますから
さう申したとて別に何でもありませぬ
北上川が一ぺん汎濫しますると
百万疋の鼠が死ぬのでございますが
その鼠らがみんなやっぱりわたくしみたいな云ひ方を
生きているうちは毎日いたして居りまするのでございます

(校本全集第三巻「春と修羅 第二集」より)
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 宮沢賢治が生前に発行した詩集は「春と修羅」1冊だけですが、
その後も作品は作りつづけられ、「第2集」「第3週」として原稿
がまとめられていたことが知られています。上記の作品はこの「第
2集」の序詩です。ここにもありますように、「第2集」は農学校
教師時代の後半で、「春と修羅」刊行の前後の作品、「第3集」は
教師生活を辞めたあとの「羅須地人協会」時代の作品、といえると
思います。当然、詩そのもののスタイルも、徐々に変化してゆきま
す。
 「春と修羅」は復刻初版本に基づいて入力をすませ、公開してい
ます( http://www.cypress.ne.jp/why/haruto/sinla4.html )
ので、ここでとりあげる作品は第2集以降と文語詩が中心になって
いくと思います。
 あの有名な「春と修羅」の序の格調の高さとこの第二集の序の皮
肉な調子とを比べると、自信を持って世に問うた第一詩集が世間の
評判をあつめられなかった詩人の落胆を感じずにはいられません。
でも、詩人として有名になりたいのであれば、方法はあったはずで
す。当時としては(今も)東京へ出て「詩人らしい」生活をしてゆ
けば、高名な詩人になることもできたのではないでしょうか?今日、
多くの人の認める「春と修羅」の詩人の実力をもってすれば、それ
は十分可能だったはずです。
 なぜ、そうしなかったのか?そうしなかったゆえに、後に聖人賢
者のイメージをもたれてしまうのですが、何度でも問わずにはいら
れません。なぜなら、詩人にはその野心があったはずだと思うから
です。
 けれどもその野心は実現されず、これ以降、彼の詩は「春と修羅」
の絢爛豪華な世界から退いていきます。最後には文語詩編の世界が
あらわれるのですが、この軌跡について、これからも考えていきた
いと思います。

--〔書評〕--------------------------------------------------
「宮沢賢治殺人事件」 吉田 司 太田出版 1997.03.18
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 「生誕百年祭」のさわぎの最中に書かれたもので、「聖人賢者」
のイメージに違和感を表明しています。著者は水俣病のルポルター
ジュで有名になった「ヘソまがり」のライターです。内容はあまり
たいしたことはありませんが、なにぶん、宮沢賢治に関して、否定
的に書いているものは他にあまりないと思うので、あえて第一回で
とりあげました。

 序章
 第一章 誰が賢治を売り出したか?
 第二章 ふしぎな階級
 第三章 花巻ルネッサンス
 第四章 賢治を殺した子守唄
 第五章 天上のアイスクリーム
 第六章 遊民のバーチャルランド
 第七章 雨ニモマケテ風ニモマケテ・・・
 第八章 聖者伝説の時代

 これらの内容のうち、あたっているな、と思う部分と、的外れな
部分とは当然あるのですが、そのひとつひとつのことよりも、こう
したスタンスをとっている筆者が、案外まじめに、宮沢賢治の作品
と向かい合っていることに好感を持ちました。世に「賢治嫌い」の
論者は結構多いと思うのですが、流布しているイメージにもとづい
ての「賢治嫌い」がほとんどです。まあ、著者はその「イメージ」
と闘っているわけですが、その中でも「遊民のバーチャルランド」
というのは、なかなかおもしろいネーミングですよね。だけどこう
いったからといって、宮沢賢治の作品の価値が下がるものではない
のです。「遊民」の栄光と悲惨、わけてもその悲惨のゆえに彼の作
品の深淵があるのですから。
 ということで、今回の主張は、「聖人賢者」のイメージを打ち破
ることで、「ほんとうの」宮沢賢治とその作品を見つけていきたい、
ということになります。「ほんとうの」宮沢賢治もまた、読者の数
だけあるのでしょうが、私としては「宮沢賢治の野心とその挫折」
に強く興味を持っています。
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「宮沢賢治はなぜ、生きている間に世間にうけいれなかったか?」
それなのに、
「なぜ死後すぐに、有名になり、本人の実像を超えたイメージを与
えられつづけてきたか?」
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--〔後記〕--------------------------------------------------
 「リタイアしたら、宮沢賢治研究家になりたい」などと言ってい
たのですが、ひょんなことから思わぬ早さで退職してしまい、自分
でソフトウエア開発の仕事をするようになりました。まだまだヒマ
ですので、こんなことをしている時間があるのですが、いつまでも
こうだと妻におこられそうです。コンピュータも宮沢賢治も独学と
いうか、正規の教育を受けたわけではないので、こころもとないと
ころもあるでしょうが、よろしくお願いします。
 ご意見、ご感想、投稿など、大歓迎です。下記のメールアドレス
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--発行--渡辺--宏------- URL  http://www.cypress.ne.jp/why/
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発行周期: 週刊 最新号:  2018/07/14 部数:  1,006部

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