KISARAGI

KISARAGI vol.994

カテゴリー: 2018年12月09日
ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ
ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ

K I S A R A G I vol.994                              2018/12/09
                                       編集/発行:みやこたまち
                       E-mail:tamachim@yahoo.co.jp
                                 http://mmkisaragi.blogspot.jp/

ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ

 配信システム
KISARAGIは「まぐまぐ」で配信しています
「まぐまぐ」:http://www.mag2.com/

登録解除の方法
KISARAGIを解除するには、次のアドレスへアクセスして
『購読及び解除はこちら』のフォームをご利用いただくか、
まぐまぐHPへアクセスして下さい。
解除できない場合は、メールして下さい。
--> http://mmkisaragi.blogspot.jp/

ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ

通信欄:冬到来。冬は好きです。そして古典へのいざない。とうとう鬼に!

ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ

今週のお話

◆  古典へのいざない  [763]
    伽婢子《おとぎぼうこ》[72]  鬼谷に落て鬼となる [8]
    作者 たまさん

◆ 大学ノート狂詩曲 宇祖田都子の話
    第五十八回 小坂頼藻 2 
    作者 宇祖田都子

● KISARAGIについて

ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ
ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ

古典へのいざない [763]
伽婢子《おとぎぼうこ》[72] 鬼谷に落て鬼となる [8]
作者:たまさん

ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ

「この者の身の丈を長くしろ」
 王の命に従い、鬼たちが集まって孫太郎の首から手足まで引き伸ばすと、
身長が三丈(約九メートル)ほどになった。竹竿《たけざお》のような姿に
鬼たちは笑いどよめき、立たせて歩かせると、孫太郎はふらふらした後に倒
れた。
「今度は身の丈を短くしろ」
 鬼たちは再び孫太郎を捕まえ、団子のように手で丸めて平らにし、横に広
がって身長が低くなった。小突かれて歩かされた孫太郎がよろめきながら蟹
《かに》のように動くと、鬼たちは手を打ちながら大笑いした。
 ある年老いた鬼が言った。
「お主はいつも『鬼神などいない』と言って我らを辱めてきたが、今、こう
して身体を長くしたり短くしたりされ、散々になぶり弄《もてあそ》ばれて
大恥をかいた。何とも不憫《ふびん》なので許してやろう」
 孫太郎を引っ張って投げると元の姿になった。
「それでは、これで人間界に返してやろう」
 すると、「こやつをそのまま返しては意味がない。餞別《せんべつ》をく
れてやろう」と言って鬼たちが集まってきた。ある鬼は「我は雲路《くもじ》
を分ける角を取らせよう」と言って、両角を孫太郎の額に置いた。ある鬼は
「我は風を受けると音を立てるくちばしを与えよう」と言って、鉄のくちば
しを唇に加えた。ある鬼は「我は朱色の乱れ髪を譲ろう」と言って、紅花
《べにばな》の水で髪を染めた。ある鬼は「我は緑に光る眼《まなこ》を与
えよう」と言って、二つの青い珠《たま》を目の中に押し込んだ。
 こうして孫太郎は穴から送り出された。
(続く)
                                  ★

 主人公は鬼たちに言いように身体をいじられた上で、元の世界に戻されま
した。角とくちばしが生え、赤い乱れ髪に緑の目――その姿はタイトルにあ
る通り、鬼そのものです。

 続きは次回にお届けします。それではまた。

ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ

ウェブサイト:
 かたかご http://yamanekoya.jp/
 山猫屋本舗 http://yamanekoya.net/

ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ
ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ

大学ノート狂詩曲 -宇祖田都子の話
第五十八回 古坂頼藻 2 
作者:宇祖田都子

ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ

第五十八回  古坂頼藻 2

「ミヤコ女史、最近つきあい悪くなぁい?」
 昼休み、図書館裏のベンチに座って、手製のサンドイッチをパクついている
私の前で、小坂さんが腕組みしています。赤いバンダナでくるんだ小さなお弁
当をブラブラさせながら。

 クマゼミの頃を迎えていました。このあたりでは、蜩は鳴きません。その涼
しげな思い出のような音色は、北の山並みを越えなければ、聞くことはできま
せん。シャーシャーというクマゼミの音は、大きくとも透き通っているので、
耳を塞ぎたくなるような喧騒にはなりません。ただ、話し声がかき消されるこ
とに変わりはありませんでした。

 私は「音」や「声」が、このごろわずらわしく感じられていました。静かに
語り合う「声」の、心に沁み透る感覚は好きでした。それはたとえば、その日
の作業を終えて「あふらはせを」を出るとき、なんとなく待ち合わせて軽食を
つまんだり、時には静かなバーで飲んだりする時の敷島さんの声でした。

 敷島さんとの初対面の際に感じた、彼女からの敵愾心についても、毎日顔を
合わせて、互いの作業や、ストレスを紛らわすための軽口などを聞きあう間に、
溶けていきました。

「私、手藻蔓さんとは別になにもないんですよ」
 と、そんな事を、先回りして言ってしまったことがありました。
 それは、大学ノートの撮影という単純作業に慣れ始め、同時に退屈を感じ始
めていた、暑い夜でした。

「いえ。宇祖田さんがどう思うかではないんです。手藻蔓が、あなたのことを
気にかけているのが…」

 あれは、どこだったのかな? まだ二人でお酒を飲みにいくほどうちとけて
はおらず、かといって、互いの近くを通るのに、挨拶だけで済ませらるほど余
所余所しくななくなっていた頃。私たちはカウンターに並んで腰かけて、ジム
ビームなんか飲んでいたような気がします。
 もしかしたら、半ば改装が終わった「あふらはせを」のカウンターだったの
かもしれません。

 「まぁ~た、聞いてないな!」
 小坂さんは、私の正面にヤンキー座りをして、じと目でこちらをにらんでい
ました。

「ご、ごめんなさい。少し考え事をしてて…」
「そういうとこ、嫌いじゃないなけどね」

 小阪さんは、ぴょんと立ち上がり、私の横にドカと腰を下ろしました。ベン
チの振動が背後の木に伝わって、ジャッツジャッツと蝉が飛んでいく音がしま
した。おしっこは、かかりませんでしたよ。

 小坂さんは、小さなおにぎりを三つほどパクパク食べ、ペットボトルの水を
ゴクゴクのみました。
 日焼けした首元に、いつものIDカードがぶら下がっていました。カードに
は「D」というロゴが入っていました。私はそのロゴをどこかで見かけた覚え
がありました。

「もう、すっかり定番アイテムになったのね。そのIDカード」
「え? あ、これ」

 小坂さんは、私に指摘されて始めて、自分の首にそんなものがぶら下がって
いることに気づいたわ、という顔でカードを摘み上げました。

「憧れってあるのよね。こういうのに」
「セキュリティーの厳しい感じのOLさんとか?」

 私には、それは意外でした。小坂さんは「自由人」を絵にかいたような人で、
規格にはまりたいと考える人ではないと、思っていたからです。

「う~ん。少し違うんだなぁ」

 そういって、小坂さんは立ち上がると、大きく伸びをしました。半そでの
シャツの胸元から、薄水色のキャミソールがのぞきました。

「私は案外、アイデンティティーってものに、飢えているのですよ、ミヤコ女
史」
「ねえ、その呼び方、なんとかならないかしら?」

 小坂さんは、最近の私を「賢そうにお澄ましした研究者みたい」と形容し
「ミヤコ女史」なんて、いうのです。

「あら、ミヤコ女史はミヤコ女史だわ。また、鸚鵡とか付き合ってくれたらミ
ヤコチャンって呼んであげるけど?」
「そうねぇ。しばらく鸚鵡へも行けてないけど」

 大学ノートの撮影を、私は今月中に終えてしまいたいと思っていました。そ
しておそらく、撮影の後も「あふらまつを」通いは、しばらく続きそうだとも
予感していました。

「明日、ランチでもどう? バルテスで」

 そう言うと、小坂さんは、IDカードをクルクルとまわしながらしばらく考
えているようでしたが、やがて、ニッコリと笑うと、

「何かおみやげ用意しておいてよ」と言いました。
「お土産って、何がいいの?」
「ミヤコちゃんが選ぶものなら、なんだっていいんだよ」

 じゃね、と小坂さんは、図書館へ戻っていきました。そろそろ休憩も終わり
です。私は彼女に何をあげようかと考えて、少しウキウキしていえる自分に気
づきました。今日、「あふらまつを」で何か選んでおこうかな。と思いました。

 と、その時、唐突に小坂さんが首から提げている「D」のロゴをどこで見か
けたのかを思い出したのでした。
 あれは、駅南のマンスリーホテルのカードキーに、よく似ているということ
に。(20181209)

ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ

星空文庫 過去作品上げていきます https://slib.net/a/20077/

ショートショートガーデン https://short-short.garden/author/808354
(400文字以内のショートショートばかりです)

ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ
ノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノノ

投稿随時募集中
    http://mmkisaragi.blogspot.jp/2013/10/blog-post.html

このメールマガジンは、投稿によって全てが成り立っています。
ぜひ、あなたの小説を投稿して下さい。

投稿はkisaragi HP の投稿要綱
 http://mmkisaragi.blogspot.jp/2013/10/blog-post_6740.html

または、直接のメールでも結構です。

ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ

作者情報が必要ですので、以下の内容をお送り下さい。

タイトル(必須):
種別:ショートショート/短編/中編/長編/エッセイ
ジャンル:(時代、現代、SF、冒険、推理、ファンタジー、など……)
作者名(ハンドル可;必須):
メールアドレス(必須):
HPアドレス&名前:
一行コメント:

ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ

なお、発行の都合上、一行の最大文字数は全角で35文字(原則)までです。
それを超えるものはこちらで修正させていただきますのでご了承下さい。
投稿作品の著作権は各作者にあります。

ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ
ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ

<運営よりお知らせ>
メルマガの配信ドメインが変更になります。
全てのメルマガが受信できるよう、以下のドメイン全ての受信設定をお願いい
たします。
・mag2.com
・mag2official.com
・mag2-tayori.com
・mag2tegami.com
・mag2premium.com

ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ

発行者について

編集者 みやこたまち

E-mail :tamachim@yahoo.co.jp

WebPage:http://mgkisaragi.web.fc2.com/index.html

ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ
ロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ

ついでに読みたい

KISARAGI

発行周期:  週刊 最新号:  2019/03/24 部数:  50部

他のメルマガを読む